対象:企業法務
回答:1件

松野 絵里子
弁護士
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買収防衛策と仮処分
仮処分というのは、被保全権利があって、保全の必要性がないと認められません。それを疎明という方法で証明してやっとみとめられます。やってみると弁護士でもそれを迅速にやるのは大変なことです。
ご質問の場合、契約に何らかの約束が書いてあり、それに違反するような場合どうしたらよいかということであるかと思います。
たとえば、新株発行をしないと約束していたり、買収防衛のための種類株の発行をしないと約束しているのに、それをしてしまったときのことでしょう。
実際に約束違反の行為がされている段階になっていれば仮処分は可能かと思いますが、ただ何となくそうなりそうだというだけでは仮処分はできないでしょう。
たとえば、新株発行の決議があった段階でないと無理かと思います。
このとき具体的には新株発行の差止の仮処分をもとめることになります。
他に考えられるのは他の会社が買収先として交渉をはじめてしまうようなことですね。このようなときに債権者を保護するためになされる仮処分もあります。たとえば、2004年UFJ信託と住友信託の経営統合に関し独占交渉を定めた当初の合意に反して、UFJが東京三菱銀行と経営統合の交渉を行ったことについて住友信託がUFJに交渉の差止の仮処分を申立てたことがありました。こういう使い方もありえますね。
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