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従業員の反原発活動を就業規則で禁止できるのか?

法人・ビジネス 人事労務・組織 2011/08/01 01:36

お世話になっております。企業内でCSRやコンプライアンスの業務の経験のある者です。

報道によると、とある原発関連企業が従業員に対して反原発活動を禁止する命令をしていました。従業員本人だけではなく家族も含めての禁止命令です。報道では否定的なニュアンスで伝えています。

しかしながら、企業は就業規則に記載することにより従業員に対して政治活動を制限できます。オーソドックスな「政治活動の禁止」は就業時間内や職場内・職場周辺に限定して効力があります。そこを拡大解釈して就業規則上の「政治活動の禁止」の項目を盾に
- 反原発に賛同する署名
- 反原発デモへの参加
- 反原発集会への参加
- など
の行為を禁止できますか?また禁止を破った従業員に対して懲戒処分や報復人事を行うことに問題はありませんか?社会規範に反してでもコンプライアンスに反しない限り、企業は従業員の政治活動を何処まで命令できるのですか?

Moriya, Tomoさん ( 東京都 / 男性 / 32歳 )

回答:1件

小松 和弘 専門家

小松 和弘
経営コンサルタント

- good

お答えします。

2011/10/06 18:39 詳細リンク
(5.0)

質問項目は大きく分けて3項目ですね。
1)反原発活動を就業規則で禁止できるか
2)政治活動の禁止を破った従業員に対して懲戒処分や報復人事はできるか
3)企業は従業員の政治活動を何処まで命令できるか

順番に回答します。
1)企業秩序を維持して円滑な企業運営を図るため、就業規則にて就業時間内や職場内における「政治活動」を禁止できます。では、原発反対活動が「政治活動の禁止」に入るのでしょうか。一般的に、政治活動とは「政治上の目的をもって行われる一切の活動、即ち政治上の主義、施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し又は候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを目的として行う直接間接の一切の行為をいう。」ものとされています。また判例(1970.5.29/東京地 問谷製作所事件)ではベトナム戦争反対運動なども社内の「政治活動の禁止」の就業規則で処罰されています。以上から、原発反対活動も十分「政治活動の禁止」に入り禁止出来ます。

2)「政治活動の禁止」を破った者に対し懲戒処分や制裁を行うことは可能です。但し懲戒処分や制裁を行う場合には、就業規則にその種類や程度に関する事項を記載しなければなりません。労働基準法 第89条9項「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」の通り、就業規則に記載することにより懲戒処分の法的根拠になるからです。

3)従業員の就業時間外の行動まで制約出来るのかという観点でみてみます。憲法第21条において集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は保障されています。しかし、企業秩序を乱し、社会的に不適切な行動の場合は制約できます。判例(1983.9.8/最高裁 関西電力事件)では「労働者は、労働契約を締結して雇用されることによって、使用者に対して労務提供義務を負うとともに、企業秩序を遵守すべき義務を負い、使用者は、広く企業秩序を維持し、もって企業の円滑な運営を図るために、その雇用する労働者の企業秩序違反行為を理由として、当該労働者に対し、一種の制裁罰である懲戒を課することができるものである」とあります。
つまり、会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような行為については、それが職務遂行と直接関係のない私生活上で行われたものでも、会社の規制を及ぼすことは認められます。
(補足に続きます)

補足

しかし実際に反原発活動などの「政治活動」で、ご質問の1~3の方法で対処する場合、いくつか押さえておくべきポイントがありますので、下記にまとめておきます。

a.就業規則の「服務規律」の部分に職場内での政治活動を禁止する条項や懲戒処分の対象事由とこれに対する懲戒の種類・程度が規定されていること。

b.使用者は就業規則を労働者に周知しなければならないこと。
就業規則をただ作っただけで、使用者が隠ぺいしたり、労働者が閲覧を希望したにもかかわらず拒否した場合、その就業規則の拘束力が生じないと、判断される場合があります。
(参考 労働基準法第106条1項 (法令等の周知義務))

c.就業規則に記載すればいかなる懲戒処分も自由に出来るものではないこと。
労働契約法が平成20年3月1日から施行され、懲戒について明文化されています。労働契約法 第十五条(懲戒)「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」となっています。
労働契約法では、有効・無効の要件をはっきりと記載していませんが学説的に、5つの要件を満たせば懲戒処分という効果が有効となり得ます。
・罪刑法定主義(就業規則に根拠規定はあるか)
・懲戒事由への該当性(同規定に該当するか)
・相当性の原則(行為と処分のバランスはどうか)
・平等取扱い(他者の懲戒処分と比べ平等か)
・適正手続(弁明の機会の付与等、一定の手続きを経てるか)
つまり総合的に判断し、客観的で、社会通念上正当な理由を証明しないと実行は難しい状況ということです。
制裁に関しては、労働基準法第91条で就業規則における制裁規定の制限について規定していますのでご参照下さい。

色々と書きましたが、就業規則とは企業と従業員がお互いの発展、成長のためのルールを決めたものです。大事なのは、就業規則で従業員を縛りつけるのではなく、規律を守る状態になるよう、労使の信頼関係を築くことでしょう。

労働者
従業員
就業規則
人事
雇用

評価・お礼

Moriya, Tomoさん

2011/10/07 02:05

先生。ご回答ありがとうございます。社会通念上は反原発活動への制限は出来そうですね。

小松 和弘

2011/10/07 02:40

ご評価ありがとうございます。
また何かご不明な点などがありましたらご遠慮なくご質問ください。

回答専門家

小松 和弘
小松 和弘
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