対象:民事家事・生活トラブル
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ある匿名組合型の投資ファンドに出資していたのですが、悪い噂を耳にするようになり、中途解約(匿名組合員たる地位の運営会社への譲渡)手続きをとりました。契約書上、「運営会社は地位の譲渡について、相当の理由がある場合を除いて承認する」となっているので、当然、中途解約は承認され、手数料を除いた譲渡対価を後日返還する旨の通知がきました。ここまではよかったのですが、その後、解約が殺到する事態になったようで、その運営会社は「投資ファンドの運営に大きな支障をきたすため、中途解約の承認をしないことにつき相当の理由がある」という理屈で、中途解約承認の停止に踏み切りました。停止前に中途解約手続きをとっておいてよかったと安心していたのですが、その後すぐに運営会社から「出資者間の公平性を保つため、先般の匿名組合員たる地位の譲渡承認は本文書をもって撤回させていただく」という通知が届くことになりました。以降、電話で何度も抗議をしましたが、埒があかず、訴訟に踏み切ろうと考えています。簡裁管轄内の金額ですので、自分で訴訟をしようと思っておりますが、気がかりな点は、先方は承認撤回の通知後、ファンドの配当金を私の口座に振り込んできており、私はそれを供託する手続きをとっていないということです。(半年くらい放置しています。)とりあえず、以下のとおりの主張をし、
1.譲渡承認撤回の通知は、承認の取消と考えられるが、取消権者は民法120条に定められており、被告は行為能力制限者でもなく、また、詐欺・強迫によって承認したわけではないので、一旦、承認したものを取り消すことはできない。したがって、被告の譲渡承認撤回の通知は無効な行為というべきである。
もし、それで相手方が配当金を黙って受け取っているんだから、譲渡承認撤回を原告は追認していると主張してくれば、以下のとおり返そうかと思っています。
2.被告は譲渡承認撤回が有効であり、したがってファンドは未だ継続しているという前提で配当金を私の口座に振り込んできているが、無効な行為は追認によっても効果が生じない旨、民法119条に明記されており、また、そもそも一方的に振り込まれた配当金を返却していないことが、民法125条に定める法定追認にあたるはずもない。
上記の主張・抗弁で裁判に勝ちうるか、お伺いしたい次第です。ご回答のほどよろしくお願いいたします。
補足
2011/06/28 23:10実は先日、地元の無料法律相談に行ってきたのですが、その時の先生には、「承認の撤回の通知は無効なのではなく、撤回の申し込みと言うべき。その申し込みに対してあなたが承諾していない以上、撤回の効力は生じていないのだから、当初の約束通り金を払えということでいいのでは?振り込まれている配当金については、撤回を了承して受け取っていたのではないと意思表示をしておくためにも、それは支払金額に充当させていただくと内容証明に書いて訴訟前に出しておくべき。」というアドバイスを受けました。
なるほどと思いましたが、帰って調べてみても「撤回の申し込みは相手方の承諾を要する」と明記されている条文が見当たりませんでした。これが民法の第何条に書かれていることなのか、もし分かれば教えていただければ幸いです。
あと、自分としては、承認撤回の通知を撤回の申し込みと見るよりも、本文に記載したように取消行為と見て主張を組み立てた方がスムーズだし、そうすれば内容証明を出しておく必要もないのかなとも思えるのですが、この点のセカンドオピニオンもお伺いできればありがたいです。
fomfomさん ( 石川県 / 男性 / 41歳 )
回答:1件
行政書士の松浦靖典です。私見ですが回答します。
はじめましてfomfomさん。行政書士の松浦靖典と申します。
まず、運営会社による、中途解約承諾の撤回の法的性質をどう捉えるべきかという問題で
すが、これは言葉の問題でありますが、法的には取消しではなく撤回といいます。fomfomさ
んご存知のように、民法では意思表示の取消しの出来る場合、無効が主張できる場合を定め
ており、本件での「出資者間の公平を保つため」にされた承諾の撤回は、取消しや無効では
なく、文字通り撤回となります。
意思表示の撤回は、原則は民法97条により、意思表示が相手方に到達したときには撤回は出来ませんし、契約の承諾の場合は、民法526条により、承諾を発した時点で契約の効力を生じるため、撤回が出来ないとされています。よって、本件中途解約は、運営会社が承諾を発した時点で既に効力を生じているため(民法526条)、撤回が出来ないと考えます。fomfomさんが撤回を受け入れるなら話は別ですが…。
次に、内容証明郵便の要否についてですが、無料相談で話をされたように、後々の事実関係を明確にするためにも、送っておいたほうが良いと思います。訴訟をお考えとのことですが、内容証明郵便を送ることで、運営会社の態度ももしかしたら変化があるかもしれませんよ。
何か分からないことがあれば、気軽にご相談下さい。上手く解決できるといいですね。
http://minjihoumu110.com/ 民事110番
補足
すいません改行がおかしくなってしまいました。
見難いですが、よろしくお願い致します。
評価・お礼
fomfomさん
2011/07/01 04:45非常に分かりやすいご回答ありがとうございます。「撤回」の言葉の意味について調べてみましたが、「撤回は、未だ効力が生じていない法律行為や意思表示についてなされるもの」とあり、既に効力が発生しているものについて、撤回の余地はないようですね。
となると、問題となるのは、一方的に振り込まれたものとはいえ、そのまま配当金を受け取ってしまっているということが、撤回の申し入れについての黙示の承諾とみなされないかという点ですね。
この点について、どのように解釈すればよいか、分かれば教えていただければ幸いです。
松浦 靖典
2011/07/01 16:29配当金を受け取っていることについて、黙示の承諾とみなされないためにも、やはり内容証明郵便を送っておいたほうが良いでしょう。無料相談を受けられた先生のおっしゃるとおりだと思いますよ。
本件のように、fomfomさんが配当金を従前と変わらずに受け取っている事実は、もし仮に裁判となった場合には、黙示的に撤回を承諾したという結論を導く間接事実となり得ます。それを否定しておくためにも、何らかの措置を取っておくことにこしたことはないと思います。手段は、内容証明郵便でなくとも可能ではありますが、やはり公的な証明を得られる内容証明郵便がベストでしょうね。
何かご不明な点があれば、いつでも気軽にご相談下さい。
http://minjihoumu110.com/ 民事110番
回答専門家
- 松浦 靖典
- (兵庫県 / 行政書士)
- 尼崎で交通事故の損害賠償請求および後遺症認定の代行手続きを行う 松浦法務事務所 交通事故専門・行政書士
交通事故専門の行政書士。無料電話相談でも誠実に対応致します。
自動車整備業の物損事故の相談を通じて、交通事故被害者の役に立ちたいと思い、資格を取りました。交通事故に遭遇したことで金銭的にも、精神的にも大きな損失を被っています。被害者をひとりでも多く救済していくことが、私の使命だと思っています。
松浦 靖典が提供する商品・サービス
交通事故の慰謝料は、後遺障害の認定で増額します。後遺障害の認定には「初期の対応」が重要です。
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