対象:企業法務
設立間もない小さな会社です。
取引先との関係で、当社から、取引先の会社へ社員をひとり出向させることになりました。
内容は、取引先が当社に発注する際に、その取引先での発注前段階の業務や関連業務を、当社から出向させた社員がサービスとして行う、というものです。
しかし、人員不足でどうしても社内の人員で対応できないため、それを外部のコンサルタントに委託することにして、当社の社員として出向してもらうことになりました。
ですが、実際に最初に情報を手に入れ、業務を行うのはその外部のコンサルタントであり、やがては当社を通さず勝手に直接取引を始めてしまうというおそれについても考えています。
このようなことを防ぐためにも、当社とそのコンサルタントとの間の業務委託契約書の中で縛りをかけることを考えているのですが、その場合、どのような条項を加えたらいいのでしょうか?また、その表現はどうすればいいのでしょうか?
宜しくお願いいたします。
blueroseさん ( 神奈川県 / 男性 / 38歳 )
回答:3件

柴崎 角人
行政書士
3
例えば、違約金条項で
bluerose様、はじめまして、行政書士の柴崎と申します。
bluerose様の会社の具体的な業務内容がわかりませんので、どういう趣旨の業務委託契約なのかは不明ですが、相手先会社に対して、bluerose様の会社と締結した事項に関して違反した場合は違約金を請求できるという条項を設けることは、ひとつの案かと思います。
「bluerose様の会社に報告・連絡もなく、勝手に取引を行った場合は・・・」というようなイメージのものです(表現は仮のものです)。
また、例えば、相手先会社が、元々bluerose様の会社が依頼する内容の業務を行っている場合などは、固有の業務とbluerose様の会社からの委託業務をどう区別していくか、というあたりを詰めていく必要もありますね。
契約上、取り決めしても、相手側の行動を逐一監視することは難しいと思います。
(そういう動きが分かる業務内容ならいいのですが。)
もちろん守秘義務条項や第三者への地位の譲渡、再委託の禁止、仕切り価格の設定などいろいろ項目はあると思います。
以上、ご質問内容からの回答として、ご参考になれば幸いでございます。

白木 麗弥
弁護士
1
条項の記載について
契約書でよくあるのは、当該相手方に対して、自社との直接の取引を勧誘することを禁止するものです。
つまり、コンサルタントの方から「うちと直接取引しませんか?」と申し出るのはNGというものです。
また、業務で入手した情報を委託された業務以外の目的で使用することも禁止すべきでしょう。
つまり、コンサルタントが入手した情報をつかって、コンサルタントの他の業務(自社との直接取引を勧誘することもこれに含まれます。)を行うことはいけません、ということです。
違約金条項もつけられないし、心理的には効果がそれなりにあるとは思います。
しかし、一方その金額以上の損害賠償請求が難しくなりますのでその点も踏まえてご検討されてみてはいかがでしょうか。

服部 真和
行政書士
3
本当にそのような形式しか取れませんか?
まず、求められている答えからは外れますが、後々のトラブルを防ぐ趣旨からは、考えられているような形式の出向はオススメできません。他に手だてはありませんか?
(1)「取引先での発注前段階の業務や関連業務を、当社から出向させた社員がサービスとして行う」、「外部のコンサルタントに委託することにして、当社の社員として出向してもらう」ということですが、まずこの部分が曖昧ですので、はっきりとは言えませんが、出向された社員が常駐するものか、取引先の指示や管理を受けるものか、「当社の社員として」ということは、コンサルタントを雇用するのか、別途委託契約を交わすのか・・・etc
これらによって、偽装請負の問題が発生する場合があります。偽装請負はIT企業でよく見受けられますが、該当すると懲役又は100万円以下の罰金などの罰則をうける恐れがあるので注意が必要です(コンサルタントの行う予定の業務は「準委任」にあたりますが、ここでは請負に含まれます)。
(2)今回のケースで「外部のコンサルタントであり、やがては当社を通さず勝手に直接取引を始めてしまうおそれ」を指摘されておりますが、ご存知のように契約は原則として第三者を直接拘束することはできませんので、コンサルタントとの間で縛りをかけても、取引先がどのように行動されるかは、縛りをかけることはできません。
つまり、たまたま今回のことでコンサルタントと取引先が知り合うことになりますが、「関連する業務において直接取引を行う場合」「まったく別の業務で取引を行う場合」などを想定するわけですが、今回危惧されているのは前者と思われますが、これらの区別はいったい誰がするのか? ということになります(もし揉めた場合は結果的に裁判所に判断を委ねるのでしょうか?)
もし取引先と契約を交わすにしても、後者の取引を制限することは結果的に同じことを意味します。
直接取引を望まないのであれば、事前にそのリスクを排除するべきだと思います。
また、他にも秘密保持をはじめ、細かい問題がそれぞれ発生します。
以上のことを踏まえ、万一、当職が顧問先等に同様の質問をされた場合は、なるべくなされないようにアドバイスするケースになります。
補足
文字数の関係で補足になりますが、質問の回答を素直にしますと、以下のように禁止条項と違約金の定めを加える必要があるので、これを参考にしてみてください。
第0条(禁止行為)
甲はどのような依頼があろうとも、弊社を介さず丙と新たに直接取引をしてはならない。
第0条(違約金等)
甲は第0条に違反したときは、00000を違約金として乙に支払わなければならない。
(現在のポイント:2pt)
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