自分らしさを演出して

部屋づくりをするとき、どんな家具をどんなふうに配置するかということに
とらわれがちですが、まずは、自分たちがどんな個性をもつ人間で、そこで、
だれと、どんなふうに生活したいかをイメージしてはいかがでしょうか。

「仕事から疲れて帰って、心からリラックスできる空間にしたい」
「友達を呼んでわいわい賑やかにできる空間にしたい」
「家族が集い、コミュニケーションを取れる空間にしたい」など、
まずは自分たちがどのように暮らしたいかをイメージすることからスタートすると、
どのようにレイアウトして、そこにどのような装飾（カーテン、壁紙、ステッカー、
壁に飾る絵、照明、etc.)をしたらよいかクリアーになってくると思います。

私は子供部屋が専門ですが、仕事柄、東京に住む日本人だけでなく、
様々な国籍の方のお住まいを拝見する機会が多くあります。

東京に住む外国人の方は、そのほとんどが駐在員であることが多く、家は分譲でなく賃貸ですが、
それでも、家に入って「圧倒」されるほど、どのお家もその家族の個性を演出しています。
特に、客間にもなるリビングのしつらえは、「私たちはこういう家族です」という
プレゼンテーションのような役割を果たしているようです。

たとえば、玄関からリビングに入るまでに、壁に飾られている写真。
この家族の中に写真が好きな人がいて、それがどんなものを撮った写真であるかによって、
どんなものを好む家族なのかが、言葉を交わさずに理解できます。

リビングに配置されている、一見ミスマッチのように感じる、世界の調度品。
中国のタンス、チェコのマリオネット、フランスのソファー・・・でも、それが不思議と
一つの世界をつくり、その家族がこれまでどんな国でどんな風に暮らしてきたかがわかります。
人を家に招き、お互いをよりよく理解するうえで、リビングのインテリアが言葉以上の
働きをしてくれることもあるのでしょうね。

私は、フランスと日本でインテリアの勉強をしましたが、一つの「空間」をつくりあげる
プロセスが、フランスと日本では全く違うやりかたのような気がします。

家とは、世界に一つだけの、自分らしさを存分に発揮できる空間です。
お家の新築は、それを実現できるちょうどいいチャンスです。

是非納得いくまで検討して、素敵なリビングが完成することをお祈りしています。