対象:労働問題・仕事の法律
本田 和盛
経営コンサルタント
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通勤災害と第三者行為災害
凄腕社労士 本田和盛です。
通勤途上の事故は、通勤災害保護制度により労災保険から給付がなされます。
労災保険は、被災労働者の迅速な保護をその使命としていますので、加害者の
過失の立証等は不要です。(民事損害賠償請求では、そうはいかず、損害賠償
額を確定するのに時間がかかり、また相手方が最終的に損害賠償額を支払って
くれるのかどうかも分かりません)
そこで通常は、労災保険からの給付を優先して支給します。ただし交通事故
の加害者は、労災保険の関係当事者(使用者・労働者)とは無関係な者であり、
「第三者行為災害届」により被害者が労働基準監督署に届出なければなりま
せん。
「第三者行為災害届」には過失割合を記入する項目もあります。労災保険の
保険者である国は、この届出をもとに、加害者に対して被災労働者に支給した
労災保険給付の額を請求(求償)します。
簡単に言うと、加害者が支払わなければならない治療費などを国が代わり
に支払い、その後、加害者に請求するという形になります。
被災労働者が加害者(第三者)に対して有する損害賠償請求権を国が
代位取得することにより、労災保険での給付が実現するわけです。
なお、被災労働者が示談などで損害賠償請求権を放棄した場合は、その
限りにおいて労災給付は支給されません。損害賠償請求権が放棄された
場合、国は加害者から労災給付に要した費用を回収できなくなるからです。
通勤災害で加害者がいる場合は、第三者行為災害届を提出するのと同時に
安易に示談書を交わさないことです。労基署でも「労基署に相談せず、かって
に示談致しません」旨の「覚書」を書かされます。ご注意下さい。
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この回答の相談
通勤途中に交通事故に会いました。信号待ちの停車中に後ろから追突されました。100対0だそうです、加害者の保険会社から通勤途中なので、労災でお願いしますとのことです、被害者なのに、被害者の労災を使うのですか?納得がいきません。教えた下さい。
takuminowazaさん (佐賀県/52歳/男性)
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