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小松 和弘 専門家

小松 和弘
経営コンサルタント

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営業支店ミッションと経営方針から部門ミッションを導きましょう

2021/01/25 08:58

eastpescさん、こんにちは。

人材サービス会社での新規部門立ち上げに伴う、部門ミッションの策定についての進め方・注意点等のご相談ですね。以下に順を追ってご説明させていただきます。

1.ミッションとは何か
はじめに、「ミッション」という用語の定義について復習させてください。
著名な経営学者、ピーター F. ドラッカーが著書「Managing in the Next Society」の中で、ミッション・ビジョン・バリューの必要性を唱えています。「ミッション・ビジョン・バリュー」は、社会的な使命に基づき(ミッション)、チームで価値観を共有し(バリュー)、自分の組織が社会の中でのあるべき姿(ビジョン)に近づけることです。

・ ビジョン  : 「視覚」「未来像」「夢」。企業や組織が目指す将来像。
・ ミッション : 「使節」「使命」。企業や組織が果たしたい、または果たすべき使命。
・ バリュー  : 「価値」「値打ち」。企業や組織が社会に対して提供したいとする価値。
           ミッションやビジョンを達成するために具体的にどう行動するべきかという「行動指針」。

自然の産物でない組織は、人の意思と尽力があってはじめて機能します。「ミッション」は、その組織の存在理由・目的です。外部委託はできないため、きちんと時間を確保して、メモを取りながら考え抜く必要があります。以下に、参考文献で紹介されていたアドバイスを、ご紹介いたします。

・ Tシャツのプリントのような、すっきりとわかりやすいものがよい。
・ 明日への一歩ではなく、今日何をするかに関わるものにせよ。


2.ミッション策定のポイント
上述の通り「ミッション」は、組織の存在理由・目的です。策定のためには、新規部門の内部環境だけでなく、新規部門を取り巻く外部環境も考慮に入れて、検討する必要がございます。

2-1 顧客・自社理解
まずは、顧客・市場・自社の理解から始めます。
一般的にこの顧客・市場・自社の分析は、「3C分析」と呼ばれています。「3C」の内訳は、「Customer(顧客・市場)」「Competitor(競合)「Company(自社)」の頭文字を取ったものです。想定顧客のターゲット層や市場規模、競合他社の商品力や取り組みを踏まえたうえで、自社の競争優位性を考えていきます。

それでは今回の新規部門にあてはめ、ご説明いたします。
質問文から、「首都圏に点在する営業支店に横串をさすような業務を遂行していくこと」を目的に設立されたと判断できます。そのため、(1)各営業支店と新規部門が一体となって業務を遂行する想定で、各営業支店が持つ顧客・市場の総和を、新規部門の顧客・市場と定義する考え方、(2)各営業支店と新規部門は相互に独立しており、各営業支店そのものを新規部門の顧客として捉える2つの視点が考えられます。今回は、(1)と(2)の両方の視点から、検討する方が望ましいと考えております。

2-2 ミッション策定
次に、顧客・市場の自社に対するニーズは、顧客が直接的に求めている顕在ニーズと、直接的には言葉にしていない潜在ニーズなど営業活動でのコミュニケーションや自社方針と照らし合わせ、ミッション作成へと進みます。

この照らし合わせる方法の1つとして、SWOT分析というフレームワークが知られています。「SWOT」は、「Strength(=強み)」「Weakness(=弱み)」「Opportunity(=機会)」「Threat(=脅威)」の4つの頭文字をとったものです。まずは自社の強みと弱みを整理し、市場のビジネスチャンスと取り巻く環境の変化を押さえます。環境の変化は、競合他社の動向だけでなく、景気動向や法規制などの要因も含めて考えておきます。このようなフレームワークを活用することで、課題や問題点がはっきりし、幅広い視点からの策定が期待できます。

それでは今回の新規部門にあてはめ、ご説明いたします。
新規部門の状況は、各営業支店の状況に大きく左右されます。そのため、各営業支店へのヒアリングや営業拠点への実地視察、各営業支店の財務情報や市場状況のデータ収集などを通じて、分析をします。同時に、各営業支店のミッションについても、理解を深めておきます。次に、新規部門立ち上げに関して、会社が期待している役割があると思います。役員を含む関係者へのヒアリングを行い、部門立ち上げの経緯に関する社内文書を確認し、社内での立ち位置を確認しておきます。これらの分析から、顧客ニーズを踏まえ、新規部門の付加価値を活用できる、方向性が明確になっているミッションを、突き詰めていきます。


3.注意点
3-1 部門担当範囲
部門の役割や業務範囲、営業プロセスなど部門内で共通見解を持つことができないケースがあります。そのため、事前に各営業支店と新規部門の全社的な棲み分けを検討しておくことが大切です。具体的には、どの部門の誰が何をどこまで担当するかの境界線を、明確にしておく必要があります。

3-2 経営方針との整合性
社内調整が不調に終わった場合、各営業支店のミッションと新規部門のミッションに、方向性のずれが発生することがあります。運の悪い場合、部門ミッションが相互に対立することも考えられます。このような場合、経営理念や経営方針などの全社方針が最終的な判断のよりどころになります。部門間での努力で対立が解消しない場合、経営者や役員へ助言を求めることや、経営会議で判断を仰ぐケースも、念頭に置いておく必要がございます。

以上、お役に立てれば幸いです。
eastpescさんの事業が、今後益々ご発展されますことをお祈りしております。


<参考文献>
マイナビニュース 会社の指針である「ビジョン」「ミッション」「バリュー」の意味や違いとは?
https://news.mynavi.jp/article/20190614-841981/

ノマドジャーナル ミッションビジョンバリューについて。視点で変わるピラミッド構造
https://nomad-journal.jp/archives/6244

ドラッカー研究 「われわれのミッションは何か」
http://drucker-studies.com/essence/2306.html

パーソルプロセス&テクノロジー 再現性のある営業活動を実現するために必要な5つの要件
https://www.persol-pt.co.jp/salesmarketingservice/blog/sales-organization-01rewrite/

J-Net21 経営の経験が浅いため会社の方向性を決められず困っています。どうしたらよいですか?
https://j-net21.smrj.go.jp/qa/org/Q0050.html

J-Net21 商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり
https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/development/system.html

以上

ミッション
経営理念
ビジョン
課題
コミュニケーション

回答専門家

小松 和弘
小松 和弘
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この回答の相談

新規部門立ち上げを任されました

法人・ビジネス 新規事業・事業拡大 2009/04/15 12:54

はじめて質問させていただきます。

小生、人材サービス会社に転職して3年になります。
このたび社内で新規部門が立ち上がりまして、担当することに
なりました。

この部門は、首都圏に点在す… [続きを読む]

eastpescさん (東京都/38歳/男性)

このQ&Aの回答

まず、会社の理念をご確認ください。 運営 事務局(オペレーター) 2009/04/16 00:44
新規部門のミッション策定についてのアドバイス 山本 雅暁(経営コンサルタント) 2009/04/16 07:19
マーケティングモデルの開発をテーマに 運営 事務局(オペレーター) 2009/04/16 11:20
背景・目的から始めて、5W1H的に展開してください 運営 事務局(オペレーター) 2009/04/16 11:24

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