対象:住宅設計・構造
野平 史彦
建築家
-
住宅性能評価の実体
「住宅性能評価は第3者機関が評価したわけではなく、販売業者が独自に評価し記載しているものです。」というのは、どういうことなのでしょうか?
評価機関は国の認可を受けた所でなくてはならず、「販売業者が独自に〜」というのは、何ともうさん臭い話しですね?
もしかしたら、品確法とは何の関係もないものを勝手に作って購入者を欺いている可能性もあります。
型式認定を取っているものは認定番号だけで済んでしまいますが、それでも評価機関に申請しなければならないはずです。先の斉藤さんの回答にあるように確認してみる必要がありそうですね。
しかし、本物の住宅性能評価における「劣化の軽減に関すること(木造軸組工法)」のチェック項目を見ても、
外壁の構造 □通気構造
□ 真壁構造(軒ので900mm以上)
□ その他
とあるだけで、「通気構造」にチェックをすれば終わりです。
屋根には「小屋裏換気方式」があるだけです。
これでは、本物の住宅性能評価であっても、外壁通気層が上で塞がっていても、屋根に換気がなくてもクリアしてしまいそうです。
(評価基準の趣旨からすると、当然、外壁通気はきちんと通っていなければならず、小屋裏がない場合でも、同様の措置が取られることが求められているのですが、図面では分かり難く、現場の検査でも評価員はほとんど見ていませんが、、)
現実の話しとして、外壁通気層が壁の上部で塞がっていると、室内から漏れた水蒸気を逃がす道が塞がれている訳ですから、逃げ道を失った外壁上部(軒下)で結露を繰り返し、北側の外壁なら5年でカビが生えて来ます。モルタル塗りの外壁なら表面が緑色のシミが出て来て「カビ仕上げ」になってゆきます。
補足
うちのそばにも3年ほど前に建った建て売り住宅のモルタル外壁の北面がもうすでに見事な「カビ仕上げ」になってきているところがあります。壁面緑化の新しい手法か?と、ちょっと皮肉った目でいつも眺めていますが、、
サイディングなら表面にはなかなか出て来ませんが、気がついた時には、すでに外壁下地が腐って外壁がバサッと落ちる様な状況になっていることもあります。
屋根断熱をした屋根の通気層がない場合、これは外壁よりは多少保ちそうです。屋根は北側外壁とは違って、結構、陽が当たっているので、水蒸気が室内側とか色々な隙間から半強制的に逃げているからです。
とはいえ、このような過酷な環境で構造躯体が75年〜90年もつとは到底考えられないとお感じになっている、あなたが正解です。
住宅性能表示制度は、勿論、いい面も沢山あるのですが、建物の不動産価値を高めるという意味で、実は販売業者のためにあるような制度で、実際にはハウスメーカーや建て売り業者が素人の目をごまかす、いや、素人に対して「安心・安全」を装うために使われている様に思えてなりません。
あなたが不信に思っている様に、業者がチェック項目だけを潰していけば、あとはどうなっていようと色んな等級がもらえるのですから、、
(現在のポイント:-pt)
この回答の相談
昨年建売住宅を購入しました。
パンフレットには全住戸共通の「住宅性能評価基準」が記載されており、劣化対策等級は等級3になっています。
そこで質問なのですが、外壁はサイディングで通気工法を採用… [続きを読む]
kmkmkmkmkmさん (兵庫県/29歳/男性)
このQ&Aの回答
このQ&Aに類似したQ&A