対象:住宅設計・構造
素材と質感と嗜好
ボッテガベルタ太田と申します。ご質問の件ですが、すでに各建築家の方々がほぼ同じお答えをされているようなので、少し視点を変えてお話します。
コンクリートと言う素材は紀元前からあるのはご存知でしょうか?現在のものとは同じではないですが、その前身となるものは古代エジプトのピラミッドの石積の目地に使われたり、かのローマの円形競技場コロッセオは、まさにコンクリートでできています。現在建築で使われているコンクリートはまだ200年程度の歴史ですが、基本形は昔から存在するのです。
所謂、本来のスタートは物と物を繋ぐ目地材であったり、すなわち欧州の石材やレンガと言う素材を結合するために必要なものであって、その堅固な性質を利用する知恵がその後大規模建築の素材として発達したものです。したがって、小規模な住宅、人がその中で長く生活する空間等には基本的にはあまり向かない、私はそう思っています。それはコスト、素材の性質(セメント、水というものを使う以上、水分が発散されるのは当然)、性能(音、断熱など)からです。
しかしながら、コルビジェはじめ、近代建築の巨匠たちは挙ってコンクリートを建築、尚且つ住宅の素材として使用し始めて、今や最も第一義的に存在する素材、工法になりました。安藤忠雄さん、しかりです。
それでも、実際打ち放しという限定で話をすれば、決して住みやすい機能を持った素材ではないことは、素材の生い立ちを考えてもいえることです。打ち放しを選ぶ決め手はその素材の見せる表情と質感そのものへの嗜好であとうかと思います。感覚的に好きであるかと言うことがまず、この素材と工法を選ぶポイントであり、性能や機能の難点より、そこに価値観を見出せるかということがまず必要でしょう。
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