対象:特許・商標・著作権
特許権の行使について
1 結論
有効な特許権を有している以上、その対象となるハードウエアを実際に製造していない場合であっても、特許権の行使は認められます。すなわち、当該特許権の侵害者に対して差止請求権や損害賠償請求権をすることができます。
2 参考
ご参考までに、米国連邦最高裁は、一昨年、特許権を実際に使用していない会社が特許権に基づいて差止請求をした事件について、差止に関する伝統的な4ファクター・テストを適用し、差止請求を認めませんでした(MERCEXCHANGE vs EBAY事件)。ただ、これはいわゆるパテント・トロール(わかりやすく言いますと、特許権を有しているけれども製造を行わず他社に特許料を要求することを目的として特許を保有している者)についての判断といえますので、貴社のように特許権をとったが実際に製造していないというだけではこれにはあたりません。したがって、日本の裁判所が米国連邦最高裁と同様の考え方をとったとしても、貴社の差止請求は認められます。
3 補足
なお、ご相談内容には「審査請求が通った」と書かれています。もし、それが「設定の登録」を済ませたという意味でしたら特許権は発生しています。しかし、設定登録をされていないということでしたら特許権はまだ発生していませんので権利行使はできません。特許権は設定の登録により発生するとされているからです(特許法66条1項)。
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この回答の相談
ハードウェアに関する
特許を出願し、審査請求が通ったのですが、
結局当社ではハードウェアを作りませんでした。
ところが、他社が当社の特許を侵害したハードウェアを作っていることが最近判明いたしまし… [続きを読む]
kentさん (神奈川県/39歳/男性)
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