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後藤 義弘
社会保険労務士
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実態のない取締役が負うリスク
KEN&C.Oさん、はじめまして。
後藤と申します、どうぞよろしくお願いします。
形式的な取締役を置くことをお考えということですが、例えば株式に(全部または一部)譲渡制限をかけないことなどから公開会社(取締役会設置会社)を選択するなど会社の機関設計上の要請によるものでしょうか?
いずれにしても、通常KEN&C.Oさんの会社とこれから取引を開始しようとする取引先は、商業登記によりKEN&C.Oさんの会社の定款や機関設計、意思決定機関など与信判断(KEN&C.Oさんの会社と取引をして大丈夫か)に際し事前に調査を行います。 この時KEN&C.Oさんの会社の''(代表)取締役が誰なのか'' ということも当然チェック項目に入ります。
そうすると、その取引先がこうした調査を経て、お話の通り ''名前だけの取締役'' であるご友人を、正式な就任プロセスを経て選任された ''真の取締役'' と信じて取引を開始し、万一KEN&C.Oさんの会社がその取引先に損害を与えてしまった結果、その取引先がご友人に対して損害賠償を請求する訴訟を提起したような場合
''名前だけの取締役で実際に業務も行っていないので責任は負う必要はない''
という主張は通用しません。
''商法'' では、このように正式な就任プロセスを踏まずに登記された名前だけの取締役を「表見取締役」と呼んでおり、上のような与信判断のプロセスを経て、こうした実態のない登記(ご友人が取締役であるという外観)を信じて取引を開始した第三者(取引先等の債権者)を保護する立場をとり取引の安全確保を図っています。
実際に ''最高裁判例'' においても、この商法の規定を適用した上で会社法規定の「表見取締役」の第三者に対する責任を肯定する考え方をとっています。
補足
この規定は、「善意かつ重大な過失がない」ことを自身で立証しなければ責任を免れることができないもので取締役の第三者に対する責任は重く軽視することはできません。 新会社法施行前は株式会社設立に3名の取締役を必要としていたことから、形式を整えるため名前だけの取締役を置く会社が多く存在しましたが、新会社法では取締役1名のみの会社運営が可能となりました。
KEN&C.Oさんの会社の運営、機関設計や株式設計がどのようなものかうかがえず何とも言えませんが、こうしたリスクを踏まえ、不用な取締役を設置する必要のない運営形態を選択することなど、そのご友人に不用なリスクを負わせることは避けるべきと考えます。 もしくは公開会社をお考えで取締役として登記する以上は、やはり正式な就任プロセスを経て責任を持って事業に参画させる ''真の取締役'' とするべきでしょう。
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この回答の相談
これから会社を作りたいと思いますが、事情があり友人を名前だけ役員になってもらおうと考えています。 よく親や友人をかたちだけ役員にしている会社がありますが何か問題はあるでしょうか。
KEN&C.Oさん (大阪府/31歳/男性)
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