対象:新規事業・事業拡大
成功がより容易なものから進めていきます
新規事業を始める場合、ついつい「今ある経営資源を有効利用しよう」という発想から考えてしまいます。
それも間違いではないんですが、考慮に入れないといけないことがあります。
投資とリターンの関係。
つまり、より少ないコストや労力で、うまくいくものから優先順位を付ける、ということです。
既存事業と新規事業で、経営資源を共有して得られる効果を「シナジー(効果)」といいます。
こちらをご覧ください。
All About用語集 「シナジー」
用語の定義だけしているweb辞書が多い中、All About用語集では、例まで出して説明しています。
この例を考えてみましょう。
核となる技術(光学の知識)や生産設備は、カメラと半導体製造機械で、共用できます。
でも、工程や、個々の作業に要求される技能、人の配置など、生産に関わる他の要素は、異なるのではないでしょうか。
それと、なんといっても、カメラと半導体製造機械では、客層が異なります。
カメラは、カメラのショップや量販店(エンドユーザーはもちろんカメラユーザー)で、半導体製造機械は、半導体メーカー。
となると営業員に必要な知識も当然、異なります。
カメラは、カメラの知識のほかに、お店にうまくカメラを売ってもらうための「リテールサポート」が求められるでしょう。
経営やマーケティングの勉強も要りますね。
半導体製造機械の場合、「リテールサポート」は重要ではありません。
それよりも、半導体の製造技術について、高度な知識が要るのではないでしょうか。
核技術や生産設備が同じだからといって、様相の異なる事業に安易に手を出すと、コストメリットどころか経営資源を倍近く消費する割には利益は少し増えるだけという、効率の悪い結果になりかねません。
補足
商品×客層のマトリックスを書いてみて下さい。
成功がより容易な順番を示すと
1.同じ客層に、同じ商品を売る
2.同じ客層に、違う商品を売る
3.違う客層に、同じ商品を売る
4.違う客層に、違う商品を売る
となります。
「カメラメーカーの半導体製造機械事業への参入」の例の場合、違う客層に、違う商品を売るわけで、4つの中で一番難しいのです。
もっとも、相談者さまの会社が、現事業では圧倒的なトップ企業であり、競合に比べてはるかに豊富な経営資源を有するなら、あえて一番成功が難しい、つまり、成功するためにたくさんの経営資源を消費する事業に、参入してもよいでしょう。
しかし、それほどでもない、というなら、成功がより容易な「同じ客層に、新規商品を売る」という事業を、最初に検討してください。
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中小企業を経営しております。事業が安定してきたこともあり、新規事業への乗り出しを考えています。新規事業に取り組むにあたってのポイント、注意点などについて教えてください。また、実際に… [続きを読む]
All About ProFileさん
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