対象:住宅設計・構造
敷浪 一哉
建築家
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断熱性能よりも気密化が大事
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みささんこんにちは。
ここ数年高気密高断熱化が一般化してきて、皆さん力を入れていますよね。
断熱材もさまざまなものがあってどれにすればいいのか迷ってしまうでしょう。
特に、カタログに載っている性能数値はどの材料もあまりかわりがないですからね。
実際断熱をするには、しっかりと密着して隙間から空気が漏れないようにしなければ意味がありません(それが気密ということに繋がるのですが)。
気密のやりやすさで、各材料に差が出てきます。
まず、もっとも手軽に手に入るグラスウールとロックウールは、柱の隙間にグイグイと押し込んで施工します。
押し込むだけですので、隙間が多く残ってしまいます。
それを解消するために、バリアシートというラッピング材で隙間を無くすのですが、この施工が難しいんです。いくらがんばってもスイッチやコンセントや釘穴などから隙間がでてしまうのです。
ポリスチレンボードも同じで、隙間なく張るには高度な技術が必要です。
これらは、建築業者がしっかりとした気密工事を行えるかどうかを確認されて採用したほうがよいでしょう。
補足
それに比べて、現場発泡のウレタン材やセルロースファイバーは、はじめから専門業者の施工になりますので、比較的安定した施工が可能ですし、その場で発泡しながら隙間に入っていきますので、隙間を埋めることも比較的安易にできます。
しかし、これらにも問題があって、ウレタンは発泡してしまった材料には問題がないのですが、原料のイソシアネートは毒です。施工不良で原料が残されていた場合などは、空気汚染の可能性もあります。
セルロースファイバーは新聞紙の再生ですので、一番やさしい材料でしょう。
しかし、新聞のインクに反応してしまう方もいますので、その辺の注意が必要です。
前者の充填系の材料は、気密工事不良から起こる結露→カビ→アトピーに注意。
後者の発泡系の材料は、材料自体に反応してしまわないか注意。
という感じでしょうか。
あとは、価格との見比べですが、ここ最近現場発泡のウレタンは相当価格が下がっています。
セルロースに比べると価格の安さは魅力です。
そういうメリットも踏まえて、僕はウレタンを利用することが多いです。
ちなみに一年前に施工したお施主さんのお子さんがアトピーなのですが、症状は低下しています。
しかし、それは断熱材よりも仕上げ材の影響のほうが大きいかもしれません。
しかし、安易な高断熱化は、より結露しやすい環境をつくりだすことに繋がります(結露は内外部の温度差が大きければ大きいほど起こりやすいから)。
建築会社とよく相談してみるのが良いと思いますよ。
評価・お礼
みさ さん
回答ありがとうございました。
気密や熱欠損に関して主人がかなり気にしていまして、二人でよく悩んでいます。ウレタンの原料が毒ということがかなり気になりますが、安定した施工とコストダウンになるということで、検討してみたいと思います。
(現在のポイント:-pt)
この回答の相談
いろいろな建築業者に話を聞いているのですが、断熱の種類や施工がさまざまです。グラスウールやポリスチレンやウレタンやセルロースファイバーなどいろいろあり、充填断熱や外張り断熱などと、何が一番… [続きを読む]
みささん (新潟県/26歳/女性)
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