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藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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境界塀に関する説明について

2019/11/01 16:43

軽肥満様 
はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。
ご質問いただきました件ですが、詳細な状況の把握ができていないため、
一般的なアドバイスにはなってしまいますが、質問内容から考察すると
境界塀の撤去費用は買主負担となる可能性が高いです。

しかし、これは一般論であり、契約内容や物件探しの経緯によっては
説明不足の責任を追及できる場合もあります。

まず、契約内容や条件、物件概要に付いては売買契約書であったり
重要事項説明に明記されます。
ここに必要な説明がなければ説明義務違反となりますが、境界塀の
所有や維持管理の説明は宅建業法の35条(重説)や37条(契約)では
説明事項にはなっていないのです。

そして、隣地と立会って境界を確定させるかどかや、その可否を白紙条件と
するかどうか、最低限の面積の確保や差異が生じた際の清算などは、
売主買主でどこまで負担するか決めて条件とします。


契約条件として現況有姿での引渡しとあり、単に更地渡しというものですと、
建物だけを解体し、境界塀などは現況というのが一般的となります。


但し、土地購入前から希望する建物プランが既にあり、その建築に支障が起きない
土地探しを事前に依頼していれば、それが業法35条(重要事項説明書)、37条(契約書)の
説明事項にはない項目でも、宅建業法47条1項1号に基づき、購入判断に重要なこと
として、宅建業者には説明する義務が生じます。

現在の塀の位置が希望プランに支障となることが明らかで、不動産業者が
意図的に説明を後出しにしているとすれば業法違反となる可能性が高いです。
もし、そういった要望を伝えていたのでしたら、そういう会話があった旨を録音する等
言質をとっておくことも良いかと思います。

ただ、業法違反とは指導の対象となるかどうかで、撤去費用を負担する義務などが
生じるかどうかは別の話になってきます。
そいった経緯がある場合でも、損害賠償請求をして、それがどこまで認められるかは
微妙な印象です。
どちらかというと、業者が行政指導などの面倒を避けるために、撤去費用を
負担して解決させた方が良いといった状況へ誘導する交渉が、無難な方向性かと
思われます。

また、一つ解せないのはハウスメーカーのプラン作りでしょうか。
境界線という財産上のラインが塀の外でも中心でも、建物を建てられるスペース、
現況として更地のスペースである範囲に変わりはありません。

これが境界線が塀の外側でなく、もっと本地側に食い込んでくる、つまり敷地が小さく狭く
なるという状況でしたら、迫ってきた境界ライン分、建物の配置も道路側へという理屈も
納得できますが、今回はむしろ外側へ広がっています。
ハウスメーカー側が建築敷地とした寸法の取り方、工作物を含めた現況に、
読み間違いや確認不足があった可能性も高いのではと印象を受けます。

不動産業界や建築業界では度々あることですが、雑な仕事の尻ぬぐいと責任を、
他者へ転換する風潮が未だにあります。
都内でも、ひどい知識不足や落ち度から招いた建築できない状況を、
近隣住人などの地権者や接道の見解を行っている行政の責任にしようと
連日騒ぎ立てるハウスメーカーにバッティングしたことがあります。

役所へ自身で行って確認すれば良いことも、仲介側へ何度も問い合わせてきては
基礎知識レベルの話が理解できないハウスメーカー担当者に不安を覚えたことも
あります。
建築に支障が出ると、味方の顔で仲介した業者を悪く言い、自身の落ち度を
誤魔化す業者に遭遇することも多々あります。


今回、軽肥満様が納得いかない状況は、もしかしたらハウスメーカー側の
そういった方向性からの説明で、不動産業者が悪いという前提に仕上がって
いる可能性もあります。

一般的な仲介を行っただけであったり、追及できるような落ち度がない場合、
その不動産業者への責任追及は時間と労力が勿体ないです。
軽肥満様の希望プラン建築の支障が、どこから来ているのか、その責任は誰に
帰属しているのか、当事者となっている不動産業者でもハウスメーカーでもなく
まったくの第三者や第三機関に相談してみては如何でしょう。

明かな原因と責任の帰属先が判明すれば、撤去費用を負担してもらえる展開も
あるかもしれませんし、それが仮に、自身の負担となる一般的なものであると
ご納得できれば、今あるモヤモヤやストレスは多少でも解消できるかと思います。

「私どものかってな解釈で・・・」というくだりがございますが、軽肥満様が
そう思ったことに落ち度などはないと思います。
業者でもなければ、そう何度も売買をすることがない不動産売買です。
そのような細かいところまで自分で確認していなかったと改められる姿勢は、
むしろ立派です。

そういった問題や支障が出た際の責任逃れは、本当に多い業界ですから、
問題解消や責任の帰属先精査にも思い込みは大敵です。
どちらか一方の当事者は自身が責任を被らないようにしか立ち回りません。
そのことを念頭に、まずは第三者へ詳しい状況説明のうえ相談することが
最良と思われます。


ストレスの多い日々で、ネガティブな感情にもなりやすい状況と察しますが、
軽肥満様にとってベストな問題解消に役立つアドバイスとなれば幸いです。
以上、ご参考になりましたでしょうか。
アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

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藤森 哲也
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
03-5773-4111
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売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。

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この回答の相談

土地購入契約後に発覚

住宅・不動産 不動産売買 2019/10/21 10:21

新築戸建てを考えており、理想の土地を契約し、プランニングしております。
東西の境界は隣地のブロックの中心線というのは説明がありました。
道路から見て奥にブロック塀があります。更地の前は住宅が建っ… [続きを読む]

軽肥満さん (兵庫県/27歳/男性)

このQ&Aの回答

境界の調査、説明が不十分です。 野口 豊一(不動産コンサルタント) 2019/10/21 14:21

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