対象:会計・経理
同族間の取引関係は細心のご注意が必要です。
katumata50さん はじめまして
税理の柴田博壽と申します。
ご質問の順にお答えします。
(1)一般法人は、営利目的に設立されています。家賃設定は相当の地代ということになります。
とはいっても民法の契約自由の原則が働き、第3者との契約であれば、通常よりやや低い価額での取引もあろうかと思います。普通、税務当局はなんら指摘をしません。しかしながら、社会通念を超える程度の金額となると課税庁の指摘も行われ、国税不服審判所の審査対象や訴訟問題に及ぶというトラブルも過去に数多く発生しています。
また、法人税法(132条)には「同族会社の行為計算否認」の規定があって、同族間の取引には、特に厳格な取り扱いとなっています。課税の公平のため、いわゆる同族関係者に対する「お手盛り」部分には適正な課税を行おうとするものです。
同族関係者からの家賃を通常より低い金額でとなると課税上多くの問題点があるのです。実は、税務調査で指摘される点の最も多い項目の1つといっても過言ではありません。
(顧問税理士の先生はその点、指導はしていただけなかったでしょうか?)
(2)修正申告は、赤字だから必要がないというものではありません。確かに修正申告を行っても繰越欠損金を控除できれば、当該事業年度の法人税額は発生しません。
しかし、修正申告によって、繰越欠損金が大幅に減少しますから、次年度以降には納税額が発生すると期待されるという訳です。課税庁が国益にならないことをしていているようでは、会計検査院の指摘を受けることになりますのでご安心を。
(3)所得税法には、「個人が法人から贈与を受けた金額は、一時所得」とする規定があります。しかし、家賃は、一時的事象ではなく、毎月のように反復継続しますし、税務調査では、役員などが法人から得る経済的利益として給与所得の認定課税を受けることになります。
課税庁が役員報酬にこの経済的利益部分を給与として加算したうえ、年末調整の再計算を行うなどして差額分を源泉所得税として納税することになるかと思料されます。
(4)B会社は、代表者から事務所を無償で借り受けてもなんら問題はありません。
また、家主のA会社は、営利企業ですから、本来B会社に相応の家賃の請求をするべきでしょうが、Bさんからの転貸ですので、Bさん(又はAさん)が借主として課税上の問題がクリアされれば、B会社自体には、課税上、何らの問題も生じませんね。
ご参考になれば幸いです。
柴田博壽税理士事務所
e-mail : shibata-hirohisa@tkcnf.or.jp
http://shibata-zeirishi.tkcnf.com/pc/
補足
補足事項です。
(2)修正申告はどの位の事業年度まで遡るか?に対してです。
国税通則法上、課税庁の調査官には、5事業年度分の更正処分の権限が与えられています。つまり、5事業年度まで遡及して修正申告の勧告をすることができますし、これに応じない場合は更正処分ができるのです。
しかし、できるという規定であって必ず5事業年度というものでは、ありません。3事業年度というのも結構あります。(非違内容が他の事業年度に及ばなければ当然、当該年度のみとなります。)
調査進行中であれば、担当調査官の指摘を待つことになります。
参考まで
(現在のポイント:-pt)
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