対象:人事労務・組織
退職金規程改定について回答します
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ピ―子さん、こんにちは。
退職金規程に関するご質問について、順に回答いたします。
1. 元上司が設定した支給率早期打ち止めの理由はそもそも筋が通ったものと思いますか。
退職金制度における支給率をどう設定するかは会社が任意で決めることができますので、その支給率設定の合理性を外部から判断することはできません。
ピ―子さんの会社における支給率設定においては、営業職の支給率が一般の会社よりもよりも低いとのことですが、その理由が営業職の基本給が非営業職よりも高く、営業職と非営業職との退職金のバランスを取るためということで、その設定理由は筋が通っているように見えます。しかし制度の作られた当時の細かい状況まではわかりませんし、時間が経つ内に、状況が変化することがあります。また営業職の基本給を高くしていることも、現在の実態に合わなくなっているかもしれません。このように、現状に対する制度の適否は外部からは一概には判断できません。
参考までに、平成26年「中小企業の賃金・退職金事情」調査結果(東京都の調査)を以下にご紹介します。
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/monthly/koyou/chincho_26/index.html
こちらのサイト「第8表 モデル退職金」に、東京都の中小企業の業種別の支給率(月数)実績が掲載されていますので参考にしてください。
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/monthly/koyou/chincho_26/pdf/3_8.pdf
2.就業規則や退職金規定を改定する際、従業員を代表する者の意見を添えるとなっておりますが、この社員が実質No.2なのでこの社員にお願いする事になりますか。
従業員を代表する者とは、労働基準法においては、「労働者の過半数を代表する者」と定義されています。この「労働者の過半数を代表する者」(以下、労働者代表とします)の選出方法ですが、労働者による投票や話し合いなどによって、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが必要とされています。また、労働者代表は、労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないことも条件となります。この管理監督者とは、一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指しますので、当該社員の方が、仮に役職がないとしても、実質的にこのような立場に該当するのであれば、管理監督者に該当する可能性がありますので、労働者代表としての選出は避けたほうがよいことになります。
従いまして、当該社員の方が実質No.2だからといってこの方に労働者代表をお願いする必要はなく、上記記載の内容に沿って、労働者代表を選出する必要があります。
最後になりますが、理由は違えど、元役員の方もピー子さんも、現在の制度に疑問を持たれているという点は一致しているようです。元役員の方の依頼は、事実でないことを根拠にしているのであれば、応える必要はないかもしれません。しかし不満を持つ人がいることを社長様に伝え、他の社員の方も加わる形で現在の制度について議論することは、会社の健全なあり方として必要なことです。ご自身の疑問や問題意識について、是非社長様や周囲の社員の方とよくお話になり、会社を良くしていきましょう。
末筆ながらピ―子さんのご活躍をお祈り申し上げます。
<参考>
(1)就業規則の作成又は変更の手続き
労働基準法第90条
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
(2)労働基準法施行規則 第六条の二 労働者の過半数を代表する者についての定め
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22F03601000023.html
評価・お礼
ピ―子 さん
2015/07/03 16:10小松様、ご回答いただいたタイミングもありまして、お礼が遅くなり申し訳ありませんでした。参照文献のリンクと共にご丁寧な回答ありがとうございました。是非参考にさせていただきます。
回答専門家
- 小松 和弘
- ( 東京都 / 経営コンサルタント )
- ホットネット株式会社 代表取締役
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ピ―子さん (東京都/44歳/女性)
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