Re:犬の落下による脳障害

症状から推測すると、落下による脳神経の障害、もしくは脊髄神経系の異常が考えられます。特に平衡感覚を司る前庭の部分に障害を受けている可能性が高いと推測されます。落下をして、脳に衝撃を受けると脳震盪などを起こし、脳が腫れ症状が出ます。これは一時的なもので、脳の腫れが引くことで症状が改善されます。しかし、その衝撃による脳出血や脳の壊死などが引き起こされる場合には後遺症として、残るケースもあります。また、両方を合併していることもありますので、症状が改善するものの完全には治らないケースがあります。

これらの鑑別に関しては内科治療をしながら経過を見て、症状の改善を待つ場合と、原因鑑別のためにMRI検査を受ける場合とあります。脳出血を起こしていた状態で、時間経過があったとしても症状の進行がなければそれ以上の悪化の可能性は少ないですが、やはり脳に障害が残ることで痙攣などを起こすケース、突然死というケースもあるかと思います。突然死の可能性は高くないと思いますが、可能性がないわけではありませんので、もしご心配であればやはりMRI検査を受けるのが良いかと思います。

MRI検査は全身麻酔が必要ですので、16歳と高齢ですとやはり全身麻酔のリスクを考えなければなりません。MRI検査自体は身体的な侵襲はありませんし、時間も短く済みますので、検査前に血液検査、尿検査、X線検査などで全身の状態を評価し、改めて麻酔をかけるか検討するのがよいでしょう。今一度、かかりつけの獣医師とご相談されMRI検査含めて検討されることをお勧めいたします。