対象:ペットの医療・健康
Re:猫の肺炎による酸素吸入について
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肺炎といっても誤嚥性肺炎や好酸球性肺炎や間質性肺炎などがありますが、経鼻チューブを使用していることより誤嚥性肺炎が一番疑わしいため、誤嚥性肺炎を中心にお答えしたいと思います。
レントゲン上、片側の肺が真っ白と本人も努力性呼吸ということより肺機能が重度の障害を受けていることは間違いないでしょう。肺炎は治癒しにくい病気であり、数か月という治療期間を要し、根治しないこともあります。
誤嚥性肺炎の主な治療は細菌感染を防ぐために抗生物質(1種もしくは2種)、気管支痙攣と呼吸筋の疲労を軽減するために気管支拡張剤、分泌物が出る場合には去痰剤、あとはネブライジングを含む酸素吸入と点滴です。その他にも全身麻酔下での気管支洗浄があります。
薬については経口投与もしくは皮下投与で行います。
酸素吸入については高濃度の酸素による肺での酸素交換をすることにより多くの酸素を肺に取り入れることができるので呼吸が楽になり、治療の補助となります。現在酸素吸入の治療を行っていないようなので、行っていただくことをお勧めします。ただ、レンタル酸素濃度は上限で酸素濃度30%前後となりますのでICU(集中治療室)の酸素濃度50%よりは効果としては落ちてしまいます。また1日3回数十分の酸素吸入でも行っていない状況よりは本人の呼吸は楽になると思いますのでお勧めいたします。ネブライジングとは酸素室の中に蒸気を発生させ、この中に抗生剤、気管支拡張剤、去痰剤などを混ぜることにより直接肺に薬剤を浸透させることができます。レンタル機器によりネブライジング可能・不可能がありますのでレンタル業者の方に問い合わせる必要があるでしょう。
点滴については努力性呼吸を繰り返すことにより体の水分が呼吸とともに体外へ放出されてしまい脱水を起こすことがあります。腎不全も患っているようなのでしっかりとした輸液療法も必要を考えられます。
最後は全身麻酔下での気管支洗浄ですが、肺内の産出物などを物理的の排除するには効果的な治療となります。ただ全身麻酔下での治療となりますので麻酔の危険性は考慮しなくてはなりません。質問内容からの全身状態を考慮するとお勧めいたしません。
好酸球性肺炎や間質性肺炎の主な治療はコルチコステロイドや抗がん剤、酸素吸入などが主となります。
今回、誤嚥性肺炎を中心に肺炎に関してのお話をさせていただきましたが、呼吸が悪くなり、肺がレントゲン上白く写る病気には肺炎の他、胸水の貯留、肺水腫、肺高血圧症、肺血栓症、肺腫瘍などが存在します。それらとの鑑別の為にも再度レントゲン検査、血液検査、心臓エコー検査を中心とした各種検査をお勧めいたします。
上記のことをご考慮いただき、かかりつけの獣医師、もしくは他院の獣医師とよくご相談の上、最善の治療法をご選択ください。
評価・お礼
にゃんちぃ さん
2014/08/25 13:14
●●先生、お忙しい中の御回答ありがとうございます。
肺炎の種類については特に特定されず、糖尿病にも罹患しているので免疫力低下による「感染症」ではないか?と言われました。ネブライジングは肺炎通院初回時に先生に言ってみましたが「使えますが、あまり効果はないでしょう」と言われてます。気軽に色々な相談が、しづらい感じです。
レンタル酸素機器は土曜日に借りてみました。猫自身を見てると酸素を吸ってる間は楽そうに見えます。
ここ数日は足元のふらつきも顕著でトイレも入ったつもりで下半身はトイレ外な猫ですが、最期のその時まで見守りたいと思います。
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この回答の相談
我が家には16歳になる猫がいます。約2年前に糖尿病を発症、昨年11月に腎不全を発症しました。糖尿病については1日2回のインスリン投与、腎不全は経鼻チューブによるリーナルケアを注入しています。そ… [続きを読む]
にゃんちぃさん (兵庫県/44歳/女性)
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