自分の命を守るのは、避難勧告を出す偉い人ではなく、自分です。 - 高荷 智也 - 専門家プロファイル

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高荷 智也 専門家

高荷 智也
備え・防災アドバイザー

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自分の命を守るのは、避難勧告を出す偉い人ではなく、自分です。

2013/10/18 15:19
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5.0
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2013年の台風26号は、首都圏とりわけ東京・大島町で多数の死亡者を出す大惨事となり、各地に多くの爪痕を残しました。その傷が癒える間もなく同じ規模の台風が接近する可能性があると報じられるなど、不安が続いています。

台風の接近前、そして不幸にも被害が出た後の備えについて、考えてみましょう。

■台風が接近する前の物理的な対策
台風による被害として、次のようなことが想定されます。
 ・大雨による浸水
 ・土砂災害による埋設
 ・強風と飛来物による住居の破損
 ・インフラ途絶(停電や断水)
事前の準備は、どうすればこのような被害から逃れられるかという視点で行いましょう。

●雨どい、側溝、屋外の排水溝はきちんと掃除をして、水はけをよくしておく。前回の台風で破壊されている可能性もあるので、早めに確認しておきましょう。

●植木鉢、バケツ、物干し竿など、屋外にあって固定されていないものは、一時的に玄関へ待避させるか、ネットとロープを使ってしっかりと固定しておきましょう。

●雨戸やシャッターがきちんと閉まるか、事前に確認しておく。物置小屋のドアがきちんとロックされるかも調べておきましょう。

●停電に備えて、懐中電灯、電池式のランタン、ラジオ、予備の乾電池などを用意しておく。停電すると携帯電話によるインターネットもできなくなる可能性がありますので、情報源としてはラジオが有効です。

●停電すると断水する地域もありますので、ペットボトルの保存水を用意しておいたり、トイレ用の水を風呂場にためておく。またガスコンロも使えなくなる場合がありますので、カセットコンロとガスボンベがあれば安心です。

●雨戸やシャッターがないガラスの窓には、地震対策もかねてガラス飛散防止フィルムを貼っておく。フィルムを貼っておけばガラスが割れても飛び散ることがなくて安全です。

※飛来物などで窓ガラスが割れた場合、台風の最中に修理をすることは困難です。今まで一度も割れたことがないから大丈夫、と考えずに最悪のことを考えて準備することが大切です。


■台風に備えた心構え
台風26号では大雨特別警報が発表されなかったにもかかわらず、東京・大島で甚大な被害が出るなどしたため、行政の責任を追及する声が上がっています。

しかし、これはやや危険な考え方といえます。本来、自分の命は自らが守るものであって、気象警報や避難勧告といった通知は、避難を行うための目安やきっかけに過ぎないのです。行政の指示がなかったため避難できなかったというのは、自らの命を他人に委ねる行為になりかねません。

また、仮に特別警報や避難勧告が通知されたとして、「自分の家は大丈夫」と考えず、素直に避難を行う方はどれほどいるでしょうか。さらに警報が空振りに終わった際、「何事もなくて良かった」ではなく「避難が無駄になった、どうしてくれる」と責任を追及する声が上がることもよくあります。

避難指示や避難勧告は、市町村長の判断で発表されますので、通知が遅れることがあります。しかしインターネットが普及した現在では、こうした指示が出ていなくても自分と家族に迫る危険を知ることができますので、自らの判断で避難を開始することが必要な場合もあります。

大雨や土砂災害に関する危険の目安として「大雨警報」がありますが、同時に「記録的短時間大雨情報」や「土砂災害警戒情報」が発表された場合、また「大雨特別警報」に変化した際には、洪水や土砂災害などの重大な災害発生の危険性が高まっています。さらに特定の河川に対して「氾濫危険情報」や「氾濫発生情報」が発表された場合は、洪水が生じる恐れがあるか、すでに生じています。

気象警報やその他の通知は、雨の量などが基準値に達した場合、気象庁を通じてかならず発表されますので、これらの発表を知った場合は、支援が必要な近所へ声をかけつつ、移動が不可能になる前に避難を行うなどの判断が必要です。


■台風で被害を受けた後の対応
台風で家屋や家財に被害を受けた場合は、「火災保険」を使って補償を受けることができます。火災保険にはオプションがいくつかあり、例えば台風の大雨による浸水被害や、土砂災害による被害は「水災」でカバーされます。また飛来物などで被害を受けた場合は、「風災」でカバーされます。

火災保険の多くは、これら「水災」や「風災」をまとめて契約することが多いですが、特に新しい契約の場合は自らの意思でオプションを解除している場合があります。河川が近くになくても土砂災害の可能性はありますので、「水災」を対象外にしていないかどうかなど、台風の前に保険会社へ確認しておければ安心です。

不幸にも台風で被害を受けた場合は、被害を証明するために状況が分かる写真を残しておくと安心です。また後片付けにかかった費用も請求できる場合がありますので、金額のメモや領収書などは残しておきましょう。

対策
台風
保険

評価・お礼

みるきー さん

2013/10/18 17:11

早速の回答、また詳細に記載頂きありがとうございました。

教えて頂いた対策について、チェックシートにして自分なりに台風に備えたいと思います。
また、実際に台風が直撃した場合に備えて、どうやって台風情報、警報に注意深く耳を傾けるようにしてみます。

台風被害を受けた場合は、火災保険のオプションがあるというのは知りませんでした。
もう少し、自分で調べてみます。
被害状況を写真にとっておくということも知りませんでした。

ネットでは台風27号が「やばい、やばい」という噂ばかりが飛び交っていて、心配していましたが、少しホッとできました。
今週末、もう少し自分なりに調べてみます。

ありがとうございました。

高荷 智也

ご評価ありがとうございます。

地震のようにいつ来るか分からない災害とことなり、台風は「いつ・どこに」やってくるのかが目で見える災害ですので、準備さえしておけば被害を押さえることができます。物理的な準備、保険のような事後の準備共に、一度お考えいただければと存じます。

回答専門家

高荷 智也
高荷 智也
( 静岡県 / 防災アドバイザー )
ソナエルワークス 代表

備え・防災は、日本のライフスタイル。

「自分と家族が死なないための防災対策」と「経営改善にもつながる緊急時に役立つBCP」のポイントを解説するフリーの専門家。自然災害から原発事故、企業の危機管理まで分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、テレビや各メディア媒体への出演多数。

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この回答の相談

台風に対してできる防災対策(備え)って何かありますか?

人生・ライフスタイル 防災 2013/10/18 14:20

こんにちは。

先日、気象庁が記者会見し「関東に接近、上陸する台風としては10年に一度の強い勢力」として発表された台風26号が直撃しました。

この台風は各地で被害を… [続きを読む]

みるきーさん (東京都/34歳/男性)

このQ&Aの回答

降雨量は増加傾向にあるため、過去の経験や過信に頼らない。 松島 康生(防災アドバイザー) 2013/10/21 03:50

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