対象:子供の教育・受験
episodeからではなく科学的証拠からのアドバイス
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脳がどのように言語を習得していくかについては世界中で多くの専門家が研究しています。
また、ふたつ以上の言語を同時に習得する子供(bilingual, trilingual)の脳についても専門のジャーナルが多く存在し、数々の学説が展開されています。
それら研究結果をreviewしてみました。
1. 相談者のお子さんは、同時に多言語を習得し、bilingualであると推察してお話します。 (生後6ヶ月までに、ふたつの言語で育ち脳に音の刺激を受け、二つの言語、韓国語と日本語を同時習得していることをbilingualといいます。)
* 今現在まで、お父さんの韓国語とお母さんの日本語両方を習得している場合と、主に日本語言語で育った場合とは今後の教育方針に大きく影響すると思います。
2. 今すでに韓国語と日本語のbilingual である場合は、小学校でどちらの言語を選択しても今後の言語の発達には否定的な影響はないと思えます。 脳はすでに両方の言語で機能する領域を作り上げていますから。
例えば、日本環境に住み、韓国語で教育を行う小学校に通ったとしても、どちらの言語も年齢相応に発達する可能性が高いと思います。
【ところが、英語と日本語は、それら言語を機能させる脳の領域が微妙に異なることが研究で証明されていますので、例えば、同じように日本語環境で英語での教育を行う場合、何らかのconflict が起こり、どちらかの言語が、または両方の言語が中途半端な発達しか出来ずに終わることも研究が警告しています(bilingualism に対してsemilingualism と呼ばれます。)。 韓国語と日本語の脳の領域についての研究論文には出会ったことがありませんが、発音の相似性、文法の相似性を考慮すると、恐らく脳の同様の領域を使うと仮定出来ると思います。】
3. これは最近注目されている多くの研究結果ですが、bilingualで育つ子供の脳は、単一言語で育つ子供の脳よりも大きく発達することが証明されています。 知能のみならず、問題解決、creativity などに優れていることも報告されています。
また、子供のみならず、大人、高齢になった場合でも、多言語を使う人は認知症
になる確立が下がることも示されています。 脳がより活発、flexibleに動くことからだと考えられています。
補足
4. 韓国語で教育を受け、例え日本語文化の中で違和感を覚えたとしても、子供さんが大人になる時代には、日本は外の文化に大きく門戸を開いているはずですので(そうしないと日本は消滅しそうです)、活躍の場ははるかに広がると思います。 色んな考え方、行動基盤の人たちが日本を救っていくと思いますよ。 お子さんもその一人。
5. 最後に、「単なる個人の体験」「数名の体験」から、結論を出すことはCritical Thinking に逆行する考え方だと常に危惧を感じます。 その「ある個人」が成功、またはうまくいかなかったのは、単に言語環境だけの問題だけではないかも知れません。 他の要因、知能、脳の機能、性格とか、友達とか、その時の家族の状況とかなど、数々考えられます。 すべて個人により大きく異なります。
科学的証拠から出来るだけ自分にあった答えを導き出していくこと、その答えに基づき決断をしていくことが非常に大切だと思います。
そのような見地から、情報としてアドバイスさせていただきました。
Enjoy watching your child’s development.
評価・お礼
millionstar さん
2012/11/06 11:26
脳科学の見地からのアドバイス、ありがとうございました。
言語によって、使う脳の領域が違うとは思いませんでした。
息子は、バイリンガルとはいえないと思います。夫の日本語がとても流暢で、家ではほとんど日本語だからです。
しかし脳の使う領域が近いならば、影響は少ないかもしれませんね。
回答専門家
- 大澤 眞知子
- ( 英語講師 )
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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この回答の相談
日本に住んでいますが、韓国系の小学校に子供を進学させることを検討しています。
夫は韓国人ですが、日本語が達者で、私や子供との会話も今のところ日本語です。
今後、ずっと日本に… [続きを読む]
millionstarさん (茨城県/34歳/女性)
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