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対象:新築工事・施工

島崎 義治

島崎 義治
建築家

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素材へのこだわりと柔軟性が重要と思います。

2012/10/10 19:23
(
4.0
)

ばんべ様

愛知の大学と東京の事務所を往復しつつ設計活動をしています。
少し遅くなってしまったのですが、ばんべ様の評価を拝見して、少しコメントをさせていただきたく思いました。

いろいろと素材にこだわられていて頼もしい限りです。
おそらく、古来より日本人はこのようにこだわりを持って、また同時に柔軟に対応してきたのではないかと思います。

ですので、杉も工夫をして使ってきています。もちろん檜や松の方が耐水性は高いですが、あの「桂離宮」でさえ、雨が吹き込む広縁の床に杉材を使っています。また、私が修復にかかわった重要文化財の宣教師館(明治20年ころに完成)の床はすべて杉材です。宣教師館は靴と椅子の生活ですから、杉材の上にダンツウやカーペットを敷いたことでしょう。うまく使いこなすことも重要です。


しかし、ばんべ様の「床材を硬くしたい」という要望は現代の椅子の生活では当然のことと思います。床に直接お座りになるのであれば、杉や檜の方が居心地がよいかもしれませんが、家具との接触面の耐久性、摩耗性などから杉や檜では難しい面があります。それでも30mmの杉を強要されるのであれば、むしろ多面的な能力や対応力がないと判断するしかありません。

私も広葉樹が好きです。ただ私は、なら材は住宅のような私的な建築には、硬くて、またワイルドな感じがして、個人的には好きではありません。

ぶなやかば、タモ等も考えられますし、少し高いですが山桜もいいと思います。少し節があってもいいとお考えになれれば、コストを抑えることもできます。
国産材にこだわらなければウォールナットやチークなどもいいです。厚みや板幅、産地を工夫して安いものを選べばいいと思います。しかし、どの材料もまったく異なる役割と雰囲気を醸し出しますので、お住まいにあった、イメージを満足させる、全体の住宅のデザインと調和できる床材を選ぶべきです。床は重要です。

どの程度の住まいのグレードを考えられているか、どんなイメージを持っておられるのか、生活スタイルはどうか、、、そういうことを十分に話し合い、それに応える能力のある専門家と向かい合わないと住宅は満足できるものにはならないと思います。


島崎義治/島崎義治建築設計事務所、人間環境大学教授
2012グッドデザイン賞を受賞しました。
http://architect-studio.com
info@ architect-studio.com

デザイン
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評価・お礼

ばんべ さん

2012/10/11 16:56

ご回答ありがとうございました。
お勧めいただいたタモは、私も一番好きな床材ですが、残念なことに資金的に厳しいものがあり、採用はかないそうにありません。しかし、ブナなど他の樹種にも対象範囲を広げ、専門家のかたちの意見もお聞きして再考したいと思います。近所に無垢のフローリング材を扱っているショップがあるといいのですが、ネットで調べる限り、愛知ではショールームをもっているところは少なそうです‥。
少し話がそれますが、家の建築を勉強していて少々困惑するのは、工務店や設計事務所の方たち、所謂専門家の方たちのご意見が、あまりに様々であることです。実際、正反対のことを言われることも珍しくはありません。しかも一軒の工務店さんであっても、2、3年で大きく意見が変わってしまったりして、ホームページを見ていても驚くことしばしばです。今回の工務店さんも、数年前までは床材で外材のフローリングや竹の床材、断熱材はアイシネン、場合により、ビニールクロスも使っていらっしゃったそうですが、現在は様々な理由からいっさい使われないそうです。以前の施主さんが、工務店の現状をしられたら騙されたような気がするんじゃないでしょうか。‥と、まあ、これは愚痴ですが、とにかく粘り強く勉強して、少しでも希望の住宅を手に入れるようがんばりたいと思います。
ありがとうございました。

島崎 義治

島崎 義治

2012/10/11 22:50

評価ありがとうございました。


専門家の意見がそれぞれ異なるのは、建築という世界が、単純な方程式によって導かれないからです。一つの課題に対してさまざまな道筋が用意されています。それは恣意的なものではなく、多様な条件やそれに対処する対応力や技術力などによって変わるものと思っております。

同じ命を扱う医師にもいろいろな考え方があります。調理師も同じです。腕によって大きく異なりますし、使う食材によっても、目の前の客の舌によっても異なります。もちろん、ふところ具合によっても。

結果だけを尋ねられるから、答えがさまざまなのではないでしょうか。

また、こだわることがいいと申しましても、あまりに狭い視野や偏狭な考え方に陥りますと、一見専門家的なように感じられるかもしれませんが、そのような方向へ行けばいくほど、ちょっとした考え方の違いがとても大きなものに見えてしまうのではないかと思います。

もっと大きな視点で住まいを考える必要もあります。クライアントをバランスよく、あるべき方向へ導く、それが建築家としての役割でもあると考えています。


最後になりますが、ならで収まる工事金額が、何故、タモだと収まらないのか疑問が残ります。また、タモとならは全く異なる表情を持っています。一番いいと思うタモが採用できない時に次の選択肢が何故ならになるのかもわかりません。

どうぞ、イメージを大切にし、ぜひとも望む住宅を手にしてください。ありがとうございました。

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この回答の相談

床 無垢材の厚みについて

住宅・不動産 新築工事・施工 2012/10/08 12:32

自宅の建て替えで工務店と話をしています。
元々は、傷がつきにくい点や色合いの好みから15ミリのナラを考えていましたが、工務店から強く30ミリの杉を勧められています。ナラは輸入品なので、薬剤が使わ… [続きを読む]

ばんべさん (愛知県/52歳/男性)

このQ&Aの回答

素材にこだわりのある家 小木野 貴光(建築家) 2012/10/28 18:33
建築床材料として 竹中健次(建築家) 2012/10/09 15:12

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