対象:住宅・不動産トラブル
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鮫川 誠司
司法書士
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媒介(仲介)報酬の性質とその受領の可否について
ご相談の件について,下記の通り,回答申し上げます。
なお,媒介報酬の額が,140万円を超えないことを前提とさせて頂きます。
まず,宅建業者が媒介報酬を請求するためには,少なくとも,i)媒介契約とii)媒介行為の存在が必要です。
1 媒介契約書の交付がない場合
媒介報酬は,いわゆる「売買代金の3%+6万円」を,当然に,請求できるわけではありません。
宅建業法の規定は,報酬の「上限」額の規制に過ぎないからです(宅建業法46条2項)。
他方で,宅建業者は,売買の媒介契約を締結したときは,遅滞なく,「媒介契約書」を依頼者に交付しなければなりません(同34条の2)。
本件において,もし,媒介契約書の交付がなかった場合には,媒介契約締結時に,具体的な報酬額の合意がなかった可能性があります。
その場合,少なくとも,既払報酬額の一部については,不当利得として返還を請求できる可能性があります(民法703条)。
2 媒介契約書が交付されている場合
(1) 宅建業者が個人業者の場合
宅建業の免許は,会社のみならず,個人でも受けられます(宅建業法5条参照)。
本件において,もし,マンションの実質的な所有者が社長自身であると評価できる場合には,宅建業者(社長)が自己の所有物件について,自ら売主となって売買をしていることになります。
その場合,そこには何らの媒介行為が存在しない以上,既払報酬額の全額について,不当利得として返還を請求することができます。
(2) 宅建業者が会社である場合
法人と自然人とは,法律上,人格を異にしますので,社長の配偶者の所有する不動産を社長の経営する会社が媒介して売買契約が成立した場合に,媒介報酬を請求することは,直ちに,不当であるということはできません。
しかし,仮に,本件の宅建業者が小規模な会社であって,社長の配偶者も,当該会社の役員であるような場合には,議論の余地があります。
というのも,その場合,媒介業務の中で最も大きな比重を占める「取引の相手方の探索」が,事実上,行われていないといわざるを得ず,媒介報酬について,当然に,その全部を請求することについては,疑問が残るからです。
この場合には,まずは交渉によって,媒介報酬の減額を申入れてみましょう。
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補足
宅建業者の中には,大変残念なことですが,「強い者(法律専門家)には下手に出て,弱い者(消費者)には強く出る」というものもあるようです。
交渉に当っては,弁護士・司法書士にご相談の上,法律専門家に交渉を代理してもらった方がスムーズに紛争が解決するかもしれません。
以上,平様のお役に立てば幸いです。
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