対象:労働問題・仕事の法律
鮫川 誠司
司法書士
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職場内における人格権侵害に対する法的責任
ご相談の件について,下記の通り,回答申し上げます。
なお,慰謝料等の金額が140万円を超えないことを,前提とさせて頂きます。
まず最初に,毎日の生活に不可欠の空間である家庭や会社が,穏やかで安心できる場所であることは,人間が健康で文化的な生活を送る上で最低限の条件であるはずです。
山田様の精神的苦痛は,如何ばかりかとお察し申し上げます。
山田様の上司の行動は,いわば逆恨みに等しいものであって,そのような動機から発した共同絶交(村八分)の指示や,陰口・悪口は,従業者の名誉権や人格権を侵害するものとして違法なものです。
したがって,上司に対して,不法行為による慰謝料を請求することができます(民法709条)。
他方,会社には,職場が従業者にとって働きやすい環境に保つよう配慮する注意義務があります(労働契約法5条参照)。
したがって,会社として,上司の行為について相談を受け問題状況を把握しているにも拘らず,何らの対策を講じないのは,労働契約の債務不履行であり,会社に対して,損害賠償を請求することも可能です(民法415条)。
それに留まらず,問題を告発した従業員に対して退職勧奨に及ぶに至っては,会社も,上司と共同して,ハラスメントをしていると評価されても止むを得ないところがあり,会社自身の不法行為責任を追及する余地もあると思います。
ただ,現実に裁判をする場合に最も問題となるのは,「証拠」です。
特に,ハラスメントは,言った言わないということになりやすく,また,その場を見聞きしていたはずの同僚が証人として協力してくれることは,およそ期待できないのが実態です。
そのため,在職中,嫌がらせがあるたびに,普段使っている手帳や日記に,「いつ」「どこで」「誰が」「どのようなことを言った」かを詳細に記録し,可能ならば,ICレコーダー等で録音するなどして,証拠を保全するように努めて下さい。
(思い出せる限り,過去のものについても,書き出して下さい。)
最後に,良好な職場環境といえない中で,毎日,仕事をせざるを得ないご自身の心身の健康にも十分ご留意下さい。
もし,心身の不調を感じた場合には,早めに労災指定の心療内科を受診されるなど,無理をされないようお願いします。
いじめ・パワハラはぜひ私たちにご相談下さい
裁判事務専門の『慶友綜合リーガルサービス』
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この回答の相談
お世話になります
ご回答頂けると助かります
13人ほどいる営業所の事務で勤務しています
労働組合なく相談窓口もない会社で
就業規則も「ない」と言われた事があります
ことの発端は直属… [続きを読む]
山田花子さん (東京都/40歳/女性)
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