対象:ペットの医療・健康
Re:大型犬 骨肉腫 予防接種
はじめまして、しゃぼんだまさん。
ひらの動物病院の平野と申します。
ご返信させていただきます。
私も、しゃぼんだまさんのご質問の内容と同様の疑問を過去に抱き、国内外の文献・論文等をあらったことがありましたが、いくつかの議論や参考意見を見出すことができた程度で、獣医学領域におけるエビデンスあるいはガイドラインに類するものは見つける事はできませんでした。
ただし、国内外の多くの腫瘍専門医の意見は、『化学療法中、あるいは化学療法直後の動物には原則的にワクチン接種は行わない。』というものが一般的であると判断しました。これらは化学療法中の犬への生ワクチンの接種においてジステンパー、あるいはパルボウィルス感染症が発症したという報告がある事に基づくようです(化学療法終了後について、どのくらい経てば接種可能なのか、という点についても明確なものはなく、『かなりの時間をおいて』という程度の理解に留まるようでした)。
狂犬病ワクチンについては法的な側面がありますので、混合ワクチンと横並びでお話しすることはできないかと思いますが、混合ワクチンで予防し得るいくつかのウイルス性伝染病については、ワンちゃんの生活環境、地域での感染症の流行傾向に応じた考慮が必要となると考えます。
補足
私自身は、
●あらゆる化学療法剤の最終投与日から三カ月以上が経過している
●完全寛解期にある(あるいはそれに類する全身状態の安定が認められる
(上記2項目を完全に満たす)ワンちゃんで、ワクチン接種にて予防できるウィルス性感染症について感染の可能性を考慮すべき状況が感じられる場合は、
●該当のウィルス性感染症の抗体価を測定する
事を、ご家族にお願いし、
●抗体価が低く、感染の可能性がさらに高まっていると感じられる場合は、ワクチン接種についての考慮。
●抗体価が高く維持されている場合は、ワクチン接種については保留。
を、自院でのガイドラインとし、ご家族の判断を仰ぐ事にしています。
狂犬病ワクチンについては、
●あらゆる化学療法剤の最終投与日から三カ月以上が経過している
●完全寛解期にある(あるいはそれに類する全身状態の安定が認められる
(上記2項目を完全に満たす)ワンちゃんについては、原則、接種。
が、当院の判断です。
あくまでもワンちゃんの全身状態や感染症に対するリスク、個々の病態、生活環境、生活地域で違うべきものだと考えます。充分に、かつ繰り返し、納得のいくまでかかりつけの先生とディスカッションしていただくことをお薦めします。
以上を、ご返信とさせていただきます。
宜しくお願い致します。
回答専門家
- 平野 由夫
- ( 神奈川県 / 獣医 )
- ひらの動物病院 病院長
獣医療の透明性と動物に優しい診療を、常に心がけています。
言葉を話す事ができない、ワンちゃんやネコちゃんの診療は、いつも身近で暮らしている皆様から、日々の生活の様子を、お伺いするところから始まります。どうぞ、皆様のパートナーについて、たくさんのお話を聞かせてください。
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この回答の相談
はじめまして。
とある外国種の大型犬、男の子で現在8歳8ケ月です。
今まで病気や怪我などせず食欲もあり、とても元気でいました。(室内飼いです。)
3月の下旬に、夕方 突然前足をあげて全… [続きを読む]
しゃぼんだまさん (東京都/41歳/女性)
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