対象:企業法務
今林 浩一郎
行政書士
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信書開封罪、占有離脱物横領罪及び私用文書等毀棄罪
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信書開封罪(刑法133条)、占有離脱物横領罪(刑法254条)及び私用文書等毀棄罪(刑法259条)の3つの犯罪の成立可能性があります。
まず、信書開封罪は、特定人から特定人宛に出された意思を伝達する文書を、正当な理由なしに、開封することにより成立します。特定人には会社も含まれます。また、簡易書留等の特殊郵便物も信書に含まれます。書留などの特殊郵便物を代理受領してもらうことは依頼していらっしゃらないのですから、管理会社の社長が御社の郵便物を開封する行為は、正当な理由に基づかず、信書開封罪が成立する可能性が高いです。もっとも、これは社会常識から当然のことであると思います。なお、本罪は親告罪であるので告訴が起訴条件となっています(刑法135条)。
次に、誤配された郵便物を領得すれば、占有離脱物横領罪が成立します。もっとも、これは管理会社の社長が郵便物を横領した場合に限り成立します。また、管理会社の社長が郵便配達員に御社の代理で受領する旨を告げて郵便物を領得した場合には、窃盗罪(刑法235条)が成立する可能性があります。なお、本件は詐術を用いての窃盗罪なので詐欺罪は成立しません(刑法246条)。
最後に、私用文書等毀棄罪の成立する可能性があります。私用文書は私文書とは意味が異なり、「権利・義務の存否・得喪・変更等の証明に関する他人の文書」を意味します。毀棄の概念には、文書を毀損・破棄することの他に隠匿して使用を妨げることも含みます。ですから、仮に管理会社の社長が当該文書を毀損・破棄しなくても、隠匿すれば、私用文書等毀棄罪の成立する場合があります。本罪は、信書開封罪と同様に親告罪であり、告訴が起訴条件となっています(刑法264条)。
評価・お礼
GMリンコ さん
早々のご回答ありがとうございました。
詳しい内容を分かりやすくご説明頂き、大変参考になりました。
ありがとうございました。
今林 浩一郎
お役に立てて幸いです。また何かありましたらご質問ください。
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この回答の相談
初めて質問させていただきます。
簡易書留等の特殊郵便物は、不在の場合は不在配達票がポストに投函され、再配達か局に取りに行くという受け取り方法で受け取る、また… [続きを読む]
GMリンコさん (埼玉県/50歳/女性)
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