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対象:財務・資金調達

八ッ波 泰二

八ッ波 泰二
経営コンサルタント

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債務者(先方)から債務の承認を文書で得る努力が必要

2010/06/28 16:28
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経営コンサルタントをしています中小企業診断士の八ッ波(やつなみ)と申します。ご質問に関し以下のとおりお答します。
*商法では、商業上の債権(商人(法人含む)が行う経済取引)の消滅時効の期間は原則5年と規定しています。民法では生産者、卸・小売商人の商品売却代金は2年、工事の設計・建設代金は3年などの規定があります。
 生産者といっても個人あるいは株式会社でも個人企業や家内工業的な場合を想定したものです。
父親の会社の規模や取引内容により、時効期間は5年ではなく民法上の規定が適用される場合もあることをお含みおき下さい。

*時効の中断は成立しています。時効は債務者が支払うべき債務あることを「承認」すると中断(今までの時効の進行期間をゼロとする)します。
昨年の暮れに先方が残金を支払うことを確約したのですから、その時点で時効は中断し、再度新たな時効の進行が開始しています。(昨年暮に既に時効期間が経過していても、債務者が承認すれば時効中断の扱いになります)
*先方が承認していますが、書面ではないため裁判上で争う場合は証拠がありません。先方が明確な支払の意思表示をしなくても、300万円の残りの支払うべき債務があることを承知している、旨の文書に署名・捺印をもらうことがポイントです。
その他、内容証明で先方に残額を請求することも時効の中断になりますが、6ヶ月以内に裁判上の請求手続きが必要となります。
債務者の承認も時効の中断ですが、先方が支払わない場合は裁判所に訴えることで回収することになります。
*先方の会社が倒産した場合、時効が完成していなければ、他の無担保債権者と同様な債権として扱われます。(債権額の割合に応じ残った会社財産の分配を受ける)
*父親の会社が解散する前に、会社から父親が(他の者でもよい)残りの部分の債権を買取ることで、債権者は会社から父親(他の者)に変更となります。この場合には、会社は先方の債務者へ債権譲渡の通知をする必要があります。
以上、参考になれば幸いです。   富士マネジメント(株)八ッ波

マネジメント
経営コンサルタント
債権

評価・お礼

bygone さん

御回答ありがとうございます。
大変明確で私でも理解が容易でした。

民法上の時効もあるのですね。
父の会社は3年にあてはまりそうです。

不躾ですが、再質問させていただいてもよろしいでしょうか。

>父親の会社が解散する前に、会社から父親が(他の者でもよい)残りの部分の債権を買取ることで、債権者は会社から父親(他の者)に変更となります。この場合には、会社は先方の債務者へ債権譲渡の通知をする必要があります。

債権の買取と債権譲渡通知、手続きはどちらでできるのでしょうか。
個人ではなく専門家へ依頼したほうがよろしいでしょうか。

八ッ波 泰二

八ッ波 泰二

回答について良い評価をいただき、有難うございます。 お尋ねの件、以下を参考にして下さい。
債権譲渡の手続き
(1) 譲渡人(会社)と譲受人(父親)が譲渡契約書を作成・締結します。
(2) 譲受人は買取額の支払いを行います。
(3) 譲渡人は債務者(先方)に債権譲渡の通知をします

 この手続き自体はそれほど難しいものではありません。
*契約書は、譲渡する債権の内容(誰に対する何の代金、金額、当初請求日、受領残額)と売買額(譲渡価格)および支払日、譲渡日を明記し、契約日と契約者双方の記名・捺印があれば問題ありません。
(契約の両当事者が、相手の不履行や売買債権の信憑性について、万一の場合を想定した内容にする必要ないため)
なお、譲渡価格は未払い残額か、それより安価でもかまいません。(200万円の未収金(売掛金)を100万円で売却した場合は、会社に100万円の貸倒損が発生しますが)
*契約上の支払日に代金を会社の口座に振込みます。
*会社から債務者への債権譲渡の通知は、いつ(債権譲渡日)、誰(父親個人)に何の債権(当初請求内容等)の未受領額を譲渡したこと。以後、残額の返済は譲受人へ支払いされる旨を明確に記載すれば十分です。(上記の債権の譲渡価格は記載しないこと)
その他:譲渡通知は譲渡日以降なるべく早く送付した方がよいです。
なお、民法では、債権譲渡は確定日付ある通知でないと第三者に対抗できないと規定しているが、本件では第三者が現れることがないので、その必要なし。 (確定日付とは公証役場で公証人が通知書に証明印を付した日付のこと)

 内容証明郵便(配達証明付き)でよいです。内容証明郵便は郵便局(取扱う局と扱わない局あり)で要領を聞いて下さい。日本郵便のホームページにも解説があります。
*譲渡先自体が一般の第三者でないので問題が発生することはないと思いますが、これらのことが手間である場合は、専門家に依頼されればよいです。
弁護士は手数料が高いので、司法書士か行政書士がよいと思います。
うまく残金が回収できることを祈ります。 富士マネジメント 八ッ波

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この回答の相談

債権回収の方法

法人・ビジネス 財務・資金調達 2010/06/23 23:39

父の会社のことで相談させていただきます。
7年前、約300万円の仕事をいただいた取引先から、未だ200万程回収できずにいる事実を今年知りました。

当初、50万、30万、と銀行に振込みがあったのだそう… [続きを読む]

bygoneさん (青森県/35歳/女性)

このQ&Aの回答

最後の振込みはいつですか? 須藤 利究(経営コンサルタント) 2010/06/28 18:01

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