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日経記事;『トヨタ、燃料電池車の開発でBMWと合意 基幹部品の技術供与 次世代電池も研究』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月25日付の日経新聞に、『トヨタ、燃料電池車の開発でBMWと合意 基幹部品の技術供与 次世代電池も研究』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『トヨタ自動車は24日、独BMWと燃料電池車(FCV)の共同開発で正式合意したと発表した。2015年にFCVの市販を目指すトヨタはBMWとの提携で開発期間の短縮とコストの引き下げを目指す。

2社は次世代の高容量リチウム電池の共同開発などでも合意。11年末に始まった2社の提携関係は次世代の環境技術を軸に一段と広がりそうだ。

トヨタが発電装置など燃料電池車の基幹部品の技術を供与する。これをもとにBMWは自社でFCV開発を進め20年にも市販車を売り出す。

トヨタは15年に自前の市販車を日米欧で投入する方針。それに続いて20年にはBMWと共同で燃料電池の基本システム全般を新たに開発する計画だ。

トヨタの内山田竹志副会長は記者会見で「2社の技術を共有してFCVの普及に向けた大幅なスピードアップを図り、長期で信頼関係を築く」と語った。

BMWはFCVの水素ボンベなどに使われる軽量素材の炭素繊維の技術に強い。両社は強みの技術を持ち寄ることで競合他社を突き放したい考えだ。

2社は水素を車に充填する設備の整備や規格・基準の策定でも協力していく。

このほかリチウムと空気中の酸素の化学反応で電気を起こす「リチウム空気電池」の共同研究の開始でも合意した。一部のハイブリッド車(HV)で使われているリチウムイオン電池の次世代モデルで、エネルギー密度や燃費に優れるという。

スポーツカーでも中型サイズの車種について2社で車台(プラットホーム)を共有する方針。どういった車台が事業として最適かについて年内に調査を終える。その後は共同で開発する超軽量の強化樹脂などを使いながら本格的な車の開発に着手する構えだ。

トヨタとBMWは11年12月に環境技術分野での協力で合意。BMWのヘルベルト・ディース上級副社長は「(環境対応など)将来の課題に取り組むために両社が力を合わせる」と述べた。

今後はHV分野でも協業を具体化させる見通しだ。資本提携の可能性については両社とも「必要ないと思っている」(ディース上級副社長)など否定的な認識を示した。』

1月23日に日経記事;『トヨタの燃料電池技術、BMWに年内供与 近く合意』に関する考察 [新規事業開拓・立上]のタイトルで、ブログ・コラムを書きました。トヨタとBMWの提携概要が記事になっていましたので、一般的な視点から考えを述べました。

本日の記事では、両社の具体的な提携;連携内容が発表になっていますので、引き続き両社の協業ポイントについて考えを述べます。

記事によると、トヨタとBMWの提携;連携の骨子は、以下の通りです。

●燃料電池システム
2020年の実用化を目標に、燃料電池車の基本システム全般を共同開発

●スポーツカー
中型車の事業化可能性調査を開始し、2013年度内に完了

●軽量化技術
強化樹脂など先端材料を活用したボディー構造の軽量化技術を共同開発

●車載用電池車
現在のリチウム電池の性能を大幅に上回る「リチウム空気電池」を共同開発

トヨタとBMWは、上記当該提携;連携について契約書としてまとめますので、大きな事業環境変化がない限り、この合意事項は順守、実行されます。

上記合意事項に関するポイントは、以下のようになります。

昨日のブログ・コラムで書きましたように、日本政府は、2015年までに大都市周辺に水素インフラ(水素ステーション)を整備する施策を発表しており、トヨタやホンダは、これに合わせてFCVを商品導入する計画を持っています。

トヨタは、同時にFCVを欧米市場にも導入する計画です。2015年では、トヨタのFCVは、独自仕様のものです。

トヨタは、これをベースにBMWとの共同開発で2020年までに、燃料電池の基本システム全般を新たに開発する計画を持っています。

トヨタは、2020年度でBMWとの提携;連携で競合他社を圧倒するFCVを商品化して、突き放すやり方を取ります。

現時点で、トヨタは、BMWよりHVやFCVなどに関する基本技術やノウハウを多く持っています。この虎の子の技術を出してでも、BMWと共に日米欧の市場で勝ち組みになることを決断したとみます。

燃料電池システムの開発・実用化は、多額の開発投資と長い時間を要します。トヨタは、BMWとの提携;連携で、投資負担の軽減と開発期間の短縮化を行ないます。

BMWにとっても、次世代環境対応車であるFCVの基幹技術・ノウハウを持てますので、多くのメリットがあります。


BMWは、スポーツカーの開発・実用化で優れた技術やノウハウを持っており、世界市場でダイムラーと並ぶトップメーカーです。スポーツカーの市場では、両社は競合していません。

従って、両社は、中型スポーツカーの車種について車台(プラットホーム)を共有する方針を持てます。

今後の事業展開によっては、中型スポーツカーの共同生産の可能性もあります。

また、BMWは、軽量素材の炭素繊維の技術に強いとされており、ダイムラーなどと同じように国内自動車メーカーより早く、炭素繊維を車体に採用しています。

自動車の軽量化は、燃費性能の向上やCO2削減の観点からさらなる技術開発・実用化が求められます。

また、トヨタにとって、BMWのスポーツカーや軽量化技術に関するノウハウを持てるメリットがあります。


両社は、将来のFCVに搭載する車載用電池の一つとして、「リチウム空気電池」を考えています。率直な感じで言いますと、野心的な開発目標になります。

リチウム空気電池は、米国で最初に特許化され、国内自動車メーカーなども含めて、今まで多くの開発・実用化が試されてきました。

現在までのところ、成功した企業はありません。

リチウム空気電池は、金属リチウムを負極活物質とし、空気中の酸素を正極活物質とするものです。負極は金属リチウムと直結しており、正極に空気が触れると、リチウムと空気(酸素)の化学反応を起こして電力とする仕組みです。

リチウム空気電池は、1種の燃料電池です。金属リチウムを負極側に補給すれば放電性能を維持することができる仕組みです。

また、当該電池は、現在のリチウムイオン電池のように液体ではありませんので、電気自動車(EV)のようにスタンドで充電するやり方ではなく、電池パックごと交換する方法になります。

リチウム空気電池は、1回の電池パック交換で、1000キロメートル走行できるとされます。電池パック交換ですので、スタンドでの交換作業も短時間ですむ利点があります。

一方で、現時点では、水素燃料電池車のFCVが主流な考え方になっています。

両社は、当面水素燃料電池車の開発・実用化を進めながら、リチウム空気電池の目処がつけば、将来的にはどちらの方式にも対応できるようにする方向で動くようです。

このやり方は、トヨタとBMWとの提携;連携が前提でないと成立しません。1社単独では、リスクが高く、投資負担も巨額になるためです。


今回発表された両社の提携;連携内容は、「勝者連合」の仕組みになっており、他の自動車メーカーを大いに刺激します。

前回のブログ・コラムで書きましたように、自動車業界は、環境対応車の開発・実用化の観点から他社との提携;連携を行なわないと勝ち残れないからです。

少なくとも、現時点ではホンダを除いて、世界の自動車メーカーはこのように考えています。

今後とも、トヨタ・BMW連合や他社の動きに注目しながら勉強して、中小企業とって有効な連携の仕組み構築の参考情報として活用します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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