日経記事;『東芝、GEと火力で合弁 三菱重・日立連合に対抗』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『東芝、GEと火力で合弁 三菱重・日立連合に対抗』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月24日付の日経新聞に、『東芝、GEと火力で合弁 三菱重・日立連合に対抗』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

 
『東芝と米ゼネラル・エレクトリック(GE)は火力発電設備の開発・販売で提携する。年内にも合弁会社を設立。GEのガスタービンを組み込んだ燃焼効率の高い設備を共同開発し、世界で販売する。

安価なシェールガスを使った火力発電所の建設が進む米国や、経済成長が続くアジアなど新興国の発電需要を日米連合で取り込む。

重電業界では昨年11月、三菱重工業と日立製作所が火力を中心とする発電設備事業の統合を決めた。世界で新設される発電所の投資額は2035年までに850兆円と予測されている。互いの強みを持ち寄り、競争を勝ち抜くための再編が加速してきた。

東芝とGEは合弁会社設立に向けた協議を始めることで合意した。今後詳細を詰めるが、折半出資となる見通しだ。近く発表する。

GEはガス火力発電設備の中核機器であるガスタービンの世界シェアが約35%で、独シーメンスと首位を争っている。東芝はタービンの回転から電気を取り出す発電機など主要設備を製造しているほか、発電所の建設でも実績がある。

両社は今後、より少ない天然ガスから効率よく電気をつくる「ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)」を共同開発する。出力は最大で原発1基と同程度の100万キロワット級となる予定。

販売でも得意な地域を補完することで、受注拡大を狙う。東芝は、東京電力福島第1原発の事故を受けて火力発電所の新増設を急ぐ日本の電力会社に強い。タイなど東南アジアにも有力顧客を持つ。GEは米国や欧州のほか、インドなど新興国に強力な営業網がある。

世界の火力発電能力(発電容量ベース)は35年に09年比で7割増える見通し。出力100万キロワット級の大型発電所が2000基以上必要となる計算だ。中でも二酸化炭素(CO2)の排出量が石炭の半分とされる天然ガス火力が主流になるとみられている。

東芝は06年に米原子力大手ウエスチングハウス(WH)を54億ドルで買収し、経営資源を原発に集中してきた。火力発電事業が手薄だったことに加え、大型のガスタービンを得意とする三菱重工が日立と発電設備事業の統合を決めたため、新たな対応を迫られた。

東芝は前身の東京芝浦電気の大株主だったGEから、発電設備などの技術を習得した。日本の高度成長期には原発設備をGEと共同設計するなど関係を深めたが、東芝によるWH買収後、GEは原発事業を日立と統合した。GEは原発事業では日立との提携を当面、継続する。』


エネルギー産業は、日本にとって環境と並ぶ重要な社会インフラ事業の一つです。今後、世界市場でのエネルギー需要は増え続けることは、確実です。

特に、電力需要は、しばらくの間東南アジアなどの新興国を中心に、急激な伸びが予想されます。
電力は、発電所で作られますので、発電所の新規需要は増え続けます。

記事にありますように、世界で新設される発電所の投資額は2035年までに850兆円と予測されています。発電所の数でみますと、出力100万キロワット級の大型発電所が2000基以上必要となるとのこと。

国内重電メーカーにとって、この大きな世界中の発電所新規建設需要を取り入れることが最重要課題になります。

国内大手の日立、三菱重工、東芝は、今まで世界市場の発電所建設事業に取り組んできました。国内メーカー単独で世界市場を取り込むことは難しいため、欧米の大手企業である米GEや独シーメンスなどと提携して、自社の弱いところをカバーしてきました。

重電の世界市場では、米GEと独シーメンスが2強であり、シェアを分け合っています。GEはガス火力発電設備の中核機器であるガスタービンの世界シェアが約35%で、独シーメンスと首位を争っているとのこと。

国内メーカーが世界市場で勝ち残っていくためには、単独で行なうには限界や困難さが伴います。
このため、重電業界も自動車業界と同じように、世界市場を見据えた各メーカー間の提携;連携のやり方が重要になります。

ポイントは、勝者連合で「Win/Win」となる提携;連携をどう組むかです。

勝者連合になるには、お互いに強みを持っていて、補完することで強みが掛け算で最大化できるように、「Win/Win」関係を構築する必要があります。

日立、三菱重工、東芝などの大手重電メーカーは、今までに世界市場で他社との提携;連携を行なっていますが、今後、そのやり方をより巧みに、かつ柔軟に行なうことがポイントになります。

提携;連携は、いったん組んでも、事業や市場環境が変化すれば、柔軟に変えていくやり方が重要になります。

提携;連携を組むときは、通常覚書や基本合意書などの契約を取り交わします。この時に重要なことは、後日提携;連携の枠組みを変える必要のある時に、柔軟に対応できるようにしておくことが重要です。

国内企業、特に中小企業の中には、このような柔軟性を持たせた提携;連携のやり方を工夫しないところが多いのは、残念なことです。

私が提携;連携の支援要請があった場合、必ずその枠組みの内容変更や解消をいつでも柔軟に行なうことができるようにしています。

提携;連携は、両者が「Win/Win」関係を維持できている間のみに行なうことが、効果を最大化するポイントになるからです。

この視点からみますと、ホンダを除く各自動車メーカーは、総じて世界市場で巧みに提携;連携を柔軟に組んでおり、その効果を最大化するように動いています。

提携;連携の優劣が自動車メーカーの業績を左右すると言っても過言ではありません。

重電メーカーの場合も同じです。日立、三菱重工、東芝などの重電メーカーが1社単独で世界展開を行なうことは、現実的ではありません。

社会インフラ事業は、1件につき長い時間と高額なコストを要します。相手が新興国の場合、社会的あるいは政治的なリスクも伴います。

このような多くのリスクを分散・回避するためにも、提携;連携が必要であり、有効です。

2年前までは、世界市場で新規発電所需要の中で、原子力に大きな注目が集まっていました。しかし、福島での原発事故以降、その考えに変化が起きており、必ずしも原発一辺倒ではなくなっています。

また、昨年来米国では、シェールガスやシェールオイルを積極的に活用する動きが強まっています。

米国は、シェールガスやシェールオイルを安価に自国内で調達できますので、そのことが世界市場に大きな影響を与えています。

中東やロシアなどの石油や天然ガスに対する需給構造の変化が起こっています。具体的には、天然ガスや石油の販売価格の下落です。

特に、天然ガスの価格下落は、今後の火力発電事業に大きな影響を与えつつあります。今後は、天然ガスを利用した火力発電所建設需要が増えることは、確実です。

今回の東芝、GEの提携;連携は、天然ガスを中心とした火力発電事業を世界で伸ばすための施策になります。

昨年、国内では、一歩先を超す形で、日立と三菱重工が火力を中心にした発電事業で統合することを合意しています。

東芝は、GEとの提携;連携で巻き返しを図ります。

日立、三菱重工、東芝は、3社とも優れた技術やノウハウをもった重電メーカーです。共に、切磋琢磨しながら、世界市場でGEやシーメンスを凌駕する勝ち組みになることを期待します。

そのためにも、上記しましたように他社との提携;連携が重要であり、そのやり方が勝者を決めていきます。

原子力発電の場合、日立とGEは原子力発電事業の統合を決めています。また、東芝は、米ウエスチングハウス(WH)と提携;連携しています。

今回の東芝・GE連合は、原子力発電の提携;連携に影響を与える可能性があります。

中小企業にとって、重電メーカーの提携;連携のやり方は、自動車メーカーと同じように参考にできることが多くあります。

今後の展開に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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