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日経記事;『トヨタの燃料電池技術、BMWに年内供与 近く合意』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月23日付の日経新聞に、『トヨタの燃料電池技術、BMWに年内供与 近く合意』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 

『トヨタ自動車は独BMWへの燃料電池車技術の供与で近く正式合意する。トヨタが2015年の一般販売をめざす燃料電池車の関連技術を供与、BMWは20年にも市販車を投入する計画だ。

トヨタは1992年から単独で燃料電池車技術の研究開発を進めており、他社に供与するのは初めて。陣営固めを進め、世界的な次世代環境技術の商品化競争で先行をめざす。

24日にも合意し、発表する見通し。トヨタが持つ燃料電池車の駆動系や水素貯蔵の技術を13年中に供与。BMWはこれをもとに15年までに試作車、20年をめどに市販車を開発する。トヨタは15年にも500万円程度の市販車(セダンタイプ)を日米欧で売り出す。

燃料電池車は水素と酸素の化学反応で生じた電気で走り、二酸化炭素(CO2)を排出しない。独ダイムラーや米ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車、ホンダ、韓国・現代自動車などが開発を競っている。

トヨタはBMWへの技術供与でシステムの量産効果を引き出し、価格競争力を高めたい考えだ。

トヨタとBMWは11年12月にディーゼルエンジンの調達・供給で合意。12年6月には燃料電池車など環境分野を軸とした技術協力の検討で覚書を交わしていた。

今後はハイブリッド車(HV)や車体の軽量化技術といった分野でも共同開発を進める。高級車づくりで実績のあるBMWとの協業は今後のトヨタの開発にも影響を与えそうだ。』


燃料電池車については、何度か本ブログ・コラムで書いています。燃料電池車開発を先行して行なっている自動車メーカーは、トヨタ、ホンダ、独ダイムラー、GMの4社です。

自動車メーカーは、現在ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、燃料電池車などの環境対応車の開発に巨額資金を投じる必要があり、大きな負担になっています。

環境対応技術やノウハウを抑えなければ、世界市場で勝ち残っていけないため、多くの自動車メーカーが当該技術の開発と実用化に巨額投資を行なっています。

HVについては、トヨタが先行して開発・実用化して、売上を伸ばしています。量産化が進み、コストダウンや開発・製造ノウハウの蓄積が進み、トヨタの大きな差別化・差異化の源泉になりつつあります。

シェールガスやシェールオイルが潤沢に安く使えるようになっても、日本のように石油資源が無い国では、脱石油や省石油を積極的に行なって、輸入依存度を下げる努力が必要です。

日本と同様に、脱石油や省石油を行なう必要のある国の数は多いので、環境対応車の需要は増え続けます。

また、地球温暖化対策のため、二酸化炭素排出削減を積極的に行なう必要がありますので、この面からも環境対応車の需要は増え続けます。


環境対応技術やノウハウは、国内自動車メーカーの競争力の源泉の一つになりますので、当該分野への継続投資は必要です。

継続投資の課題は、上記のように巨額資金の確保と分散です。特に、燃料電池車の開発・実用化には、まだ数年の時間を要しますますので、巨額資金の投資負担が重くなります。

昨年の日経記事によると、トヨタ、ホンダ、GM、ダイムラー4社の投資額はいずれも「累計で1000億円を超えている」とされています。

トヨタやGMでさえ、1社単独で燃料電池車の開発を継続するには、負担が大きくなりつつあります。

昨年の6月、トヨタは、独BMWと燃料電池車を含む次世代環境車開発で広範な提携関係を結びました。

本日の記事は、トヨタとBMWがこの提携関係を一歩進めて、トヨタが燃料電池車の関連技術をBMWに供与することについて具体的な内容の合意が成立したことを示しています。

トヨタは、2015年から500万円クラスの燃料電池車(セダンタイプ)を発売するとしています。また、BMWは、2020年までに燃料電池車を市場投入するとのこと。

トヨタは、今まで燃料電池車の開発では、動力源の燃料電池スタックや水素タンクなど全てのコア技術を内製化してきました。

トヨタは、今回、BMWに燃料電池車のコア技術の一部を提供するようです。このコア技術提供は、他社からの燃料電池車の市場投入時期を早めることと、燃料電池車の開発・製造コストを圧縮する狙いがあるとみます。

燃料電池車の普及には、今のHVやEV以上の時間を要します。車だけでなく、ガソリンスタンドのように水素を提供するインフラ整備などが必要になることが要因の一つです。

日本政府は、2015年までに大都市周辺に水素インフラを整備する施策を発表しており、トヨタはこれに合わせて、上記しましたように燃料電池車を市場投入します。

トヨタだけでなく、BMWや日産、ホンダなどから順次燃料電池車が市場投入され、水素インフラが整備されると、燃料電池車の市場環境が整います。

トヨタの動きは、他の自動車メーカーを刺激します。例えば、日産はダイムラーとの提携を加速しています。フォードも、GMとの提携を共同開発の形で行なっています。

ホンダの場合、いつものように1社単独で開発を行なっています。

自動車メーカー業界は、次世代環境技術を軸に動いています。自動車産業は、日本経済を支える大黒柱の一つです。

この大黒柱を維持・強化することは、日本にとって非常に重要です。トヨタやホンダが燃料電池車、HV、EVの環境対応車で他社より先行して、技術革新を進めて、徹底的な差別化・差異化を行なうことを大いに期待します。

上述しましたように、1社単独で燃料電池車などの開発・実用化を進めることは、負担が重くなりすぎますので、各自動車メーカーは、連携;アライアンスを今以上に巧みに行なう必要がでてきます。

この視点からみますと、日産とダイムラーの提携内容や、ホンダの今後の事業展開に関心を持っています。

ホンダはすでに2008年に専用車を開発、日米でリース販売しています。さいたま市では公用車として利用してもらい、使用状況に関する様々なデータを24時間遠隔収集するテスト走行中です。

ホンダもトヨタと同じく2015年に市販化するとしています。

日産は、公式情報では今まで本格的に燃料電池車の自社開発を行なっていません。ダイムラーとの提携で、燃料電池車開発・実用化をどこまで進められるか注目しています。

燃料電池車が本格的に実用化されますと、国内の関連する中堅・中小製造業にも新規事業機会が生まれます。

この観点からも、燃料電池車の事業化について期待しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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