弥平町の家が完成を迎えようとしている。現場の床を覆っていた養生材をはがすとそこにはまだ木の香りがつんっとにおってきそうな新しい松の床板が張られている。厚みが21ミリもある床板だけに歩いていると弾力があるようなやわらかさだ。濃い茶色に塗られている家具もラワン合板に塗装仕上げで作られているとは思えないほどの存在感で家全体の表情を豊かにしている。ここには大量の本が収納される予定。そう、家全体が本棚のような家なのである。クライアントから支給された照明器具も取り付けられ、同じくすでに取り付けられたクライアントがデザインしたステンドグラスと並んでいる様子は、その住まい手の意思のようなものをあらわしているようだった。