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日経記事;『電力供給、家庭も一役 東芝、数十万世帯の蓄電池管理 需要ピーク時に活用』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月16日付の日経新聞に、『電力供給、家庭も一役 東芝、数十万世帯の蓄電池管理 需要ピーク時に活用』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

 
『東芝は家庭の蓄電池を束ねて電力の需給を調整する大規模な情報システムを実用化する。今月中に横浜市で世界初の実証試験を始め、2年後をメドに電力会社に提供する。

家庭が割安な夜間電力を蓄えて夏場の昼間など需要のピーク時に電力会社に融通することが可能になる。

政府が普及を後押しする蓄電池を電力インフラとして有効活用できれば発電設備への投資も抑制でき、電力料金の引き下げにつながる。

民間調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)によれば、国内の蓄電池(定置型)の出荷量は2020年度に11年度実績の約20倍(1150万キロワット時)に拡大する見通しだ。

1年間だけで東京電力管内のピーク需要の2割程度を満たせる巨大な蓄電池が設置されることになる。蓄電池にため込んだ電気を電力会社が自由に調達して活用できるようになれば、電力会社は設備投資も抑制でき、発電コストの引き下げにつながる。

国内では今後、発送電の分離や小売りの自由化などが段階的に実施される見通しだ。電力料金を需給に合わせて変える動きが増えるとみられる。消費者は夜間の安い電力を電池にため込み、値段が高くなる昼間に余った電力を売ることで、電池購入のコストも回収しやすくなる。

東芝が今月中に横浜市で始める実証実験にはソニーやシャープなど電池メーカーも参加する。各社が保有するビルや社宅など4カ所程度に蓄電池を配置。

約5000キロワット(標準家庭の約1500世帯分)の出力の蓄電池について今後2年間、日々の気象データなどから電力の需給を予測する。

夏場の昼間に気温が非常に高くなりそうな場合にはインターネットを通じ蓄電池を遠隔操作して割安な夜間電力をフルに充電、ピーク時に放電する。数十万世帯の蓄電池を集中管理できる。

電力会社が東芝の蓄電池管理システムを導入した場合、顧客の家庭などと蓄電池を自由に利用させてもらう契約を結び、電力料金の基本料の引き下げなどを提案する。

国内では政府が現在、蓄電池の購入費の3分の1を補助している。標準的な家庭で必要な蓄電池(容量5キロワット時程度)の価格は100万円程度だが、実際は70万円程度の負担ですむ。

20年をメドに蓄電池の価格を現在の10分の1に下げる計画を掲げており、今後も普及促進に向けて政策が打ち出される見通しだ。

東芝の蓄電池の管理システムは世界各地で今後建設される次世代環境都市「スマートシティ」の中核技術となる。

日本でいち早く技術の実用化に成功できれば、電力の慢性的な不足が続く新興国などに売り込むことも可能になる。』

東芝は、国内メーカーの中で日立と共に、いち早く環境・エネルギー分野に経営の軸を置く施策を立案・推進してきました。

東芝の象徴的な動きは、2011年にスマートメーターの世界最大手である、スイスに本拠を置くスマートメーター(通信機能付き電力量計)製造大手のランディス・ギア社を買収したことです。

買収金額は、買収額は23億米ドル(約2200億円)になりました。この買収金額は、巨額であり、東芝の環境・エネルギー分野に対する本気度が示された形になっています。

東芝は、東南アジアを中心とした環境・エネルギー分野を重点的に市場開拓しています。その中でも、スマートメーターを活用した双方向型の電力発電、送電、売電事業の強化を目指しています。

国内には、関連する重電、家電メーカーなどが数多く存在しますので、必要な技術やノウハウ、商品・サービスをすべてオールジャパンでそろえることができます。

東芝、日立、パナソニック、シャープなどの関連企業は、地方自治体などと組んで、さまざまな実証実験を開始しています。

本日の記事にあります家庭の蓄電池を束ねて、インターネットを活用して双方向で集中管理するシステムが実用化されますと、発電、送電、売電事業が有機的に実行できますので、限られた電力資源を効率よく使えるようになります。

前提条件は、記事にありますように発送電の分離や小売りの自由化です。各家庭が臨機応変に最も安い電気を使えるようにすることが重要です。

現在は、各地域ごとの電力会社が発電、送電、売電の事業をほぼ独占的に占めています。この事業環境では、競争が起こりません。

基本的なやり方は、発電、送電、売電の事業を自由化して、各事業会社に競争をさせてより良いサービスを顧客に提供できるようにすることです。

この視点からみますと、東京都は興味深い電力調達の仕組みを実行し始めました。東京都は、2012年12月に東京ガスの100%子会社であるエネルギーアドバンスから、最大3000kWの電力を東京都庁舎に供給する契約を結びました。

東京都は、現在、都庁舎に9500kWの電力を供給する契約を東京電力と結んでおり、当面は両社から電力供給を受けるとのこと。

エネルギーアドバンスは、「特定供給」という形で都庁舎に電力を供給します。これは電気事業法の第17条が定める方式であり、近隣にある自家発電装置を専用で使わせてもらうような形式にすることで、電気事業者でなくても電力を他者に供給することを可能にするやり方とされます。

さらに、東京都は東京電力との契約が切れる2013年4月に、都庁舎に電力を供給する業者は入札で決めるとしています。

この東京都の試みは、始まったばかりですが、他の地方自治体や大手企業が同じように競争原理を働かせて、安い電気を調達・売電すると、現在の電力供給体制とは異なる事業環境になります。

このような競争環境のもとで、各家庭が蓄電池を持って、深夜電力やより安い電気料金で調達で電気を貯めておき、地域の電力需要に応じて売電することができれば、電力の効率的な発電や売電が可能になります。

スマートメーターとインターネットなどの技術を活用すれば、実現できます。

また、各家庭やオフィスビル、工場に蓄電池が普及しますと、技術革新と量産効果によるコストダウンで、蓄電容量がより大きくなると共に、廉価版が商品化されます。

現在の大容量蓄電池の主流は、リチウムイオン電池であり、はソニーが世界で初めて実用化した日本発の技術です。

しかし、製造方法が確立した結果、小型リチウムイオン電池は、韓国や中国などのメーカーが廉価版を出して世界市場の39.5%を占め、国内メーカーのシェアは、34.8%にとどまったとのこと。

昨年、政府は、2011年に5兆1000億円だった世界の蓄電池市場は2020年には20兆円に伸びるので、そのうち5割のシェアを国内の関連企業が獲得することを目標に掲げる戦略目標を打ち出しました。

このうち、最も重要視されるのが、電気自動車やハイブリッド車、家庭・オフィスビルなどで使われる大容量の車載用や定置用です。

リチウムイオン電池に代わる次世代大容量電池の開発も進んでいます。例えば、日本ガイシが実用化に成功したNAS(ナトリウム硫黄)電池や、住友電気工業が実証試験中のレドックスフロー電池も有望視されるとのこと。

現在、政府の後押しで次世代電池の開発が進んでおり、上手くいけば、3年~4年以内に実用化される見込みとのこと。

次世代廉価版の大容量蓄電池が実用化されれば、上記電力の集中管理がより効果的に進めることができます。

さらに、この成果を東南アジアを中心とした海外市場に売り込んでいくことか可能になります。現地の電力不足や環境問題を解決しつつ大きな市場を開拓できます。

今回の東芝の実験事業のようにオールジャパン体制で行ない、国内メーカーの強みを最大化することが成功のポイントになります。

新成長分野立ち上げのために、蓄電池、スマートメーター、インターネットなどの関連技術やノウハウ開発に対するより積極的な支援を政府に期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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