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丹多 弘一
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山本 雅暁
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閲覧数順 2016年12月04日更新

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日経記事;『新興国の知財基盤整備 政府10年ビジョン 企業進出を支援』に関する考察

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情報・知識 事業者側からみた機密保持契約(NDA)の扱い

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月13日付の日経新聞に、『新興国の知財基盤整備 政府10年ビジョン 企業進出を支援』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『政府は今後10年間の知的財産戦略となる「知財政策ビジョン(仮称)」を4月にも策定する方針を固めた。成長が見込めるアジアなどの新興国の特許制度づくりを後押しし、日本企業が進出しやすい環境を整える。

大企業に比べ特許などの知財活用が遅れている中小企業への支援強化策も盛り込む。日本経済再生本部が6月にまとめる成長戦略に反映させる考えだ。

政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍晋三首相)の下に設けた有識者からなる「知財政策ビジョン検討ワーキングチーム」で月内に議論を開始する。具体策や実行に移す行程表などを示す中長期の知財戦略を練る。

2002年に知財に関する日本の国家戦略の青写真となる「知的財産戦略大綱」を策定してから10年が経過したことを受け、これまでに取り組んだ諸施策も検証する。

新たな知財戦略の柱の一つは、特許に関する国際協力の拡大。最近、知財権を保護する基盤が整っていないカンボジアやミャンマーなどに日本企業による投資が活発化している。

アジアの新興国で審査官の育成や関連法の整備など日本の審査技術を伝授。現地に進出する日本企業の利便性を高めるとともに、日本の技術流出を防ぐ。

現在、世界の特許出願件数は日米欧中韓の5カ国・地域だけで約8割を占める。一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国やインドなどでは特許制度を巡る課題が多いとされる。

企業が現地で開発した技術や生産手法などを国際特許で出願する場合、地元政府の体制が未整備なため審査に時間がかかり、結果的に国際特許の取得が遅れる例が多いという。

知財戦略のもう一つの柱は中小やベンチャー企業の知財活動の支援策の強化。技術情報など営業秘密の漏洩防止策などを含め、知財を有効活用できる企業経営を後押しする仕組みづくりを議論する。海外への特許出願をしやすくする制度の充実も目指す。』


差別化・差異化可能な技術やノウハウ、商品・サービスを持つ企業にとって、特許はその知財情報を守るために有効な方法です。

現在、多くのベンチャーや中小企業が、国内だけでなく海外でも国際特許を取るべく出願しています。

また、特許出願すると審査が行われます。この審査の過程で、類似特許の有無などがわかりますので、他企業の特許出願・取得状況も知ることができます。

私の支援先のベンチャーや中小企業の多くが、国際特許を含めて、特許出願・取得を行なっています。

積極的に特許出願・取得に動かないと、海外を含めた競合他社に先を越されるリスクが高いのも理由の一つです。

欧米、特に米国には特許ゴロ的な企業が多く、ある日突然に使っている技術やノウハウに関して特許侵害で訴えられるケースが発生しています。

従来は大手企業がその対象になっていましたが、最近は事業を急拡大している中堅企業も狙われるようになっています。

中国市場も特許に関しては、要注意の国の一つです。

一つは、毎年多くの特許が出願されていますので、この国で事業する時に、特許出願・取得しておかないと、特許侵害で訴えられるリスクがあるからです。

もう一つの理由は、現在でも他人や他社の特許やノウハウなどの知財情報の価値を理解せず、特許侵害してでも他社商品やノウハウを真似て、使ったり作ったりする文化を持っていることによります。

このために、中国で事業する場合、最低限、この国で特許出願・取得しないと、自社の技術やノウハウを守れないことになります。

また、中国人従業員を雇う場合、技術やノウハウを守るために、機密保持契約を結びますが、多くの場合、有効ではありません。

自社の技術やノウハウを持って他社に移り、それを活用するケースが多いのが実情です。

韓国も似たような状況でした。韓国の場合、日本の企業をリストラなどで辞めた多くの日本人が、韓国企業で働き始めた時に、前の国内企業で持っていた技術やノウハウを開示したケースが発生しました。

これらの日本人は、前の勤務先企業と機密保持契約を結んで退職しましたが、役に立ちませんでした。

今後、確実に多くの中小企業が東南アジアを中心とした海外に進出します。その時に、当該企業が持っている技術やノウハウを守る上で、特許出願・取得は有効な方法になります。

今回、政府が東南アジアでの特許制度づくり支援を行なうことは、大変有意義なことです。これも、日本が当地域で行ない始めた社会インフラ整備の支援策の一つになります。

特許制度が充実しますと、進出企業は現地で研究・開発した技術やノウハウを安心して使える環境が整います。

日欧米と同じ特許制度環境にすることが重要です。

政府には、ベンチャーや中小企業が国際特許を出願・取得・維持するためのコストを圧縮する施策や支援を期待します。

ベンチャーや中小企業にとって、当該特許関連コスト負担が大きいためです。この高額コストの負担ができないため、ベンチャーや中小企業の中には特許出願・取得をあきらめるところもあります。

ぜひ、ご検討願います。

特許出願・取得の有無にかかわらず、技術やノウハウの機密情報を守る仕組みも重要であり、必要です。

国内と異なって、毎年多くの従業員が入社と退社を行ないます。従業員と機密保持契約を結んでも、その有効性は限定的と考える必要があります。

そこで、従業員に開示する機密情報を限定したり、機密情報を開示する従業員を特定するようなやり方を工夫する必要があります。

私は、弁護士や弁理士などのような特許などの知財情報を扱う専門家ではありません。しかし、今までに多くのベンチャーや中小企業から、特許を含む知財情報の取扱いや機密保持のやり方について相談を受けました。

これは、私が会社勤務時から連携;アライアンスやM&Aを多くこなしてきた過程で、自社および他社の機密情報を取り扱ってきた経験を持っていることによります。

この経験に基づいて、機密情報の取扱い、機密保持契約の作り方や当該契約の有効性の維持の仕方などについて支援しています。

今後、海外進出などを考えているベンチャーや中小企業は、技術やノウハウの特許出願・取得とこれら機密情報の保護の仕方について、事前に検討・確立しておくことが重要であり、必要です。

私は、以前本ブログ・コラムで機密情報の取扱いや機密保持契約に関するポイントを何回か書いています。ご関心のある方は、お読みください。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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