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日経記事;『「給料上げろ」 成長の痛み、受けて立つ アジア跳ぶ』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月9日付の日経新聞に、『「給料上げろ」 成長の痛み、受けて立つ アジア跳ぶ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

「このまま家電を売り続けていいものか」。パナソニックや東芝など日系メーカーのベトナム現地法人は悩みを抱え、年を越した。

■審査体制整わず

ベトナム政府は1日、家電に省エネ性能を示すラベルを貼る制度を導入。省エネ技術が得意な日本勢には歓迎ムードもあった。だが、テレビの省エネ基準はなぜか未公表で、当局の審査体制も整わない。店頭にはラベル無しの家電が並ぶ。

日系家電5社はホーチミン日本商工会を通じて政府に実施延期を求めたが、正式な回答はない。商工会事務局長の西田昌弘(38)は「規制が頻繁に変わり、対応しきれない」とぼやく。

不透明な統治システム、国・地域間の所得格差、民族や宗教――。多様性はアジアの活力の源だが、経営リスクにも容易に転じる。尖閣諸島を巡る反日デモが火を噴いた2012年の中国では、日本以外の企業も社会の変化に戸惑った。

「そんな金額では少ない」。江蘇省南京で12年8月、米通信機器大手モトローラ・モビリティーの研究所に勤める約500人が怒声を上げた。

経営不振の同社は中国事業を縮小し、南京の研究所も閉鎖対象とした。北京など他の拠点と同じ退職金を示したが、従業員側は「南京は北京に比べて転職が難しい」と反発。同11月の閉鎖強行まで騒ぎが続いた。

中国の西南財経大学などによると、所得格差の指標「ジニ係数」は10年時点で0.61と世界最悪の水準。労働争議に詳しい中国の弁護士、陳軼凡(41)は「若者は待遇改善のきっかけを待ち構えている」と解説する。

インドネシアなど東南アジアでも、デモは日常茶飯事。経済成長とともに権利意識に目覚め、賃上げ要求などを強める「モノ言う人々」が台頭してきたのだ。

「暴動の真相は分からない。だが、経営側の毅然とした態度が重要だと改めて学んだ」。スズキ会長兼社長の鈴木修(82)は語る。

インド最大の自動車メーカーとなり、アジア進出の成功例とされるスズキ。だが、12年7月に北部にある子会社の主力工場で従業員の暴動が起き、死者1人を出して約1カ月の操業停止に追い込まれた。

■「ごね得」拒む

スズキが徹底したのは関与した従業員の解雇と、労働組合との対話だ。労組は解雇者の復職や福利厚生の改善を激しく求めた。しかし、スズキは物価上昇に見合う賃上げ以外は「ごね得」と見なし、拒んだ。

従業員は12年11月時点で3100人と約4分の3に減少。ただ、会社の方針を理解する人が残ったことや新車投入の効果で、工場は活気を取り戻した。1日の生産台数は約1900台と暴動前を1割ほど上回る。

進出から30年で最悪の暴動だったが「労働問題に終わりはない。安易に妥協せず、緊張感を持って向き合う。これを繰り返して従業員と信頼関係を築くしかない」。鈴木は腹をくくる。

第一生命経済研究所主任エコノミストの西浜徹(35)は「慎重すぎる企業はアジアで業績を伸ばせない」と指摘する。日本勢は成長の痛みを根気よく乗り越える気概を試される。』


同日付の日経新聞の別記事によると、日本貿易振興機構(ジェトロ)がアジアに進出している日系企業を対象に行った調査結果から、、2012年の賃金の上昇率がベトナムなど10カ国で年率2桁の伸びとなった。経営課題として「従業員の賃金上昇」を挙げた日系企業は71%に達するとのこと。

記事に掲載されました、2012年の製造業全体の賃金上昇率をみると以下のようなります。

・タイ;13.4%
・マレーシア;4.3%
・中国;11.7%
・インド;13.0%
・フィリピン;5.5%
・ベトナム;21.0%
・バングラデシュ;13.7%
・ミャンマー;18.0%

フィリピンを除くすべての国で、2桁の賃金上昇率になっています。

タイでは、2011年以降失業率が低く、1%以下の0.7%くらいになっているとされます。日本を含む多くの外資系企業が進出し、投資した結果、多くの雇用が発生していることによります。

産業集積した結果、現在でも国内企業が進出している実態があります。この状況下、タイ政府は、2012年4月に一律40%の賃上げを行ないました。

国民の満足度向上による政局の安定と、内需拡大の狙いがあります。

中国でも、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、国民生活水準向上と国内安定化のため、大幅な賃金上昇を続けています。

ベトナムも同じ状況です。

労働賃金の上昇は、特にアパレルのような労働集約型産業に深刻な影響を与えます。昨年来、中国からベトナム、バングラデシュ、ミャンマーに生産拠点を移す動きが強まっているのは、中国内の労働賃金高騰と、労働力確保の難しさによります。

ベトナム、バングラデシュ、ミャンマーでも上記のように労働賃金は上昇していますが、絶対額がまだ小さいため、アパレルのような労働集約型産業の工場経営が成り立ちます。

ミャンマーは現状、アジア域内においては、労働賃金は最低水準(平均月収は6千円~7千円程度)であり、アジアの製造工場としての役割を担う労働市場としての競争力は高くなっています。

また、労働市場を支える労働者について、人口構成において、その大半が40歳以下の若年層が多いくなっています。

労働コストの面からは、バングラディッシュもアジア域内ではミャンマー同様に最低水準にあります。

しかし、将来、上記3国の労働賃金が、現在のタイや中国並みになる時期が来ます。また、賃金上昇は、以前より加速する可能性があります。

インターネットの普及で、国民が周辺地域の状況を容易に知ることができるようになっており、自国の賃金水準が他国より大幅に低いと判断すると国民の不満が高まります。

また、経済成長と共に、中国内で起こっているように、労働者の権利意識が高まっている実態もあります。

昨年のインドネシアで起こったインドネシアの賃金上昇の要求デモは、このような環境下で起こりました。

以前より、アジア地域に進出した企業は、賃金上昇の要求に直面しながら、生産性を上げたりしながら、解決してきました。

また、工場の少人化を図ったり、必要に応じて生産拠点を移すやり方などを早期に計画して、事前に準備しておくことも重要です。

私は、国内中小製造業者のアジア進出を支援しています。生産拠点を作る場合、当初は低い労働賃金をベースにしたやり方で、人海戦術での製造を行なう場合があります。

進出時に、今後数年間の事業計画を作っておきます。事業計画の中で重要な部分を占めるのが、販路開拓と製造コスト削減です。

今まで、国内企業が進出した国は、例外なく労働賃金が上昇し、消費者市場として成長してきた実態があるからです。

製造コスト削減は、製造方法の見直しや改善を行なって少人化することがポイントになります。

アパレルのような労働集約型産業の場合は、労働賃金と生産性に一定条件をつけておいて、その条件を満たさなくなった時は製造拠点を移すやり方も考えておく必要があります。

もちろん、製造拠点の移管は、進出先の市場性や物流コストやリードタイムなどを勘案して決めることになります。

いずれにせよ、中小企業がアジア進出する時は、その国や周辺地域の情報を可能な限り収集して、状況分析を行ない、進出後3年先くらいまでの事業計画をしっかりと作ることが非常に大事であり、重要です。

そうしておくことで、労働賃金の上昇などの課題に慌てることなく対応できます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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