日本のアクティブ投資信託で儲ける事は困難という現実を知ろう - お金と資産の運用全般 - 専門家プロファイル

吉野 充巨
オフィスマイエフ・ピー 代表
東京都
ファイナンシャルプランナー

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対象:お金と資産の運用

柴垣 和哉
(ファイナンシャルプランナー)

閲覧数順 2024年04月19日更新

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日本のアクティブ投資信託で儲ける事は困難という現実を知ろう

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今回は、投資に役立つ、そして知らないと損をする本を紹介します。
著者は投資信託を購入する際に参考とされる投資家も多い、あのモーニングスター株式会社の代表取締役の朝倉智也氏です。題名は「低迷相場でもまれない資産運用の新セオリー」朝日新聞出版 定価本体1,500円+税です。

本の存在を知ったのは、週刊ダイヤモンド1月12日号の山崎元氏の「マネー経済の歩き方」481で、日本の投資信託の現状を、データに基づいて批判的に説明した第一章は、顧客に投資信託を勧める可能性のあるファイナンシャルプランナーなら、赤線を引きながら精密に読む価値がある。言い方を換えると、ここに書いてある事実を知らずに、他人に投信についてアドバイスしてはいけないということだ。
と書かれていたからです。すぐにアマゾンに発注し、読みました。

第一章は小職がお客様にアドバイスしていることを、データで証明・提示できる内容で、感激しました!!
山崎氏も書いていますが、日本の投信会社や証券会社を顧客とする日本のモーニングスター社の社長が書いているのですから勇気がいる事だったと思います。

私はファイナンシャルプランナーの端くれに位置するものとして、読後感は「早々に投信を販売しなFP」「アドバイス専門の独立系顧問料制アドバイザー」になっていて良かったと感じています。
このコラムを読んで頂いたFPの方には、是非この本をお読みになる様お薦めします。
山崎氏が書いている意味が実感できると思います。

また、これから国内のアクティブ投資信託を購入しようとお考えの方、保有されている方達には、この本を読めば「鴨」に為らずに済む可能性が高くなろうかと思います。

モーニングスター社は投資信託に関する情報が豊富にあり、その中で日本の国内投信の手数料水準が高すぎる事、情報開示は新興国にも劣ること、銀行や証券会社の営業姿勢は売り手の利益が優先されていること、投信運用会社も一般投資家では無く、営業してくれる銀行や証券会社に向いていることなどが、データで語っています。

例えば、国内投信の販売手数料、信託報酬が上がり続けていて、現在では一般投資家は初年度に平均4.21%ものマイナスからスタートするのは、あまりに重い負担であること、アメリカの投信の販売手数料と信託報酬はいずれも低下傾向で、2011年度の株式型投信の平均で初年度の負担は1.79%(販売手数料1.0%+信託報酬0.79%)であることを記載しています。

図にありますように、運用成績が同じであれば、コストの低い投信が一般投資家の利益に為り、0.5%の違いでも長い期間では運用成績に大きな差が出ます。

本の中に、アメリカの投信会社のバンガード社が、インデックス投信のベンチマークをMSCI社の指数からFTSE指数に変更した理由、同社では「変更の理由は三つの理由がある。一つめはコスト、二つめにコスト、三つめがコストだ」を紹介しています。
(同社では、日本の投信会社とは異なり、投信の資産残高が大きくなると、信託報酬が下がる仕組みをとっています。)
投資信託の運用=顧客である一般投資家の運用成績では、コストが最も重要なキーポイントです。それを理解している同社のコスト管理の方針を紹介して、日本の現況への警告としていると考えます。

投資家の利益が出るイメージ

また、国際分散投資のベースである、国内外の株式や債券及び不動産、商品等の相関係数が低下し、連動性が高まってしまったこと、新興国の成長が著しく、世界のGDPに占める先進国の割合が低下することなど、パラダイムの変化に対応した分散投資のあり方を提示しています。資産配分や新興国を対象とする株や債券の位置づけ等々とても参考になろうかと思います。

資産配分、銘柄選定は投資家個人のリスク許容度にあわせて組むものです。
ここでは述べませんが、日本の投信会社や証券会社を顧客とするモーニングスター社の社長が、ポートフォリオの対象として海外ETF(上場投資信託)と、取引口座としてコストが低いネット証券3社を紹介しているのですから、日本のアクティブ投信を組成・販売する会社の危機的な状況を感じます。

なお、銀行や証券会社の対面販売の場合、手数料が低い、インデックスファンド、ETF(上場投資信託)はお客様に勧めることが無いと思われます。
その点では、ネット証券でご自分で購入することで運用コストを下げるよう私はお薦めします。

日本FP協会認定のCFP®の方で、この本をお読みになった後も、国内のアクティブ・ファンドを販売する場合、金融庁が定める「適合性の原則」と、CFP®認定者の倫理原則と行動規範をご確認されることをお薦めします。

2013年1月19日土曜日のセミナーは、新春セミナーとして4時間かけて、投資の基礎知識を学びます。お申し込みをお待ちしています。
http://www.officemyfp.com/seminerannai.htm

face book ページ オフィス マイ エフ・ピーを開設しています。
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文責
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP(R)
宅地建物取引主任者 (東京)第188140号
ロングステイ財団登録ロングステイアドバイザー
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー 
吉 野 充 巨
独立系顧問料制アドバイザーの紹介
http://profile.ne.jp/w/c-64005/
http://mbp-tokyo.com/officemyfp/column/12298/
http://www.officemyfp.com/komonryouseiadviser.html

『このコラム又は回答は、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。
投資による損益はすべてご相談者及び読者ご自身に帰属いたします。
投資にあたりましては正規の目論見書、説明書等をご覧いただいたうえで、読者ご自身での最終的なご判断をお願いいたします。
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