日経記事;『「お客様は神様」で正しいか 選び選ばれる関係こそ』に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『「お客様は神様」で正しいか 選び選ばれる関係こそ』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月7日付の日経新聞に、『「お客様は神様」で正しいか 選び選ばれる関係こそ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『「安ければ何でもいいという市場からは撤退しろ」。パナソニックの津賀一宏社長は腹をくくった。安値競争に陥ったテレビ事業で「負け組」になった反省が背景にある。

「お客様は神様」を金科玉条に、あまねく広く売ろうと商品モデルを増やし値段を下げ、そのあげく大赤字だ。

量で稼ぐ路線は今や、韓国や中国などの企業に完全にお株を奪われた。円が多少安くなっても、どうにもならないだろう。

誰に何をどう売るか、焦点を絞って事業構造を組みかえる必要がある。活力を取り戻すには、賢い経営に変わるしかない。

津賀社長は「ある分野やある地域などの様々な切り口で、それぞれの顧客に密着して、そこでトップシェアを目指す」と言う。例えばテレビならば、特定の用途ごとに顧客をとらえ直して、新たな事業に作りかえられないかという具合だ。

この方針に沿ってパナソニックは、88のビジネスユニット(事業部)を56に再編して競わせる計画だ。「利益の上がる事業構造に変われなければ、無くなるものも出てくるだろう。ビジネスユニットの進化が当社の明日の姿を決める」と津賀社長は語る。

合繊業界は量産品では中国などに取って代わられたが、帝人の大八木成男社長は「高機能繊維は違う」と言う。同社は炭素繊維を自動車の車体に利用する技術を開発するため、米ゼネラル・モーターズ(GM)と組んでいる。

炭素繊維の複合材を1分以内で部品に成形できる技術を同社は持っている。量産車に採用されれば「数千億円の設備投資が必要になる」(大八木社長)。

リスクはあるが「スペックインで、当社にしかできない複合材料の仕様がGMの設計図に書き込まれる。安全性などにもかかわるので、安さだけでは他社は入ってこられない」と考える。

帝人とGMは互いに選び選ばれる関係にあり、開発が成功すれば、きずなは一層深まるというわけだ。

キリンビールの磯崎功典社長は「胃袋が減っていく国内で、いかに収益を上げていくか」という課題を抱えている。ラガービールの量産でもうかった昔とは様変わりである。

泡を凍らせたビール「フローズン〈生〉」がヒットした理由を調べて驚いた。「アンテナショップに来た人がスマホなどで写真を撮って友達などに広めてくれた」(磯崎社長)のだ。

顧客は自主的に宣伝もしてくれるパートナーにもなり得るわけである。同社では新規商品を開発する部署を設け、売り方も含めてアイデアを練っている。職人技を入れ込んだビールを求める層など、具体的な顧客像を念頭に置いている。「新しい商品の開発には、手間を惜しんではいけない」と磯崎社長は言う。

高度成長期以来、均質な商品を安く大量に供給することで成功を収めた産業は転換を求められている。製品やサービスから企業の構造まで、広い意味でのイノベーションが必要である。

このため時間がかかる。パナソニックの津賀社長は「V字回復は目指さない。すぐ駄目になるからだ。私は根っこから変える」と宣言する。経営力が厳しく試される時代になった。』


パナソニック、ソニー、シャープ、NECなどの電機メーカーは、数年の間、赤字状態や次の成長事業に対する不透明さなどの課題に直面しています。

どのメーカーも、現時点ではまだ集中と選択の過程にあって明確な方針を出せない状態です。多分、2013年中には、各メーカーから新事業方針が明示されるとみています。

同じ電機メーカーでも、日立と東芝は、2~3年先行して集中と選択を行なった結果、収益力も回復しつつあります。

大手電機メーカーに求められていますのは、徹底的な差別化・差異化可能な新事業分野の特定と、経営資源の集中投資で、世界市場で勝ち残るための施策決定と早期実行です。

従来、中小企業は、他の中小企業や中堅・大手企業との競合を避けるために、自社の強みを最大化して、差別化・差異化可能なニッチ市場で勝者になるやり方を計画・実行してきました。

このやり方で多くの中小企業が成功しています。

大手メーカーの場合、ブランド力、資金力、強力な販売体制、量産効果によるコストダウンなどの総合的な経営力で、国内や世界市場で事業を行なってきました。

自社商品に競争力があれば、そのやり方で事業の維持・拡大が可能です。国内メーカーは、卓越した技術力と商品力で欧米電機メーカーを圧倒して市場を押さえてきました。

家電商品の主役の一つであるテレビの場合、かって国内電機メーカーがたどった成長道路を韓国、台湾、中国のメーカーが同じようにこの道路をより急速に走った結果、国内メーカーは市場を奪われました。

液晶テレビの場合、この商品を構成する部品やデバイスを購入できれば、どのメーカーでも作れます。いわゆる水平分業型商品になっています。

また、テレビは先進国市場では、ほぼどの家庭でも使われていますので、超成熟商品であり、顧客が新規に購入する意欲が乏しいものになっています。

商品および市場の観点からみますと、テレビは完全に汎用化した低価格化が求められる商品になっています。

国内電機メーカーは、汎用化した値段勝負のテレビ事業にこだわってきました。その結果、韓国、中国勢との価格競争に負けました。

国内電機メーカーは、商品が汎用化し、不毛な価格競争に陥った事業分野から早期に撤退する必要があります。

一時期、多くの国内電機メーカーは、テレビは自社の顔になると判断して、この事業の継続・拡大にこだわっていました。

このことが、テレビ事業の見通しを難しくしてしまいました。

今のパナソニック、ソニー、シャープ、NECなどの電機メーカーに必要なのは、迅速かつ合理的な集中と選択です。

赤字事業の合理化や撤退だけでなく、新成長事業分野を特定することが必要です。かって、IBMはまだ収益をあげていましたパソコン事業から撤退し、中国メーカーに売却しました。

IBMは、当時、パソコンは近いうちに汎用化して価格競争に入ると予想したことが決断の主要因です。

同時に、IBMはソフトウェア事業への経営資源集中で、差別化・差異化を図る施策を決めました。

今の電機メーカーに取って欲しいのは、自社の強みを再確認して、その強みを最大化することです。強みを最大化するためには、M&Aや他社との連携;アライアンスも有効な方法です。

テレビ事業は、撤退するか大幅に縮小するのが合理的です。

パナソニックの場合、白物家電と環境・エネルギー分野を中核に事業編成を行なうことが一つの方法です。どの分野もパナソニックは強みを持っており、差別化・差異化できる可能性があります。

中小企業は、事業撤退や新規事業立ち上げにためらって立ち止まると、他社との競争に負けるリスクを常に持っています。

常にお尻に火がついているような状態で経営している中小企業は、多く存在しています。現在勝ち組みになっている中小企業でも油断すると、顧客から相手にされなくなります。

顧客の反応を見ながら、自社の強みを最大化する努力を続ける中小企業のみが勝ち残れます。

大手電機メーカーにもそのようなハングリーさを期待しつつ、今後も注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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