2013日本の宿ヒット予測BEST3! - 地域活性化・町おこし - 専門家プロファイル

井門 隆夫
株式会社井門観光研究所 代表取締役
東京都
マーケティングプランナー

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:イベント・地域活性

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

2013日本の宿ヒット予測BEST3!

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. イベント・地域活性
  3. 地域活性化・町おこし

2013年、日本の宿にとってどんなトレンドがあるでしょう。

新年にあたり、半分妄想も含みつつ、「日本の宿ヒット予測BEST3!」を発表します~


第3位 「日帰り専門温泉宿」

その名のとおり、日帰り客向けの温泉宿。と言っても、スーパー銭湯ではありません。ちゃんと客室があり、お部屋で寛げ、料理も出て、一泊するのと何ら遜色のない滞在ができる温泉宿。「これまでは、宿泊中心でやってきたけど、部屋の稼働率も高まらないし、夜の働き手がいない。それなら、いっそのこと、日帰り宿に・・・」。

そんな宿の思いを支えるのは、「泊まりたくても休みが分散化。家族・友人でも休みが合わない。休みが一日重なれば皆一同に行ける日帰り専門の温泉宿があればいいのに・・・」という生活者。こういうシチュエーションはどんどん増えていると思います。

例えば、蔵王温泉(山形県)の「かわらや」さん(上:料理写真)は、全面改築され、日帰り専門を選ばれました。他にも、青森県の「津軽おのえ温泉福家」さん、埼玉県都幾川温泉の「とき川」さん、など。リセット可能な小規模旅館のひとつの選択肢として、日帰り専門宿が増えてくると思われます。


第2位 「外資系高級旅館」

善きにつけ悪しきにつけ、昨今の東アジアのバランスからすると日本もTPPに参加することになるでしょう。その功罪はさておき、比較的早期に金融面での外資流入がありそうです。2013年中にはまだその動きは緩やかかもしれませんが、結果として、外資系金融が温泉旅館に資本参加していく可能性も少なくありません。

日本文化の粋ともいえる高級旅館も外資系となれば、収益重視に変わっていきます。料金はホテル式になり、食事はアラカルトも頼めるようになる等、仕組みは合理的になり、多くの日本の消費者にも歓迎されることでしょう。しかし、地域の雇用を守り、無駄とわかって料理の部屋出しを守ってきた非合理性は消滅の危機に遭い、日本文化が消え去るおそれもはらんでいます。高級旅館は、客室稼働率ではなく高単価で維持してきました。外資はそれを知らずに、稼働を上げようと考えるに違いないからです(もちろんそれが悪いわけではありませんが)。

外資比率が上がる結果、収益重視となってサービスがどんどん標準化していくか、日本として守るべきものは守っていけるか。言い換えれば、旅館の個性が差異化(サービスが多様化)され、日本文化を守りながら内需を促進できるか、サービスの合理化一辺倒で旅館文化が危機に瀕するか。それは利用者たる日本人の民度(選別能力)にかかっていると言っても過言ではありません。


第1位 「素泊まり専門温泉宿」

パンパカパーン!

勝手に予想する、「2013日本の宿ヒット予測」第1位は、素泊まり専門温泉宿です。

その名の通り、食事(夕食)は出さず、客室(もしくは簡単な朝食のみ)の提供という旅館。昔は木賃宿といって蔑まれた形態かもしれませんが、国際的にもホテルが主流となった現代において、ちょっとリッチな客室さえあれば、食事は周辺の居酒屋や食堂、あるいは他の旅館でいただいてしまえば、そちらのほうが自由でよい、と考える消費者は少なくないと思います。

これで客室稼働率が高まれば、旅館にとってもこんなにおいしい業態はありません。なぜ、この業態が増えないのか、むしろ不思議でしかたないのです。

と思っていたら、昨年暮れに草津で「湯畑草菴」(下:客室パース)が開業しました。草津で旅館やホテルを営む老舗の奈良屋さんの新業態。これは流行るでしょう。

湯畑のすぐ目の前の立地で、素泊まり(朝食付き)で8千円程度(1月中なら半額キャンペーン中!)とリーズナブル。とりわけ若い方々には「こんな旅館欲しかった」と思われるに違いありません。

この業態は、すでに営業している旅館・ホテルの姉妹館的に開業するケースが多いでしょう。そうすれば、少なくとも食事をいただける場所は確保できますからね。各地で元気な旅館企業は、複数館の事業ポートフォリオをしっかりと確立しています。

素泊まりなら、夜遅く仕事帰りに温泉旅行というワザも可能。一日休みがあれば、ゆっくり温泉旅行ができるという新しい商慣習の切り札になるかもしれません!日帰り宿とのジョイント(二毛作)型もありかもしれませんね。

新しい旅館が誕生するかもしれない、2013年。大いに期待いたしましょう。

とはいえ、既存の宿が廃れるわけではなく、むしろ、日本ならでは、地域ならではの食を提供している宿は、食事だけでも、という方が増えていくでしょう(それも難儀といえば難儀ですが...)。 いずれにしても、次なる策を消費増税で一時的に消費が冷え込む前に考えておきたいですね。


 【参考リンク】

2012年日本の宿ヒットしない予測BEST3

2011年日本の宿ヒット予測BEST5

2010年日本の宿ヒット予測BEST5

2009年日本の宿ヒット予測BEST5

2008年日本の宿トレンド予測BEST5

2007年日本の宿トレンド予測BEST5

2006年超私的日本の宿ニュースBEST3

2005年超私的日本の宿ニュースBEST3

2004年超私的日本の宿ニュースBEST3

このコラムに類似したコラム

「機能的旅館」と「情緒的旅館」 井門 隆夫 - マーケティングプランナー(2012/04/07 17:21)

ベトナムに学べ 井門 隆夫 - マーケティングプランナー(2013/09/28 23:28)

旅館業界の今後を象徴する組織の誕生 井門 隆夫 - マーケティングプランナー(2013/08/03 14:48)

旅で好き嫌いをなくそう 井門 隆夫 - マーケティングプランナー(2013/07/16 21:22)

旅館料理の法則とは 山田 祐子 - 旅館・民宿プランナー(2013/05/27 13:34)