戦前の内閣支持率通り、民主党の惨敗で終わった衆院選。自民党がここまで圧勝するとは思いませんでした。第三極の立ち上げに維新の会も失敗したと云えます。原因は、国民に「維新の会が政権を担当すればこうなる」と云うビジョンを見せられなかったことでしょう。
それともう一つ、どの党の政策も、官僚の支配からは逃れられないと国民には感じられたのではないでしょうか。経営感覚を一切持たず、保身しか考えない官僚主導の政策では日本は良くなりません。どの党もそれを感じながら、何等具体策が見えてこなかったのが、反民主の代表である自民党へ票が集まった原因の様に思います。本来比例代表制は、政治的基盤の無い人でもその筋のエキスパートであれば、国会議員になれて官僚にもの申す政府を造る為に創設された制度です。それが今や落選議員の滑り止めの様ななんとも情けない制度になっています。国民の審判で国会議員に相応しくないと判定された人間が比例代表制で救われるなんて変だと、どの党も云っていません。本当に官僚統治機構を解体する気構えがあるのなら、比例代表制を本来のエキスパートの登用に戻すべきです。
今後も、自分たちの保身しか考えていない官僚主導の政策が進んで行くでしょう。政権が代わっても住宅政策もあまり変化しないことが予想されます。23年度の「木の家整備促進事業」は町の工務店でも利用出来る制度でしたが、24年度からは国庫の資金のばら撒きだと批判された為、ハードルの高い「地域型住宅ブランド化事業」に変わっています。簡単に利用出来なくなったばかりでなく、利用出来る件数も昨年の1/10程度に縮小しています。自民党は景気対策を政策課題に挙げていますが、景気対策に相反する「地域型住宅ブランド化事業」の様な制度の改正を、エキスパートがいない自民党に出来るとも思えません。
それにも増して、国交省のみが住宅政策を今まで行ってきましたが、経産省もCO2対策の観点から住宅政策に関わろうとしています。CO2の総排出量を住宅ごとに割り出して、優良な住宅には税制優遇や助成制度を設けたりするようですが、そこは国の事業で簡単に誰もが飛びつける制度にならないのも簡単に予想できます。結局のところ専属の担当者の置ける一部の会社が利益を享受し、多くの工務店が利用出来ない制度になるだろうと考えています。自民党も官僚主導の政策では、景気浮揚政策に失敗するでしょう。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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