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日経記事;『ルネサス、2000億円増資を発表 革新機構の傘下に』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月11日付の日経新聞に、『ルネサス、2000億円増資を発表 革新機構の傘下に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ルネサスエレクトロニクスは10日、政府系ファンドの産業革新機構とトヨタ自動車など国内の主要取引先8社から最大で計2000億円の出資を受け入れると発表した。

革新機構が議決権ベースで株式の3分の2強を保有する筆頭株主となり、ルネサスに役員を派遣し経営再建を主導する。

ルネサスは来年2月から9月にかけて革新機構と、トヨタ自動車、日産自動車、キヤノン、パナソニックなど8社を対象とする第三者割当増資を実施し、1500億円を調達する。発行価格は1株120円。

革新機構は3月末までに払い込む予定で、出資額は1383億5000万円。議決権ベースで69.16%の株式を持つ。マイコンなどの大口顧客である8社の出資比率は計5.82%となる。

ルネサス株の9割以上を保有しているNEC、日立製作所、三菱電機の3社の持ち分は計22.8%に下がる。革新機構は必要に応じて500億円を追加で出資または融資する。

同日記者会見した革新機構の能見公一社長は「明確なリーダーシップのもとで成長戦略を推進する必要がある。新体制をどう組むのかを検討したい」と述べ、経営体制の刷新を示唆した。外部から社長を迎えることも検討している。

ルネサスはデジタル家電の頭脳に使われるシステムLSI事業の不振などで、前身企業も含めると2013年3月期まで8期連続で最終赤字を計上する見通し。

ただ、自動車のエンジンや家電製品のモーターなどを制御し、省エネ性能を左右するマイコンでは約3割の世界シェアを持ち、国内の自動車・電機大手も広く採用している。革新機構は国内製造業の競争力を維持するにはルネサス支援が不可欠と判断した。

ルネサスは今後、LSI事業を他社と統合して切り離した上で、マイコン事業に経営資源を集中する計画。

経営効率化に向けた工場再編や人員削減も実施する。3月末の従業員数は4万2800人だったが、10月末に約7500人を削減した。革新機構はルネサスに対し、追加で最大5千人の削減を求めている。』


今まで何度か報じられてきました、ルネサスエレクトロニクスの経営再建策が決まりました。ルネサスは、革新機構を中心に国内企業から2000億円の出資を受けて新企業体として再出発します。

新会社は、競争力のあるマイコンに集中して、マイコン専門メーカーとして勝ち残りをかけて事業展開することになります。

マイコンは、自動車のエンジンや家電・産業製品のモーターなどに使用されており、それらの性能・機能・省エネ能力をコントロールするコア部品です。

マイコンの性能が自動車や家電製品、産業用電機・電子機器などの性能を大きく左右します。

政府が、革新機構を通じて経営支援することを決めたのは、ルネサスが海外企業の傘下に入ると、国の基幹産業である、自動車や家電製品、産業用電機・電子機器の競争力にマイナス影響を与えると判断したためです。

日経によると、今回の救済スキームは、外資による買収でマイコンの安定調達に支障をきたしかねないと恐れた自動車メーカーが経済産業省に支援を働き掛けた結果とのこと。

もし自動車メーカーが上記記事通りの意思を持っているとすると、ルネサスと顧客である自動車メーカーとの関係も見直す必要があります。

ルネサスは、世界最高のマイコン技術を持っているとされています。しかしながら、ルネサスは、
8期連続で最終赤字を計上しています。

ルネサスの赤字は、経営体質があまく、システムLSI事業では大赤字を出していたのも、8期連続赤字が続いていた理由の一つです。

同時に、ルネサスは、一品ものと言われるカスタムメードのマイコン開発が得意で、顧客が新製品を出すたびにそれに合わせたマイコンの回路を一から開発する「特注品」を積極的につくってきました。

このカスタムメード;特注品から利益確保ができれば良いのですが、たびたび採算を度外視した自動車メーカーのような顧客の要求にも、利益が出る他の半導体製品でカバーすればいいという対応を続けてきたと、されています。

人によっては、ルネサスは自動車メーカーや電機メーカーの下請け的な役割分担で、特注品的なマイコンを開発・供給してきたとされています。

現状のルネサスがこの通りだとすると、出資企業の中に自動車メーカーや電機メーカーが含まれますので、同じような関係が維持される可能性があります。

このような疑問に対して、ルネサスの株式の3分の2を持つ革新機構の能見社長は、「我々が株式の3分の2を握る。経営でリーダーシップを発揮しやすい環境を整えた」と指摘したと、日経は伝えています。

ルネサスの再建後には、マイコン専門事業者として、自動車や電機製品だけでなく、環境、エネルギー関連の新規市場を積極的に開拓し、世界市場でのシェア現在の30%から倍増の60%位に持っていく積極策を期待します。

ルネサスの進むべき道は、例えば、パソコン向けCPUメーカーのインテルであり、スマホ向けCPUメーカーのクアルコムと言えます。

インテルとクアルコムは、共にCPU供給でパソコンとスマホを支えており、両巨大事業のプラットフォームの一部を支えています。

両社なしにパソコンとスマホは、存在しないと言っても過言ではありません。両社は、CPUの開発段階から、顧客企業と会話をしながら、次世代パソコンやスマホの商品化に関わりを持ち、製品メーカーの事業拡大に合わせて売上拡大を実現し、CPUメーカーとしての立場、つまりプラットフォーム強化を図っています。

ルネサスは、マイコンでインテルやクアルコムと同じように、自動車、電気電子機器、環境対応・エネルギー関連機器向け専業マイコンで、プラットフォームメーカーとしての足場固めすることが重要となります。

ルネサスには、革新機構を中心に多くの国内企業が株主として参加しています。過去の寄り合い所帯の失敗を教訓に、ルネサス経営陣が迅速に決定・行動できるような経営組織を作ることも必要です。

世界の競合企業と互角以上に戦うためには、ルネサスの決定を尊重して支援する事業環境が必須です。

出資企業は、ルネサスを下請け扱いしないで、対等な関係で必要なマイコンを開発・供給してもらう体制構築に協力する姿勢も大事になります。

今後の新ルネサスの動きについて注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁 

  

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