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日経記事;『鴻海も苦戦、集まらぬ中国の労働者 若者定着せず』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月8日付の日経新聞に、『鴻海も苦戦、集まらぬ中国の労働者 若者定着せず 「きつい仕事、我慢できない」』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『中国の製造現場で労働者の確保が一段と厳しさを増している。多くの工場が深刻な人手不足に直面し、人件費は右肩上がりで上昇を続ける。

安価な労働力を強みに「世界の工場」と呼ばれた中国の変調。世界最大のEMS(電子機器の受託製造サービス)会社、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業も直撃している。

大型工場が集まる中国南部の深セン市(広東省)郊外にひときわ巨大な工場がある。米アップルから携帯電話や部品の製造を受託する鴻海の中国子会社、富士康科技集団(フォックスコン)本部だ。

■閑散とする募集窓口

12月初旬、同工場の南門にある従業員募集窓口は閑散としていた。並んでいたのは若い男女30人。警備員は「2~3年前は300人以上いたのに」と首をひねる。

中国国内の従業員は130万人。深セン工場だけで30万人が働く。中国全土の農村から従業員を集め、安価で豊富な労働力を売り物に急成長した。同社の輸出総額は中国全体の約6%を占める。だが、この成長方程式は暗礁に乗り上げている。

 「いつも人手不足だ」。鴻海幹部は打ち明ける。採用担当者は中国各地を行脚し、地方政府や専門学校で採用活動を連日続ける。

2012年の基本給は2200元(約2万9000円)と5年前の4倍近いが、労働者は集まらない。トップの郭台銘氏が「100万台のロボットを導入して人間と置き換える」と語るほど深刻だ。

なぜ従業員が足りないのか。「農民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者の数が不足しているのではない。11年の出稼ぎ総数は2億5300万人。08年より3000万人弱多い。変わったのは農民工の意識だ。

清華大学の調査によると、1960~70年代生まれの農民工の1社での平均勤続期間は4.2年間だった。

だが80年代生まれは1.5年間、90年代生まれは0.9年間だ。鴻海の人事担当者は「若い農民工ほどきつい労働に我慢できない」と分析する。

同社の深セン工場、四川省成都の工場などで今年に入り、衝突が相次ぎ発生した。多くは警備員が従業員に注意したことがきっかけだ

。若い労働者は豊かになりかけた時代に生まれ、甘やかされて育った。出稼ぎに出ても実家に仕送りはしない。短期間の仕事で稼いだ賃金で食いつなぎ、蓄えがなくなったら再び就職する若者が増えている。

移り気な労働者をつなぎ留めるため給与は右肩上がりで上昇する。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、深セン市の基本給はベトナムの3倍近い。ミャンマーと比べると約5倍だ。

■アディダスなど工場閉鎖

 この30年あまりの中国の成長を支えた賃金の相対的な安さは薄れ、世界の製造業は中国での生産見直しに動き始めている。

米ナイキは09年に中国の自社工場を閉鎖し、アディダスも今年10月に追随した。

中国は所得向上やネットの普及で労働者の権利意識が高まる一方、所得格差は拡大した。中国共産党は労働者の不満緩和を狙って所得倍増を打ち出し、これが激しい賃上げ要求につながる。安い労働力に頼った成長モデルは限界が近づいている。』


本ブログ・コラムでは、今までに何度か中国に進出した国内メーカーが、製造拠点をベトナム、インド、バングラデシュ、インドネシア、ミャンマーなどの低賃金国に移し始めていることについて書いています。

本日の記事は、中国内で低賃金で働く大量の労働力を確保して、低コストで製造し、世界市場に再輸出するビジネスモデルの代表格である、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が日本メーカーと同じ問題に直面している実態について書いています。

この記事の内容通りの状況が起こっているとすると、中国の世界の工場としての位置付けは、急激に変化することになります。

すでに国内メーカーの中で、繊維・アパレルなどのような労働集約的産業は、中国内では労働力確保の難しさと、労働賃金の高騰から中国での生産維持が難しくなったため、バングラデシュ、ベトナム、インド、ミャンマーなどに製造拠点を移しています。

上記鴻海の状況は、繊維・アパレルで起こったことと同じ状況が最新の電子製品で起こりつつあることを端的に示しています。

12月6日に『米アップル は自社パソコン(PC)「Mac( マック)」生産の一部を中国から米国に移管するに当って、2013年に1億ドル(約82億円)余りを米国内に投資する計画だ。 』との報道記事が各報道機関から流されました。

ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、「来年は生産の一部を米国に移管する予定だ」と述べた上で、「これはアップルが自ら生産に動くということを意味するものではない。当社は関係する人たちと協力し、資金を投入していく」と説明したとのこと。

報道記事では、アップルに協力する企業は、鴻海ではないかと書いているものもありました。

鴻海が中国以外の国で電子機器の生産を始めるとすると、今まで中国内で多くの従業員を使って作る方式からの変更をすることになります。

米国では、安い賃金で多くの労働力確保はできません。米国内で作る場合、少数の労働力で作れる自動化工場で対応することが合理的な考えです。

産業用ロボットやITなどの導入で生産の自動化・高度化を進めて、製造コストを下げれば、米国内での生産も可能になります。

産業用ロボットなどで自動化された工場では、技術力の差が作る製品の品質やコストなどに現れます。

また、中国内の労働賃金が上がることは、中国メーカーのコスト競争力が弱まり、国内メーカーとの差が縮小することになります。

国内メーカーが直ちに鴻海のような世界的なEMS会社と競争できるようになるとは、単純に考えることはできませんが、産業用ロボットやITを駆使して自動化工場を作れれば、競争するための土俵に乗ることは可能になります。

工場が自動化されると、コストの差は、原材料や部品の調達力によることが多くなりますので、生産数量を増やして調達数が多い企業が有利になります。

あくまでも仮定の話になりますが、国内電機メーカーが協力して、電子機器の生産を独自のEMS企業に集約すれば、国内に生産受託専業メーカーをおくことは可能になります。

キャノンやファナックは、日本国内で徹底的に自動化した工場を稼働し、国内だけでなく海外市場にも輸出しています。

差別化・差異化は、製品の性能・品質・信頼性・コストの全ての面で競争力を持っていますので、キャノンとファナック製品は、輸出しても採算を確保できています。

円高の影響が少なくなれば、自動化工場から輸出された製品の競争力は回復しますので、キャノンやファナックほどでないにしても、国内工場から電子機器を輸出することは決して夢物語ではないとみています。

米国では、徐々にではありますが、製造業が米国内に戻りつつあります。産業用ロボットやITを駆使して効率的な自動化工場を作る動きも出始めています。

IT活用事例としては、以前に取り上げました3D プリンターの活用による金型製作の低コスト化、短時間化があります。

中国の世界の工場としての変調は、国内メーカーの製造拠点や製造方法などを見直すきっかけになるとみますし、期待しています。

産業用ロボットを生産・供給しています安川電機は、ファナックとは対称的に中国内に生産拠点を持っています。この安川電機は、2013年度の産業用ロボットの生産能力を2倍の1万2000台に引き上げると、今年の7月に発表していました。

これは、人件費高騰で、自動車工場などで使うロボットの需要が予想より速いペースで拡大すると判断したことによります。

現に、中国企業から産業用ロボットの受注が増えており、多くの現地企業が工場の近代化を進めていることを示しています。

中国政府も、安い労働力に頼らずに付加価値の高い製品を作り出すよう後押ししており、産業用ロボットについては現在、輸入関税率をゼロとしている、海外製品の導入を急いで産業の高度化を促す構えとされています。

国内メーカーは、円高や高騰する電気代などで、国内生産には難しい条件が重なっていますが、新政権が規制緩和、事業税の引き下げ、投資減税などを積極的に行なって、メーカーの新規事業立ち上げや国内での生産意欲を高める施策を実行することを大いに期待します。

中国の労働力や労働賃金の変化は、日本製造企業にとって再強化の機会になります。今後の国内メーカーの事業展開に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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