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日経記事;"帝人、車向け炭素繊維を量産 米でGMに供給"考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月2日付の日経新聞に、『帝人、車向け炭素繊維を量産 米でGMに供給 300億円投資、鉄との需要争い激しく』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『帝人は鉄より軽くて強度の高い炭素繊維を世界で初めて自動車向けに量産する。米国に約300億円を投資し、2015年までに生産能力を4割拡大する。

米ゼネラル・モーターズ(GM)が量販車種に採用する計画で、帝人はGMへの主力取引企業として契約を結ぶ。

車体を軽くできる炭素繊維の採用は日欧勢も検討中だが、本格的に導入するのはGMが初めて。車の主要素材の座を巡り、鉄鋼、化学大手の競争に拍車をかけそうだ。

炭素繊維は鉄と比べて強度が10倍、重さも大幅に軽い。米ボーイングの新型旅客機「787」の機体に東レ製の炭素繊維が採用され注目されたが、中長期的には自動車産業が最大の需要家になると予測されていた。

GMと帝人は昨年提携し、量産技術の確立を目指していた。今回、GMが炭素繊維を使用するのは15年以降に発売する一般向けの主力車種。

強度が必要な骨組みの「構造材」といわれる部分の一部を鉄と置き換える。車の見栄えに影響する車の外側部分についても採用を検討していくという。

帝人は今月、松山市の工場で炭素繊維と樹脂を組み合わせた構造材を量産する試験装置を動かす。GMはこの部品で実車試験を始める。

帝人は炭素繊維を自動車部品に1分以内で成形できる技術を確立、従来に比べ生産速度を10分の1程度に短縮したとしている。

生産能力はテネシー州にある工場を増強するか米国内の別の場所に新工場を建設し引き上げる。同社は日独にも炭素繊維工場を持ち、生産能力は現在、年間1万3900トン(世界シェアは2割)。東レ(同1万8千トン)に次ぐ2位だ。

炭素繊維の量販車への搭載はGMが初。日本の自動車大手も研究を進めているが、本格採用はGMより遅れそうだ。

GMはハイブリッド車技術などで日本に先行されてきた歴史があり、炭素繊維導入では先を行き、軽量化による燃費向上を進める戦略とみられる。

炭素繊維は帝人が新しい生産技術を確立したため、鉄の数十倍だったコストが2倍弱まで縮まるもよう。今後、生産量や搭載車種が増えていけば車両価格を大幅に引き上げずに搭載できる可能性がありそうだ。

自動車向けでは東レが独ダイムラーとの取引を狙って欧州での生産体制を強化している。三菱レイヨンを含め日本の3社は合計で6割の世界シェアを握るが、各社の積極的な増産や技術力の高さで今後シェアが一段と高まる可能性がある。

炭素繊維の世界需要は20年までに年14万トンと11年実績と比べて4倍近くに拡大する見通し。自動車部品のほか、米国で生産が拡大する新型ガス「シェールガス」を輸送する容器の材料など新たな用途も広がっている。』

本日の記事は、東レ、帝人、三菱レイヨンなどの国内企業が得意とする炭素繊維の使用用途拡大について書いています。

炭素繊維は、ウィキペディアによるとアクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して作った繊維と定義されています。

JIS規格では「有機繊維のプレカーサーを加熱炭素化処理して得られる、質量比で90%以上が炭素で構成される繊維。」と規定されています。

炭素繊維を単独の材料として利用することは少なく、合成樹脂などの母材と組み合わせた複合材料として用いることが主となっています。

炭素繊維を用いた複合材料としては炭素繊維強化プラスチック、炭素繊維強化炭素複合材料などが知られています。

この技術は、事実上、国内生まれのもので、東レや帝人、三菱レイヨンなどが長い期間をかけて開発・実用化を進めてきました。

炭素繊維の利点は、軽くて強いということであり、鉄と比較すると比重で1/4、比強度で7倍あるとされています。また、耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、電気伝導性に優れています。

いわば夢の新素材の一つになります。

同時に、炭素繊維は開発当初からの大きな課題がいくつかありました。製造コストの高さ、加工の難しさ、リサイクルの難しさが課題になっていました。

これらの課題克服に長時間を要したため、東レや帝人、三菱レイヨンなどの国内勢を除いては、多額の開発投資を諦めてしまいました。

帝人では、炭素繊維の開発投資継続の難しさから、何度か開発打ち切りの声が上がったとされています。この声を聞きながらも、当時のトップの意志で開発継続を行なってきたとのこと。

最近、大きな話題になったのが、東レの炭素繊維がボーイングの最新鋭旅客機である、ボーイング787に採用され、高効率旅客機の開発・商用化に貢献したことです。

今後、国内メーカーの炭素繊維は、他社の旅客機にも多く採用されるとみています。

東レや帝人、三菱レイヨンなどの国内メーカーは、上記炭素繊維の課題解決を実現しつつあります。これらの課題解決が進むと、炭素繊維は需要の本命の一つである自動車に採用されるとみられてきました。

本日の記事は、帝人がGMに炭素繊維を本格納入し、GMの量販車に採用されることを書いています。

東レは、別途独ダイムラーと炭素繊維採用に向けて交渉しています。

これらの動きに加えて、国内自動車メーカーが炭素繊維を採用すると、当該繊維の需要は一気に拡大します。 

量産効果で、炭素繊維の製造コストが下がると共に、製造方法についても様々な革新の起こることが期待されます。

東レ、帝人、三菱レーヨンの国内メーカー3社で、世界市場の60%のシェアを取っています。世界自動車メーカーなどで、炭素繊維が使われると、2020年までに年14万トンと2011年実績と比べて4倍近くに拡大する見通しとのこと。

卓越した技術力と価格競争力を持つ国内メーカーの売上とシェアは、さらに拡大します。これは、長年日の目をみるまで、頑張って開発投資を行なってきた国内メーカーが得るべき大きな成功果実となります。

素材産業は、日本が世界市場で圧倒的な強みを持つ分野の一つです。特に炭素繊維はその典型的なものの一つです。

東レや帝人、三菱レイヨンなどの国内メーカーが、今後とも圧倒的な競争力を持って、新規用途を開拓しながら、大きな成長を遂げ続けることを大いに期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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