日経記事;『三菱重・日立、電力事業を統合』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『三菱重・日立、電力事業を統合』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月30日付の日経新聞に、『三菱重・日立、電力事業を統合 14年春に新会社、火力設備 世界3強に 売上高1.5兆円』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『 三菱重工業と日立製作所は電力システム事業を統合する方針を固めた。2014年春に新会社を設立する。統合するのはガスタービンなど火力発電所向け設備が中心で、原子力発電プラントは除く。

売上高を合計すると1兆5千億円規模に達し、独シーメンス、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の2強に近づく。世界経済の不透明感が高まる中、急成長する社会インフラ市場で勝ち抜くには事業規模を拡大する必要があると判断した。

両社は29日午前にそれぞれ取締役会を開き、事業統合に向け協議を始めることを決めた。同日夕に発表する予定。

今後、詳細な条件を詰めたうえで14年4月に事業統合の受け皿となる新会社を設立する方針。電力システム事業の売り上げ規模が大きい三菱重工が、新会社の株式の過半を握る見通しだ。

三菱重工は火力や風力、地熱など幅広い発電プラントをそろえる。特に東京電力福島第1原子力発電所の事故後に需要が急増している天然ガスを燃料とした火力発電では、熱効率が世界最高水準のガスタービンを持つ。

日立は新興国で新増設が相次ぐ石炭火力発電所向けの蒸気タービンに強い。三菱重工にはないIT(情報技術)や制御技術を持ち、補完関係にある。

電力システム事業の売上高(11年度実績、原発を含む)は三菱重工が9553億円、日立が8324億円。三菱重工にとっては連結売上高の3割強、営業利益の約8割を占める主力事業だ。合計するとシーメンス(約2兆9千億円)、GE(約2兆5千億円)の事業規模に近づく。原発を除く売上高合計は1兆5千億円程度とみられる。

世界の発電量は35年に30兆キロワット時を上回り、08年実績比で8割増となる見通し。発電所建設などインフラ投資は35年までに1300兆円に達するとの試算もある。統合新会社の主力事業となる火力発電システムはアジアを中心に整備が進む。

ただ原子力発電プラントに関しては、日立はGEと事業統合している。三菱重工は仏大手アレバと提携関係にあるため、今回は統合対象からはずすもようだ。

三菱重工と日立は2000年に製鉄機械部門の統合で合意し、11年には水力発電機器事業を統合した。街全体でエネルギー効率を高め消費電力を抑えるスマートシティー事業をスペインなどで共同で進めるなど、社会インフラ分野を中心に協力関係を築いてきた。

両社は昨年、トップ同士が電力システムなど幅広い領域で事業統合などの可能性を水面下で探り、同年夏には合意直前まで進んだ。ただ社内調整が十分でなかったこともあり、その後の交渉は滞っていた。

欧州債務危機などの影響で景気の先行きに不透明感が強まると同時に、韓国や中国企業などとの受注競争が激化している。鉄道車両や都市交通システム、環境プラントなどでも今後、提携を深めていく可能性がある。』


三菱重工と日立の重電分野に関する事業統合の話は、以前に日経新聞に取り上げられ、本ブログ・コラムでも書きました。

この時は、重電分野での日の丸連合になる期待も含めて、両社の事業統合で力をつけて、世界市場で新規事業拡大の期待について書きました。

日経の記事後、両社は事業統合の話を否定しました。時期が早すぎるとか、三菱重工が日立に飲み込まれるとかの理由が記事になっていました。

しかし、私は、両社による重電分野の事業統合が世界市場開拓には必要であり、実現の期待について書きました。

本日の記事は、この期待が実現したことを示しています。

世界の電力事業分野での覇者は、現在独シーメンスと米GEです。両社の売上は、ともにシーメンス(約2兆9千億円)、GE(約2兆5千億円)と約3兆円となっており、三菱重工や日立の3倍弱の規模になります。

国内企業が世界市場でシーメンスやGEと競争していくには、一定の事業規模が必要になります。
技術だけでなく、販売・サービス網の充実が必要になり、これらの販売インフラ整備には巨額投資が必要であるため、大きな事業規模は世界市場で戦っていくためには必要なことです。

また、国内市場は、今まで続いていた公共事業の規模縮小に加えて、昨年の原発事故をきっかけとした電力会社の事業環境変化で大きく変わりました。

各電力会社は、基本的に公開入札で資材・機材調達や工事発注などを行なうオープン形式になりますので、競争は激化します。

各重電メーカーは、縮小し競合激化する国内市場のみでは事業継続・拡大ができなくることを意味しています。必然的に世界市場で事業展開することになります。

東芝は、重電業界の中ではいち早く世界展開の動きをかけており、例えば、昨年スマートメーターの分野で世界ナンバーワンのスイス企業を買収しました。

東芝は、世界を見据えた事業展開をしています。

三菱重工と日立は、事業連合で規模を拡大し、世界の電力市場開拓を行なうことになります。
世界市場をみますと、新興国を中心に電力不足に直面しており、多くの潜在需要があります。

日本の重電メーカーは、どこも基本的には高い製品技術を持っています。たとえば発電効率の高いガスタービン。高温に耐える素材段階からの開発技術が必要とされます。三菱重工は、GEに匹敵するか、あるいはそれ以上の技術を持っているとされます。

世界のガスタービン市場では、GEが50%、シーメンスが30%のシェアを持っており、国内市場の存在感はほとんどありません。

これは、今まで国内市場で安定的に受注できていたため、積極的に海外展開・進出をする必要がなかったことによります。

しかし、上記のように、国内市場の激変により、必然的に世界市場開拓をせまられる事態になっています。

記事によると、電力や水などインフラ整備は成長市場であり、人口増を支えるには30年までに4千兆円超の投資が必要とされるとのこと。

GEやシーメンスは、積極的に世界市場で事業していますので、両社と競争するには、国内企業はより高度な技術と販売インフラを持つ必要があります。

両社は、お互いが持っている強みを持ち寄って、統合効果が3倍や4倍以上にるように、早急に新体制を構築して事業することが重要であり、必要です。

中国勢や韓国勢も低価格を武器に、電力インフラ事業を積極的に開拓しています。今後、三菱重工と日立の新会社や東芝が、積極的な世界市場展開を行なって海外勢に打ち勝つことを大いに期待します。

今後も、三菱重工と日立の事業統合や、東芝の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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