日経記事;『キヤノン、年内に在庫1000億円圧縮』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『キヤノン、年内に在庫1000億円圧縮』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月28日付の日経新聞に、『キヤノン、年内に在庫1000億円圧縮 生産効率化で資金捻出 配当など株主配分を強化』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『キヤノンは2012年12月期末をメドに、連結ベースの在庫(決算書上の棚卸し資産)を9月末に比べ、1000億円程度減らす。中国や欧州の販売減速で在庫が増えているのに対応し、工場の自動化などによる生産の効率化を加速する。

今期は減益を見込むなか、在庫の圧縮で資金を捻出。配当などの株主配分を強化し、株価の下支えにつなげる狙いもある。

キヤノンは中国や欧州でコンパクトカメラや事務機の販売が低迷。9月末の棚卸し資産が5900億円強と前年同月末比14%増えた。

リーマン・ショック直後の08年9月末以来の高水準で、在庫の圧縮が課題になっていた。この機会を捉え、効率的な生産能力を強化する。

具体的には、国内外の事務機やカメラの工場でロボットを活用した自動化を進め、製品を従来より短期間で作れるようにする。

部材など、製造途中の仕掛かり品として滞留する期間が短くなるため、全体の棚卸し資産の減少につながる。

また、開発面では3次元CAD(コンピューターによる設計)を活用し、設計段階から不具合検査を徹底する。歩留まりを改善し、余分な仕掛かり品を減らす。

これらの生産効率化によって、在庫が何日分あるかを示す在庫回転日数を50日強(9月末は63日)に改善する。

在庫圧縮にはキャッシュフローの改善で、株主配分の原資を捻出する狙いもある。キヤノンの12年12月期のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は在庫圧縮などで、1750億円の黒字を確保する見通しだ。

キヤノンは今期配当を前期比10円増やす方針を表明している。自社株買いも増やしており、配当総額と自社株買いの合計が連結純利益に占める比率(総配分性向)は100%を超える。

来期以降についても数百億円規模の自社株買いをする可能性が高い。経営環境が不透明ななか、生産の効率化を急ぎ、手元資金を手厚くしておく狙いもある。』


キャノンについては、何度か工場の自動化に関して本ブログ・コラムで取り上げてきました。本日の記事も自動化に絡んでいますが、単に製造コスト削減だけでなく、在庫圧縮にも活用しようというやり方が注目されます。

以前に書きましたように、キャノンは円高環境下でも国内で採算が取れる工場を作るため、工場の自動化を推し進めています。

すでに多くの国内企業が進出している中国では、労働力不足と賃金水準の大幅上昇で、従来のやり方では、収益が上げられなくなり、工場移管や自動化の動きが出始めています。

中国企業の中にも、工場の自動化を始めたところがあります。

工場の自動化は、安い労働力を必要としませんので、再輸出目的で海外に工場を作る必要はありません。

円高対応が可能であれば、キャノンのように国内で自動化工場を作って生産拠点を集約化するほうが効率的になります。

本日の記事では、キャノンは自動化工場を含めたその既存インフラをさらに活用して、製造コスト圧縮だけでなく、在庫金額の圧縮をするやり方を始めたことについて書いています。

キャノンの動きは重要です。在庫圧縮は、キャッシュフローの確保・増加に貢献するだけでなく、過剰在庫滞留という1種の自己中毒から身を守ることになります。

在庫圧縮するためには、事業内容全般についての総合的な見直しと、大幅な業務効率向上が必要となります。

工場自動化は、製造リードタイムを短縮しますので、部材や半完成品の仕掛在庫を減らせます。さらに製造ラインや製造品目の変更に要する期間を短縮すれば、同様に仕掛在庫を減らせることになります。

また、キャノンは、市場の需要の変化に短期間で対応できるように、部材メーカーからの納入リードタイムの短縮も要求しているとみます。

いったん、在庫圧縮すると、市場での需要が拡大したときに、短時間で商品供給できるようにしておかないと、売上の機会損失の問題が発生します。

また、市場の需要の変化も敏感にキャッチし、当該変化を工場や製造部門がいち早く把握・理解する仕組みも必要になります。

記事によると、キャノンは3次元CADを使って開発や設計の変更頻度を減らす工夫もしています。

このように、仕掛在庫を圧縮するには、企業の全オペレーション(業務)を見直して、より効率的に、かつ、短期間に通常業務をできるようにする仕組みづくりが必要になります。


私も会社勤務時に、販売会社を含む市場サイドでの在庫圧縮や物流リードタイム短縮を行なった経験を持っています。

在庫圧縮や物流を含む全業務のやり方を見直して改革する必要がありました。この見直しと改革は、大変有効で結局、販売会社の全業務改革につながりました。

恐らく、キャノンも在庫圧縮を実現するため、開発、設計、製造、販売までの全ての業務フローを見直して改革することになります。

この改革が上手く行けば、キャノンの経営体質はさらに向上することが期待できますし、経営陣の意図もそこにあります。

自動化工場を持っていない中小企業も、在庫圧縮や物流リードタイム短縮は可能です。改革するという強い意志を持ってやり方を工夫すれば可能です。

中小企業の場合は、キャノンのように多くの機能を自社内に持っていませんので、他社の協力を得ながら、実行することが重要です。

市場の需要変化を、低コストでより敏感に理解・把握するには、ITの活用が不可欠です。また、ネット通販の爆発的な普及により、日本各所に物流倉庫が建ち、多くの物流会社が高効率な物流サービスを提供し始めています。

これらのインフラを活用しながら、開発、製造、販売までの全業務・過程を見直して改革することが重要ですし、一番の早道になります。

中小企業は、キャノン以上に効率的な事業を行なうことで、厳しい事業環境下で勝ち残っていくことができます。

最小の投資・コストで高効率化する創意と工夫は、小回りのきく中小企業にとって得意分野です。

中小企業の強みを最大化する工夫をし続ける姿勢と実行が大事です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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