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キッチンを調理するだけの場所にしない

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注文住宅において、キッチンにこだわる方は少なくありません。「食」を生み出す「基地」である台所は、家族の成長と健康を支える要(かなめ)であり、毎日の家事として使いやすいこと、快適であることが求められてくるために、相当のこだわりを抱くことでしょう。

しかし、多くのユーザーと話をしていると、そのほとんどが「仕様」にばかり注目していることに気付かされます。オール電化にするかガスにするかで悩み、カウンター型にするかアイランド型にするかで悩み、ゲストから見えないようにどんな工夫をするかで悩み、と。

もちろん、設備仕様はキッチンを計画するうえでの重要項目です。しかし、さらに考えなければならないことがあります。それは、「調理をしないとき、キッチンは何に使うのか?」ということです。

昨今の日本の住宅事情では、狭小地における建築が多いためか、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)という一体型の考え方が目立ちます。ところが実際には、L(リビング)とDK(ダイニング・キッチン)という使い方と、LD(リビングダイニング)とK(キッチン)という使い方があり、どちらのコンセプトを採用するかでプランは変わってくるものです。

後者の場合、キッチンは独立した空間として確立されるわけですが、「食」を扱うスペースで洗濯物を扱うということに抵抗を感じることもあります。それで、効率のことを考えてLD+KよりもL+DKというコンセプトのほうが便利と感じることもありますが、キッチンが独立していることのメリットを見直す必要があります。


リビングダイニングの使い方

日本では、自宅を開放してホームパーティーを楽しむという文化がまだまだ浸透していないように思いますが、実際には、休みの時に親・子・孫の三世代が一堂に会して楽しい時を過ごしたいと考えている方は少なくありません。これはホームパーティーの一種とみなすことができます。

三世代が集まるということは少なくとも5人以上が自由に動き回れるスペースであることが望ましいものです。もし家族数が3、4世帯と増えるなら、にぎやかに楽しむためには10人前後は余裕をもって過ごせる広さが必要です。

そうすると、DK(ダイニング・キッチン)とL(リビング)を分けるよりも、LD(リビング・ダイニング)を広いパブリックスペースとして使えるプランにしたほうが都合が良いことになります。家族の絆やコミュニケーションのあり方について熟慮される方の多くは、家族が集まれる広いスペースを自宅に作ることが鍵であるということに気付いています。


キッチンの使い方

そうすると、キッチンは孤立したスペースになります。その場合、キッチンが窮屈な印象にならないように、できるだけ広く、明るくしたいと考えることでしょう。しかし、「ただ料理するだけの場所にそこまでスペースを取らせるべきだろうか」と考えてしまうかもしれません。

しかし、独立した台所というのは、家族が重要な話し合いを個別にする、プライベートな空間にすることができるのです。たとえば、母親と子供とのコミュニケーションスペースとして、キッチンで子供が自分の気持ちを、他の兄弟姉妹がいないところで話したい場合など、とても自然にそれが可能になります。

台所作業をしながら親子で、または夫婦で、心を注ぎだす会話がしやすい、というメリットが独立したキッチンにはあるのです。

寝室や子供部屋でかしこまって話をしようとするとお互いに違和感や抵抗感を抱いてしまいがちかもしれませんが、作業をしながら何気ない会話をはじめ、悩んでいること、困っていること、辛いと思っていることなどを、自然な仕方で掘り下げていくことがしやすいのは、他でもない「キッチン」なのです。

海外のドラマなどで、少し広めの独立したキッチン・ルームで、親子や夫婦の大切な会話が行われているシーンを観たことがありませんか? 日本のドラマでも、キッチンで親子の会話が始まるシーンが少なくありません。そしてそうしたシーンでは、会話の当事者以外の登場人物は他の場所にいるのです。


キッチンは親子の会議室を兼ね、リビング・ダイニングは親睦を深めるスペースに

お子さんがいる家庭では、自然に子供の気持ちを引き出せるそうしたスペースを設けることが重要です。そのためにも、キッチンは明るくて居心地の良いスペースであることが望ましいのです。もちろん毎日の料理をする主婦が健康的に家事をこなせるようにという目的も達成します。しかし、キッチンがコミュニケーションを支える重要な「部屋」であることは、今日、いっそう重要視されるべきなのです。

LDKのプランニングは、こうしたポイントをしっかりと考える必要があります。DK(ダイニング・キッチン)とL(リビング)という分け方をすると、広さが不十分なリビングは、夫婦室の延長に過ぎない使い方になってしまいがちです。

食事を済ませた子供に家族で一緒に時間を過ごして欲しいのであれば、ダイニングとリビングを分けてしまうと都合が悪いことが少なくありません。食事した後にくつろぐ場所として、自室かリビングかを移動時に子供が簡単に選択できてしまうからです。

広いLD(リビング・ダイニング)であれば、ホームパーティーとしても使えますし、くつろいだ雰囲気の中で普段の食後の親子のコミュニケーションも図ることができます。子供の様子が少しおかしいな、と思った時には、「お皿を片付けるの、ちょっと手伝って」と促してキッチンに移動し、母親とその子供だけの閉じた空間の中でコミュニケーションを取ることができます。

もし、LDKを分けることなく大きな一体化スペースとしてプランするとしても、そのようなコミュニケーションスペースを設けようという意識があるのとないのとではライフスタイルに大きな違いが生まれることでしょう。


もしもLDKのあり方で悩むことがありましたら、このコラムに書いたことをぜひともじっくりとイメージしながら検討してみてください。親子や夫婦のコミュニケーション、将来の三世代・複数世帯の交流を自然に増やしたいと思うなら、どんな使い方をするべきなのか。

鍵となるのは、「キッチンを単なる作業場にするかどうか」ということなのです。

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高級輸入住宅の敏腕営業担当として『ツーバイフォーの鬼』と呼ばれる営業成績を残しつつも、必ずしも家が大切に残されないことや幸せに直結しないことに疑問を抱き、独立後、十数回にも及ぶ欧米住宅研究旅行を実施。国産無垢材ティンバーの大空間を実現。

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