「景観・まちづくり訴訟の動向」(研修)を受講しました。 - 住宅・不動産トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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「景観・まちづくり訴訟の動向」(研修)を受講しました。

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不動産

eラーニングで日本弁護士連合会の研修を受講しました。

 

 講座名    「景観・まちづくり訴訟の動向」

 研修実施日  2012年2月17日開催

 実施団体名  日本弁護士連合会       

 

[講師]
日置 雅晴 弁護士(早稲田大学大学院法務研究科教授・第二東京弁護士会)

 

 

 

No

 

講座タイトル

時間

01

 

景観・まちづくり訴訟の動向

02:01:14

 
 

02:01:14

     

                                                                                             

第1      景観、まちづくりの訴訟

1、行政訴訟

  不服申立前置手続(行政処分を知った日の翌日から60日)を遵守する必要があることに注意。

 ・行政訴訟では、①原告適格、②処分性、③行政裁量、④訴えの利益(工事や建物が完成してしまえば、訴えの利益がなくなる。)、の4つの障害がある。

 

2、行政不服審査

  建築確認の技術的な問題について、裁判所よりも、建築審査会(建築士が委員として入っている。)のほうが、詳しい。

建築審査会で建築確認が取消される件数の統計は1割前後。執行停止を申立てる必要もない。

ただし、法律や通達がおかしいと主張して争うことは、事実上、できない。

 

3、建築基準法

 ・建築基準法を遵守していれば、日照権に基づく請求は、ほとんど認められない(受忍限度論)。

 ・建築業者が作成した日影図が間違い・虚偽の場合や、複数の建物による複合日影の場合、日照権に基づく差止請求や損害賠償請求は認められる場合もあり得る。

 ・建築確認を争う行政訴訟

・浅草寺近隣の高層マンション総合設計の許可処分取消訴訟(請求棄却)

 

4、都市計画法

 ・行政は、高度を定める用途地域の指定により、建物の高さを規制できる。

 ・都市計画を争う場合、①原告適格、②処分性、③行政裁量、④訴えの利益(工事や建物が完成してしまえば、訴えの利益がなくなる。)、の4つの障害がある。

 ・近隣住民が都市計画を争う場合、①原告適格について、高いハードルがある。

 ・静岡県の都市計画に基づく道路計画を争った事例。道路計画により建築確認を申請したが、不許可となったので、処分性をクリアした(控訴審と最高裁は請求認容。)

 ・新宿区のマンション(連棟式、テラスハウス)の事件。控訴審で建築確認取消の判決が出たが、行政訴訟では判決確定しないと効力が生じないので、業者が建物工事を続行していたが、控訴審判決後に、執行停止により、工事を止めた。最高裁も控訴審の建築確認取消の結論を支持。また、建築確認の執行停止が認められて、最高裁まで執行停止が維持された唯一の事例。

 ・開発許可(500平方メートル以上)を争う場合。最高裁は、崖崩れ、溢水の場合にのみ、原告適格を認められている。

・なお、自転車場外車券売り場許可について、最高裁は、近隣住民に原告適格を認めた控訴審判決を破棄している。

 

5、景観法

・国立市マンション訴訟を受けて、新たに立法された。

・地方自治体が、規制の厳しい「景観地区」(実例として、芦屋市)、それよりは規制の緩やかな「景観計画」に指定する(東京都など)。

・芦屋市の景観法に基づく「景観地区」による不認可事例。全国で初めての事例。

 

6、公有水面埋立法

「鞆の浦」公有水面埋立許可処分差止訴訟(行政訴訟。第一審で請求認容、仮の差止も認められた。)

 

7、条例

 国立市マンション訴訟(東京地方裁判所は請求を認容したが、控訴審・上告審で請求は棄却されたが、最高裁は初めて景観利益を認めた。)

 

8、景観利益(人格権、民法709条、710条など)、公序良俗違反(民法90条)

 ・京都の由緒ある地域でも、差止請求は認められなかった事例あり(京都地方裁判所判決)。

 ・「まことちゃんハウス事件」(請求棄却)

 ・町田市マンション事件(請求棄却)

 ・ときわ台駅前マンション事件(請求棄却)

 

 

 

第2 景観、まちづくり条例                                                              

・条例による横出し規制や上乗せ規制については、建築基準法や都市計画法と抵触すると、条例制定権との関係で問題となる。

・事前の紛争調整(東京都の中高層建築物の紛争予防条例、各市区の条例)という手法を取る自治体が近時増えてきた。ただし、東京都の中高層建築物の紛争予防条例は、最近、調整の実効性がなくなり(結論が変わらないため)、近隣住民にはメリットが少なくなった。

・国分寺のマンションの事例。一定規模以上の土地を売買する場合、行政に6か月前に届け出る義務を条例で義務付け。売買する前に、地区計画を定めて建物の高さ規制する条例を制定。特例として、高さを緩和する条件として、近隣住民の参加するワークショップ(意見交換、説明会)と同意を必要として、事業(デベロッパー)の設計を変更させた。

・練馬区の高度地区。特例として、高さを緩和する条件として、近隣住民の参加するワークショップ(意見交換、説明会)と同意を必要としている。

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