マンションか戸建て住宅かは永遠のテーマにも思えます。着工件数から見れば、どちらも概ね40万戸づつで拮抗しています。
マンションの良さは、ドアの鍵一つで戸締りが出来ることでしょうか。仮にベランダの窓が開いていてもそこからドロボーが侵入することは、戸建て住宅の盗難件数よりも遥かに少ないです。また、管理費さえ支払っていれば空家が多く無い限り建物の健全性は管理組合がしてくれます。内装に関しては自分の好みで好きなように変えても構いません。気ままにお手軽に生活したいのであれば、マンションは至って便利な生活手段です。
戸建て住宅にも良さはあります。不動産価値として考えた場合、土地・建物の所有権がはっきりしています。マンションは区分所有法と云う法律で全体の1/○○と云う所有権しかありません。大地震が発生してマンションが住めなくなった場合、補修か建替えかで住民同士が裁判を起こした例もあります。戸建て住宅でしたら、補修しようが建て替えしようが自分の意思で決められます。建物は壊れても土地は更地にすれば資産価値としては残っていますので、不動産収入も期待出来ます。
マンションのデメリットは、地震とかの災害以外でもあります。よく問題になるのが音の問題です。ピアノの音や小さいお子さんの鳴き声、トイレの水が流れる音。加害者にも被害者にもなる可能性を秘めています。
戸建て住宅についても維持管理の面倒臭さ以外にもデメリットはあります。一階と二階で室温が異なります。マンションではまず考えられない、室内にいてヒートショックを起こす可能性があります。これは建売住宅に顕著で、温熱環境を考えず家を買ってしまい、マンションから戸建てに転居すると、このことに悩まされます。
マンションにするか戸建て住宅にするかはご自身の自由で、他人に決めてもらう話しではありませんが、大きな買い物には間違いありませんので、くれぐれも慎重にお考え下さい。戸建て住宅のデメリットを解消するのには少しばかり自信があります。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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