転職の手帖12:候補企業を見切る - 転職・就職全般 - 専門家プロファイル

市村 光之
キャリアリーブス 代表
東京都
キャリアカウンセラー

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対象:転職・就職

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転職の手帖12:候補企業を見切る

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採用面接は企業側があなたの経験・スキルや相性を量る場であると同時に、あなたもその企業が就職するにふさわしい企業かどうかを吟味するまたとない機会です。二次、三次と面接が進むにつれて、前回説明したように、あなたにとっての判断材料も少しずつ集まり、その企業の現場の様子や働くイメージが形成されることでしょう。見切った、と感じられるまで、貪欲に必要情報を集めて、かつ冷静に分析してください。

大切なことは、「冷静に」分析することです。試験も、運動競技もそうですが、やるからには勝ちたい、よい成績を挙げたいと思うのが人として自然な心情です。面接の過程では、自分の能力やよい点を伝えたい、該当ポジションに自分がいかにフィットするかを表現したい、そして、採用しますと言ってもらいたいという意識が先に立ちがちです。もちろん、そのような姿勢で臨んでこそ、面接官にあなたの能力や意気込みが伝わり、よい結果に繋がります。面接自体は、自分がこの企業で働くとしたらこんなふうにできる、というイメージをしっかり持って、ご自身を表現しましょう。

ただし、この企業に入りたい一心だけがあなたの心を支配すると、あなたにとってのその企業やポジションのマイナス面を、つまり入りたいという心情に不都合な情報を無意識のうちに切り捨てて考えがちになります。この点、面接から帰ったら、あなたが理解した情報を冷静に分析することが必要なのです。殊に面接が進み、採用の期待感が高まった段階で、または最終的にオファーを受けるかどうか判断するタイミングで、この冷静さが大切です。

具体的には、そもそも自分が転職する目的は何なのか、その目的を該当企業・ポジションで実現できそうなのか、いわば初心に還って、確認する作業が再度求められます。転職の動機はさまざまです。こんな仕事がしたい、ポジションを上げてこんな権限で自分の力を試したい、こんな環境で働きたい、年収をいくら以上にしたい…。リストラなど、ご自分の意志に反して転職する方にとっては、前職の体験から、こんな状態の企業がよい、こんなカルチャーの企業が向いている…などあるかと思います。

そうしたあなたにとっての転職のMUST条件やWANT条件に照らして、候補企業がどのくらいそれらの条件を満たしているのか、または満たしていないのか、を確認してみてください。100%あなたの理想に合致する仕事内容、職場環境、カルチャー、報酬、将来性の企業は多分ないでしょう。いくつかある条件のそれぞれについて、どの程度満たしていると考えられるのか、仮に今現在は満たしていないとしても将来的に満たせる可能性がどのくらいあるのかを量って、その企業に就職してよいかどうかを判断します。つまり、入社するにしても、辞退するにしても、自分で冷静に分析し、論理的に納得して判断することです。

殊に、幸運にも候補企業が複数あるケースでは、この冷静な分析が不可欠です。単に、A社が熱心に誘ってくれているから、年収提示額が多いから、有名な企業だから…というような目先の、または表面的な事象に流されては判断を誤りかねません。たとえば、入社時の年収額が高額でも将来の上昇が難しい企業もあれば、入社段階は低くても本人の頑張り次第で上昇が期待できる企業もあります。入社段階のポジションがあなたの望むものとピッタリでないとしても将来的にその仕事に携わる可能性が高い企業もあれば、入社段階のポジションはピッタリでも、先輩社員が大勢いてマネージャーに昇進しにくいなど、将来あなたがしたい仕事にステップアップが難しい組織もあるでしょう。

こうした判断の場では、親しい先輩や友人、信頼できるキャリアコンサルタントに第三者としての意見を聞くことも有効です。ただし、鵜呑みにせずに、あくまでも参考意見としてです。エージェントからの紹介で応募している企業について、そのコンサルタントに意見を求めるケースでは、自分の売り上げが上がるかどうか、という打算が働くこともありますので、その点は留意してください。

さらに、もしあなたがご家族のいる身でしたら、ご家族、殊に配偶者の理解・合意を得た上で判断することも、転職を成功させるために忘れてはならないことです。男性でしたら、家族に心配をかけたくないので決まってから、または採用の確度が高まってから妻に説明したい、とお考えになる方がいらっしゃるかもしれません。あなたがしたいようにすればよい、と言う奥さんがいらっしゃるかもしれません。しかし、それでもやはり、あなたがどのような考えで、どんな企業を選ぼうとしているのか、理解したいのが伴侶です。そうした理解を前提に、家族の協力があってこそ転職はうまくいきます。

転職するのはあなたですし、考えて判断するのもあなた自身です。あなたの人生を賭ける判断になりますので、後悔のないように納得して決めてください。これが絶対的に正しいという選択肢は、おそらくないと思います。あなたが徹底的に考え、導き出した答えがあなたにとっての正解なのです。自分で選んだ道を、少し進んでから振り返って、やはりあちらの方がよかったのでは、と後悔するのはとても不幸なことです。そうならないためにも、じっくり考え、納得して決断し、決めたら振り返らずに前だけ見て進む。その覚悟を付けるための思考のプロセスであり、その覚悟があってこそ、新しい仕事も成功するというものです。

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『キャリアの手帖・36人のケーススタディ』を出版しました

現代的キャリア課題に立ち向かう20代から50代まで、36人の社会人の姿をケーススタディとして描いた本です。キャリア形成や転職はハウツウでは語れません。これまで私は、大学生から60代まで、育った環境、価値観、行動性向が異なり、抱えるキャリア課題もそれぞれ異なる世代と向き合ってきました。その体験を基に、適職を求めての模索、現職でのキャリア形成の迷い、結婚や子育てと仕事の両立、転職活動やリストラの苦悩など、個別のキャリア課題をライフキャリアの視座から俯瞰して、自律的キャリア形成のありかたを浮き彫りにする試みです。詳細は、キャリアリーブスのホームページをご覧ください。

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