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閲覧数順 2024年04月18日更新

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「介護する家族は頑張りすぎちゃだめです」は、介護のプロにも…

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昨日に続いて、『ヘルプマン』の話題です。

最新刊を読んだ続きで、連載当初のころの『ヘルプマン』を読み始めました。
考えて高校を中退し介護のプロを目指す親友・仁を追いかけて現場に飛び込んだ
主人公・百太郎が介護の仕事の喜びに目覚めるのが、1巻「介護保険制度編」。
シャンプーの後のばあちゃんの「ああ、生きててよかった」に泣きじゃくる百太郎の姿に胸が熱くなります。
2巻「在宅痴呆介護編」、3巻「介護虐待編」、4巻「高齢者性問題編」、
そして仁を主人公に新たな壁に挑む5~7巻「介護支援専門員編」・・・。

どのエピソードもおそらく、現場で丁寧に取材されていて、
福祉についてリアルに知ることができるのですが、
それよりも何よりもまず、「マンガとしておもしろい」のです。

ある巻の巻末に、作者が、介護を描きたいんじゃなく、
おもしろいマンガを描きたいと考えた舞台が、たまたま介護だったんだ、といった意味合いのお話をされていましたが、
課題にぶちあたり、体当たりでその課題に取り組む主人公が
多くのサブキャラの支援を手に入れ、何よりも当事者を味方にしてその課題を乗り越える。
まさに、<努力、友情、勝利>。 (勝利ではないエピソードもありますが)

でも、この時期のエピソードには1点、注意しなければいけないことがあります。

私がそれに気が付いたのは、1巻のAmazonのブックレビューの中の、★1つのコメントを読んだとき。

実際に介護の現場におられる方からのコメントでした。
評価されてらっしゃらないのは、内容についてではありません。
百太郎の正論に対し、「ここまでやらないとダメなのか」と、疲弊感を感じられた、とおっしゃるのです。
介護の現場を離れることを考えておられる、と。

主人公の百太郎は、たしかに率直で限度をしらなくて、
そして利用者の懐に思い切り飛び込んでいける「介護の天才」として描かれます。
ガラスの仮面なら北島マヤです。(とすると、仁は姫川亜弓、ですね)

でもそれは、マンガの罠なのを、わかって読む必要があります。
ストーリーを際立たせるためには、
悪役はより悪役らしく造形される必要がありますし、課題の状況は深刻である必要がある。
大量の取材を組み合わせ、物語を最大限効果的に活かすための、当然の手法です。

普通のマンガと違うのは、
エピソードもシチュエーションも、そして絵も、とてもリアリティを持って語られること。
現場にいらっしゃる方にとってはきっと、気持ちの動かされ方が半端ではないのかもしれません。

現実の介護の世界を知るには、あるいは、現実の介護の世界の課題を乗り越える気持ちを手に入れるには、
割り戻して考える必要があるはずです。

現実は、そんなにハッキリ、白と黒に分かれることは、きっとない。
すべては、グレー。ただし、濃淡があるグレー。
100%の悪役もいなければ、100%の熱血だっていないはずです。

こうした「割り戻し」を必要とされる部分は、最新刊の「震災編」では影をひそめます。
このエピソードの主人公の仁は、何度も無力感にさいなまれ、
そして小さな何かで復活し、また落込み・・、
でもそれが物事を少し、前へと進めるのです。

2巻のラスト近くのセリフに確か、「ご家族さんは頑張りすぎちゃだめです」とあります。

頑張りすぎちゃダメなのは、ご家族さんだけじゃない。
介護に取り組むプロの方たちもみな、「頑張りすぎちゃだめ」なんです。

『働きすぎる若者たち』は、頑張りすぎることの危うさを描いた一冊。
こちらの観点も大切です。
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(キャリアカウンセラー)
『稼げる資格』 資格専門誌『稼げる資格』編集長

働く個人の側に立ち、資格や学びを活用したキャリアづくりを提案

編集長を務める資格や大学院の専門誌をはじめ、就職、転職、U・Iターン、進学とこれまで一貫して個人のキャリアを提案するメディアを作ってきました。これまで取り扱ってきた3000人以上にのぼるライフヒストリーを元に、リアリティのある情報を提供します。

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