- 大塚 嘉一
- 菊地総合法律事務所 代表弁護士
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
私の妻の魅力は星の数ほどありますが、その一つにディテールに詳しい、というのがあります。
例えば、おいしいお菓子屋さんがあったなあ、どこだったかなあ、という話になったとき、妻は、緑色の看板があった、しゃれた窓があった、あの通りのコンビニの隣にあった、という風に、写真のように記憶しているようなのです。フォトグラフィック・メモリーというやつですね。
私はといえば、まず、どこかに行く途中にあったような気がするなあ、という感じ。そして、どこに向かっていたときだったかな、何時だったかな、誰それと話をしたときに話題になったなあ、と記憶を探っていくわけです。
私の弁護士としての職業上の話では、裁判での事実認定の話に関係します。一般の方も、裁判員裁判で裁判員になると自分の話しになりますよ。
事実認定の手法にはいくつかあるのですが、大きく分けると、ディテールによる方法と、ストーリーによる方法があります。例えば、包丁で人を刺したケースで、殺意があるかどうかが問題となった場合には、ディテールによる方法では、包丁のサイズ、刺された箇所、深さ、刺した方向などの事実から判断します。心臓をめがけて強く刺していれば、殺意を認める方向に傾きます。これに対して、ストーリーによる方法では、犯人と被害者の関係、とくに顔見知りか面識がないか、例えば犯人が被害者に対して恨みを持っていたか否か、包丁を示すだけのつもりであったかどうか、偶然出会ったのか、会う予定であったのか、などの事実から判断します。強い恨みをもっており、計画的に待ち伏せていたのであれば、殺意がありそうだとなります。
実は、この二つの手法は、相反するものではなく、双方ともに考慮すべきものです。昨今、ストーリーを重視しようという傾向がありますが、細部も大事なのです。
先の話に戻せば、ディテール派の妻と、ストーリー派の私、となるのですが、妻の方が、幸せ多いのは間違いなさそうです。だって、神は細部(ディテール)に宿る、と言いますから。
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- 大塚 嘉一
- (弁護士)
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