日経記事;"IHI石炭から肥料原料世界初の設備インドネシアで"考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;"IHI石炭から肥料原料世界初の設備インドネシアで"考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 各種の新規事業・事業拡大
経営戦略 新規事業開拓・立上

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月9日付の日経新聞に、『IHI、石炭から肥料原料 世界初の設備 インドネシアで1000億円受注へ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『IHIはインドネシアで、石炭から肥料原料のアンモニアを量産する世界初の設備を建設する。同国肥料大手と共同で実証施設を運営し2016年をメドに1000億円規模の大型設備を納入する。

食料増産に必要な肥料の製造では天然ガスが使われるが、割安な低品位の石炭を使い製造コストを3割下げられる。

石炭は200年分とされる埋蔵量のうち水分が多く燃えにくい「褐炭」など低品位炭が約半分を占める。IHIは高温ガス化炉で褐炭を水素などに改質、アンモニアにする技術にメドをつけた。

インドネシア政府が設備の建設を後押しする。豊富な石炭資源の多くが低品位炭。IHIの技術を肥料向けに使えば、日本などへの天然ガスの輸出も増やしやすくなる。

IHIは14年度、ジャカルタ市近郊で国営肥料大手クジャンと褐炭処理量が1日50トン程度の実証設備を造り運営する。

初期投資は約50億円。16年度に処理量が1日500~1000トンの大型設備を建設する。1000億円規模の建設費用はインドネシア側が支払う。

IHIは豪州やインドなど各地に設備を売り込む。世界では新興国を中心に食料需要が拡大する。今後10年程度でも小麦など主要穀物の消費量は2~3割増える見通し。食料不足を避けるためには低コストで肥料を増産することが必要になる。』


11月1日付の日経新聞によると、化学肥料や合成繊維の原料となるアンモニアの国際相場が高騰しています。アジア地域のスポット(随時購入)価格は現在、1トン790ドル前後で、3月に付けた安値(同420ドル台)から9割上昇したとのこと。

主要なアンモニア生産地の南米で供給が減少しており、需給が引き締まったことが理由になっています。肥料や繊維、樹脂など幅広い製品の生産コストを押し上げそうとのこと。

アンモニアは、現在、天然ガスやナフサ(粗製ガソリン)などから抽出されています。天然ガスは、上記にありますように、南米での供給量が低下してます。

また、ナフサも原燃料価格の上昇から、一時的でないにせよアンモニアの製造コストが上がり続けています。

アンモニアの価格が上昇している要因の一つが、原子力発電所事故の結果火力発電が急激に伸び、排ガスの窒素酸化物を除去するためのアンモニア需要が拡大していることにあります。

排ガスに含まれる窒素酸化物は光化学スモッグや酸性雨の原因となるため、アンモニアで水と窒素に分解する必要があるからです。

アンモニアは、合成繊維や化学肥料の原料となります。アンモニアの価格が上昇し続けると、肥料や繊維材料のコスト上昇を引き起こします。

特に肥料コストの上昇は、食糧増産にマイナスに働きますので、世界の食料供給量にも影響を与える可能性が高くなります。

現在、アンモニアの供給力不足に陥っている状況がありますし、今後もこの傾向は続く可能性があります。

このような状況下、本日の記事によると、IHIは、石炭からアンモニアを量産する技術の実用化にメドを付け、インドネシアで大規模な量産設備を建設するとしています。

IHIの技術は、石炭という固形物で扱いにくく、且つ、通常の処理方法では大量のCO2を排出する資源の有効活用を可能にします。

IHIや三菱重工などの重電メーカーは、石炭原料とする発電装置の開発にしのぎを削っています。これらのメーカーは、CO2排出量が石油やLNGと同等なレベルまで下げられる技術の実用化にメドを付けつつあります。

まだ、200年分の使用量があると言われる石炭を有効活用できれば、国内産業もエネルギーコストの削減効果が期待できますし、世界のエネルギー供給構造を変えることができます。

IHIや三菱重工など国内重電メーカーの技術は世界最先端を走っています。これらの企業の技術を総動員して、環境対応に貢献しながら石炭の有効活用に道を開けば、インドネシア、インド、オーストラリアなどの石炭資源国への輸出事業を伸ばせると共に、廉価な化学関連製品の原料調達が可能になりますので、国内に二重での経済効果が生まれます、

エネルギーと環境対応は、国内産業の再強化の切り札の一つです。現在の日本には、ほとんど天然資源がありませんので、石炭のような廉価な資源を有効活用することを事業化することは理にかなっています。


一方、IHIは、JX日鉱日石エネルギーやデンソーなどと共に、藻を材料とするバイオ燃料の開発・商用化を進めています。

IHIは、11月7日に実用化を目指している藻から燃料を作り出す「藻;バイオ燃料」の実験施設:横浜事業所(横浜市磯子区)を報道陣に公開しました。

光と水、CO2があれば燃料が作れ、食料競合もしないのが藻の特徴であり、2014年からジェット燃料向けなどにサンプル出荷を始め、16年以降に事業化するとしています。

この藻は、成長や細胞分裂の際に油を発生、作られる油の質は重油に相当するとのこと。

この記事通りとしますと、国内にある遊休耕地などを利用して大量の藻を繁殖させれば、日本は油の資源国になります。

藻は、トウモロコシのような食料品ではありませんので、藻を大量に育てても食料供給には影響しません。しかも、藻からの抽出残さは飼料などとしての利用が期待されています。

IHIなどの国内メーカーが藻からの重油抽出の大量生産に成功すれば、この技術も海外にエネルギー・環境対応の形で輸出できますので、、世界のエネルギー供給改善に貢献しつつ大きな経済効果が見込まれます。

IHIなどの国内メーカーの動きは、今後の国内企業が柱の一つとすべき、エネルギー供給と環境対応を同時に解決・改善できる技術の事業化を先取りする形となっています。

市場が形成されるにつれて、多くの中小企業にも新規事業の機会が生まれます。

今後とも、IHIや三菱重工などの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム