水平を出す機械として、「レベル」と云う測量機械があります。垂直・直角を出す機械として「トランジット」があります。水平・垂直・直角は建築の基本です。これらの機械は欠かせません。しかしこれらの機械が無い時代はどうしていたのでしょう?
垂直かどうかを調べるのは比較的簡単です。紐と錘があれば錘を垂らすだけで垂直が測れます。今でも柱の傾きを測る道具として「下げ振り」と云う錘が使われています。
水平はどうして測るのでしょうか?床ならビー球を転がせばどちら方向に傾いているかぐらいは判ります。しかし、何ミリ傾いているかはわかりません。畳の上なら余程傾いていない限り転がりもしません。
では、昔の人はどの様にして水平を出していたのでしょうか。水平と云う言葉は水が平らなことを表現しています。文字通り水を使って水平を出していたのです。水はつながっていればどれだけ離れていても同じ高さを示します。昔の人はそれを知っていて水平を割り出していました。
バケツに水を張り、その中に透明なホースを入れます。ホースの中に空気が残らない様に水を満たし、ホースの一端をバケツから取り出しますとホースの端の水位とバケツの水位が同じ高さになります。バケツを基準ポイントにセットして、ホースの一端を測りたい場所まで持っていけばその場所の高さが求まります。
原始的な方法ですが、ミリ単位の精度を出す事が出来ます。
直角を出すのは辺長が3:4:5の三角形を作ってやれば直角になります。ピタゴラスの定理の応用です。
5の二乗は25です。3の二乗と4の二乗を足してやれば25となり直角を出す事が出来ます。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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